The BONEZ ( JESSE & T$UYO$HI ) インタビュー vol.42

ニュー・アルバム『To a person that may save someone』をリリースしたThe BONEZ。唯一無二とも呼べるサウンドで魅せる景色は、4人の歩んできた人生から吐き出される生々しさを昇華し、深く心に突き刺していくものに仕上がっている。PART.1&PART.2ではT$UYO$HIより、その軌跡について語ってもらう。

—“自分達の作品であると同時に自分の人生でもある”

—前回のインタビューがBeginning tourの沖縄公演前で、The BONEZの新曲について「収拾がつかなくなってきてる」と冗談っぽく話されていましたが、既に夏のフェスでは「Friends」を披露されていましたね。

T$UYO$HI:もう、あんま覚えてないんだよね(笑)。「Friends」はスタジオでジャムって作ったんだけど、今までで1番苦戦してさ。

—具体的に”苦戦”とは?

T$UYO$HI:例えば俺が作る曲って、デモの段階で頭から終わりまであるから、大まかなイメージを渡せるんですね。でも「Friends」は、スタジオで弾いたフレーズが盛り上がって、「これ、ジャムって行こうか」って進んで行った曲なんです。結局、4人で進めていく分、元々のイメージがあった人が引っ張って行く状況ではないし、何か軸になるものがあるわけではなかったから、最終的にはJESSEも歌の乗せ方に1番苦労をしたんじゃないかな。

—細かい部分ですが、作曲クレジットが”The BONEZ”である理由がこのことなんですね。

T$UYO$HI:ですね。ツアーが終わったタイミングで、いい感じでやってきた”波”みたいなものがそこでストップしちゃった感があって。実はその頃、バンドのテンションがそんなに良くなくて。まぁメンバー間がどうこうって事ではなくて、スタッフとの信頼関係みたいなものがきっかけだったんですけど。そういう、もやもやしてる感じをJESSEが歌詞にしたんだけど、詳しくはJESSEに訊いて下さい(笑)。

—わかりました(笑)。因みにBeginning tourを経た後の楽曲でもありますが、リリース直後で且つワンマンということもあり、かなり良かった印象だったのですが?

T$UYO$HI:それよりも、年末の”Blood in Blood out”が濃すぎたから、もう忘れちゃってるんだけど(笑)。「Beginning」が完成した時点で、ちょっと歌モノに寄せすぎたかな?ってのがあって。実際にライブでやって思ったことと言えば、これはライブでやるにはちょっとあれだなぁ…って曲もあれば、狙い通りの効果をもたらしてくれる曲もあったり。本当にやりながらThe BONEZってものを自分達自身でも知っていく感じですかね。

—それは、バンドとしてのバランスみたいなものへの気づきでしょうか?

T$UYO$HI:というよりは、ZAXが叩くドラム、NAKAが弾くギター、JESSEが歌うボーカルを想定した上で俺は曲を作ってるんですけど、曲を作りそれをライブで重ねる度に、想像と現実のハマり具合の精度が上がってきたかな。あと、俺はJESSE自身が”まだ知らない自分”という部分も出そうと思ってるんですけど、イメージ通りにうまくいくものもあれば、その要素がJESSEの根底にあまりないものは、やっぱりガッチリとはいかないんだなぁってこともわかってきた。

—当たり前ながらも、「Beginning」がなければ、確実に「To a person that may save someone」は生まれなかったんでしょうね。

T$UYO$HI:The BONEZをこの数年やってて思うのは、日々の経験や学びの積み重ねで今があるっていうことです。だから今回のアルバムは「Beginning」より、確実にうまくいっていますね。

—敢えて伺いたいんですけど、The BONEZのバンマスはT$UYO$HIさんだと思うんです。今回のアルバムは、オーバーグラウンドの中で1番尖った部分が放たれたと思うのですが、無意識にメンバー内でも目指していた傾向はありましたか?

T$UYO$HI:うーん、放たれたかどうかは、このアルバムが出てツアーをしてみないと未だ分からないかな。マスタリングの段階で「完璧に完成されちゃうと、次の作品もあるから完璧じゃなくて良いじゃないですか?」言われたことがあって。そのときは「そうか」と思ったんだけども、正直俺は次のアルバムが出せるなんて思って作ってなくて。「どういうアルバムにする?」って話になったときに、なんとなくいいねって曲は入れたくない。とにかく良い曲で、今のBEST。これが今のThe BONEZって作品にしたかった。結果、「売れる・売れないはとりあえず置いといて、みんなですごく良い作品を作った」っていう、充実感や満足感みたいなものは、メンバー・スタッフもみんな感じています。

—それは「Beginning」で生じた反省みたいなものはない?

T$UYO$HI:もちろんあります。日々が勉強、経験、学習ですよ。そのお陰で今回のアルバムは、曲や音、写真、ジャケ、ビデオ、全ての要素で「これが今のThe BONEZです」っていうものに仕上がったんで。もちろん、バンドでやっているから周りの意見も尊重しますけど、今回は周りの意見も聞きつつだけど、自分の中にこうしたいってイメージがあるものは、結構主張させてもらいました。それは中途半端にサジを投げたくなかったからだし、そういう意思は今までで1番強かったと思います。

—T$UYO$HIさん自身、前回の反省がある中で、尚も責任を取りに行くことにプレッシャーはなかったんですか?

T$UYO$HI:というか”もっとこうしたい”っていう意思の中でのことだから、責任を取るポジションが面倒くさいとか、大変だから他の人に任せるとはならないです。例えば「メンバーと衝突するのが疲れるからこれでもいいや」みたいのは避けました。結局、自分達の作品であると同時に自分の人生でもあるから、自分でやれる事を誰かに任せて意図と違うものが世の中に出たとして、それを「仕方ないか」ってなるのが嫌で。だったら自分でやる。良くも悪くも全ては結局自分に返ってくる。

—先程、仰っていただいた”日々の経験や学びの積み重ね”に通じる部分ですよね。

T$UYO$HI:「楽しいからやる」っていう部分はもちろん大事で基本だけど、最後まで何事も手を抜いたらダメだなって。常にカリカリ・ピリピリしてる神経質なのは大嫌なんですけど、諦めないっていうか。例えば今回のアルバムのジャケットがそうなんですけど、元々は幾つかの案があって、メンバーでも意見が割れていたんですよ。その頃、スタッフのショウに、「アー写をポスター用に鉛筆で描けないかな?」って頼んだら、時間が無い中だったんだけど凄く良いのを描いてきて。
「これ、ジャケでしょ!!」ってなったんです。もし、「時間がないから、ちょっとこのタイミングでは描けないっすね…」て描いていなかったら、今回のジャケットは違うものになっていて、それもきっと迷ったものになっていただろうし。ショウがそこでトライしたから“自分の絵がジャケットになる”っていう、予想外のスペシャルな事を彼自身も実現させたんです。

—メンバーのみならず、周りのスタッフさえもやりきってくれる環境がThe BONEZにあると思うと、単純に強いですよね。

T$UYO$HI:そう思います。もちろん結果、出来ないときだってありますけど、やるだけの事はやったって気持ちは残りますよね。そうやって考えるだけでなく実際に行動したり、チャンスにしがみ付いていくヤツがやっぱり勝つんだと思います…と言いつつ、普段の俺はムチャクチャ自分に甘いですけど(笑)。

—いやいや(笑)。

T$UYO$HI:人生で「俺、ホント努力したな」ってことは5回くらいしかないかな(笑)。まぁ好きでやってる事だから、努力と思ってないだけかもですけど。やりたい事を叶える為にやることは当たり前という感じですかね。

—“The BONEZの人間性を表している”

—そうやって作り上げたアルバムは、楽曲1つ1つもそうですが、聴いている最中、そして聴き終わったあとに残ったのは、4人のアイデンティティが融合した現在進行形のスケール感でした。

T$UYO$HI:そう思ってもらえたなら嬉しいです。所詮、ただの人なわけで、この4人でやっている音楽をとにかく出したかったから。例えば俺が「オペラみたいな曲をやりたいんだ」っつっても、そんなのJESSEが歌ってどうすんのよっていう(笑)。JESSEの良さ、NAKAの良さ、ZAXの良さ、俺の良さ。個々のアイデンティティが出るから、バンドの魅力になるわけだからね。

—特に象徴的だったのが「Waking up」の音数の少なさで。余白がこれ程まで心地よく感じられる楽曲をThe BONEZはもう表現できる術を得ていることが驚きであると同時に、今のカッコよさが詰まった楽曲だと思います。

T$UYO$HI:まぁ、10代のキッズにこのアダルトさは出来ないんじゃないかな(笑)。俺らとか辻さんの世代がカッコイイって思ってくれてるのはわかるというか、ど真ん中ですよね。でも若い世代にも新鮮なんじゃないかな。「音数が少なくてもこんなにカッコイイんだ」って思ってくれたら良いですね。普遍的なカッコよさというか、俺ら自身もやっとこれが出来たって思ってるので。

—究極に言えば、作曲者クレジットが誰であってもThe BONEZになってる気がしまよね?

T$UYO$HI:それはありますね。例えばJESSEが持ってきた「Leaf」に関して言えば、ストレートで明るくてキャッチーな原曲で。そこにその要素を引き継いだまま、切ない要素を後半の展開にくっつけたんです。ベースをコード弾きしてコード進行を作ってみれば、そこにZAXがエモーショナルなハーフのリズムを叩き、NAKAが泣きメロのギターを弾く。そしてJESSEのダメ押しグッドメロディー。
そういったみんなの要素が混じりあって、ただ明るいだけじゃない、ただシリアスなだけじゃないThe BONEZになったかなぁと。

—どの楽曲も、4人の間で自然とその要素を持ち合える状態にあるんでしょうね。

T$UYO$HI:「Paper Crane」なんか、キッカケはNAKAがベースで弾いたフレーズなんですよ。合宿スタジオで「ちょっとベース貸して」って弾いたNAKAのリフがいいね!てなってその場で作りました。「Louder」は、The BONEZ作曲になってますけど、実はクレジットに迷った曲です。1番最初に、下北沢SHELTERで”JESSE and The BONEZ”としてやったライブのアンコールでやってたんですよ。

—ええ?!

T$UYO$HI:そのときは歌のないリフだけをやったんですけど、それを元に作ったんです。だから、ZUZUに音源を送ったら「あのときの曲なんですね!」って憶えてた(笑)。

—「To a person that may save someone」「Remember」などの作曲者であるT$UYO$HIさんから、JESSEにオファーした要素はありますか?

T$UYO$HI:まず、JESSEのメロディーセンスがどんどんパワーアップしてるから、メロに関しては基本お任せ。俺が作る曲って基本キャッチーだから、相性というか。それをきれいな声の人が歌うと、ただのポップソングになっちゃうけど、JESSEが歌うことでザラついてカッコ良くなるから、すごくバランス良いなぁって思う。で、歌詞について言ったのはこの2曲だけ。
「To a person that may save someone」は今年に入ってから作った曲なんですけど、細かく言うとKの命日の前日に、24時を過ぎてから家で酒を飲んでたんです。で、命日は「昨日、酒を飲んだから今日はいいや。今、やるべきことをやろう」って、夜からイントロのSE部分を作って。

—ちょっと待ってください。アルバムタイトルともなった「To a person that may save someone」は、まさにアルバムの中でも最新曲ということですか?

T$UYO$HI:です。2016年になって「1905」「Leaf」「To a person that may save someone」のレコーディングをしたんですけど、「1905」は俺のデモがあったし、「Leaf」は既にジャムってたから「To a person that may save someone」だけ、まるまる書き下ろしです。
それこそ、さっき言ったBlood In Blood Outツアーをやったことがすごく良くて、そこで得たエネルギーみたいなものが、俺の心とカラダの中で充満してたんですけど、2015年の年末はそれを温存してて。そのツアーの感触や今までのThe BONEZの感触、そして「これが今のThe BONEZの4人だ」っていうものを元に「アルバムの1曲目になる曲をちょっと作らしてくんない?」ってメンバーに言って、2016年の1月2日の夜から作って、6日にはできた!ってメンバーに送りましたね。

—1曲目どころか、アルバムを象徴するような楽曲となりましたが、それまでその位置を担う楽曲は定めていなかったんですか?

T$UYO$HI:最初は「Remember」推しで行きたかったんですけど、プリプロで「To a person that may save someone」を録っていくうちに、メンバーもスタッフも「これがいいんじゃないか?」って。
普段のJESSEからはあまりないんですけど、ツアー中に「最近、こういうのハマってるんだよね」って掛けた曲が「To a person that may save someone」のコーラスの感じもあって、JESSEからのインスパイアもありますね。そして実際、俺が思ってる以上の良い歌をつけてきて「さすが、決める男だな!」って思うし、頼もしいっすね。

—しかも「To a person that may save someone」で描かれた世界は、今のThe BONEZの人間味そのものだと思うんです。

T$UYO$HI:そう。建(降谷建志)ちゃんが出てくれた、福岡でのツアーファイナルで感じたことは”それぞれの今”だったんです。10数年知ってるメンツだけど、PABLOはP.T.Pとしてじゃなく、武史くんも山嵐としてじゃない、建ちゃんサクちゃんもDragonAshとは違う、ウェットな部分の自分を出している。そのそれぞれの今でステージに立っているのがカッコイイなって。
そういう“今”を更新していく強さやポジティブさを出したくて、JESSEに「トンネルを抜けたその先にある希望」のような歌にしたいってニュアンスを伝えたかな。
もちろん、それで世の中が変わっちゃうわけではないし、いきなりスーパーマンにはなれないけど、ほんの少しだけプラスになるなら、それがリアルだと思うし、今のThe BONEZの人間性を表していると思う。

—“それでも僕らは生きていく”

—なるほど。オファーした要素は、T$UYO$HIさんの主観ではなく、あくまでThe BONEZを表すことがキーワードだったんですね。

T$UYO$HI:ですね。ただ、もう1曲の「Remember」は、俺の一貫してのテーマでもあるんですけど「それでも僕らは生きていく」っていうのを出したかったんです。

—そう伺うと、どうしてもKのことが頭を過ってしまいますが?

T$UYO$HI:まさしく。具体的なことを言うと、P.T.Pの夢を見たんですよ。ライブが終わって、ツアーバスみたいなのに乗り込んで「今日はお疲れ、いい感じだったね」なんて言い合うメンバーみんながいて。その会話で「ツアーファイナルまで宜しく」なんて言ってるそのファイナルが、日本武道館なんですけど、俺たちはそこで解散が決まってるっていう設定の夢で。
しかも、夢の中で握手した手の感覚までもが目が覚めてからも俺の手に残ってて…。そこにはもちろんKもいたし武道館でやることも決まってたけど、解散っていうなんとも言えない夢だった。
現実の今は、P.T.Pでの活動は出来ないっていうのがあるけど、もしアイツが生きてたら…っていうのもそうだし、例えばそうやって枝分かれした人生があったとして、その道があってもバラ色の人生になるのか?って言ったら、そうとも限らないよなというか。そういう不思議な感覚になって、そのときに思ったのが「人生は良くも悪くも予想出来ないことが起こる。それでも僕らは生きていくんだ」ってことでした。

—叶えられない夢の中で、しかも終わりを見なきゃいけない。

T$UYO$HI:うん。ホントなんとも言えない気持ちになった夢で。
口ではうまく言えない感情、感覚を曲にしたくて「Sun forevr」を作ったとき以来、吐き出したくて作ったのが「Remember」です。

—詰めた想いに差がないにせよ、「Remember」がアルバムのリード曲となっていたら、また受ける印象も違っていたかもしれないなと思いました。因みにその内容以外にも、P.T.Pの夢はよく見られるんですか?

T$UYO$HI:そんときが初めてかも…あ、他にも印象的なのがあって。実家へ帰ったときに、4人がアコースティックで囲んで、Kが歌ってる夢で「ヤバイ、俺P.T.Pの新曲を聴いちゃった!」と思って、速攻で寝ぼけながら携帯にKが歌ったメロディを録音して2度寝したんすけど、起きてから後でゆっくり曲を聴いたら、メッチャダサかった(笑)。

—いい落ち(笑)。

T$UYO$HI:と別にドラマチックな事だけが起こってるわけじゃないってことが、このエピソードで伝わったかなと(笑)。話を戻すと、「Remember」は大事な曲です。そのときはメロディがなかったけど、自分の感情を楽曲としてデモに表せたかな。それこそ、嫁さんとLAに行ったとき、海辺を散歩しながらそのデモを聴いたけど、あの景色でもハマるなぁと思ったし。

—その大事な曲をThe BONEZで形にするからこそ、「生きていく」に意味があるものになるというか。

T$UYO$HI:俺が今やってるのはThe BONEZですからね。もちろん、ライブとかでP.T.PのTシャツを着てくれてたり、ライブ中にタオルを掲げてくれたりするのはすごく嬉しいし、ありがとうって思う。もちろん、俺は今でもP.T.Pのメンバーって思ってるけど、答える場所はThe BONEZだから。みんなが思ってくれている気持ちは、俺の今であるThe BONEZで返すというつもりでやってるかな。

—今回はThe BONEZのアルバムについてなので、P.T.Pの話をしないようにしていたんですが、たまたま今日(取材日)が3.11で、震災以降の5年間にはP.T.PやKのこと、そしてJESSE and The BONEZを経ての今があります。このアルバムはそういった過去をというより、その上に立って今を生きる4人のサウンドトラックという位置付けになるんじゃないかと。

T$UYO$HI:今回、俺たち自身のサウンドトラックというか、今まで俺たちが経験してきたことを経てのアルバムですね。小さいときからdrug store cowboy、P.T.Pを経験した俺、KAMINARI、P.T.P、魚屋を経たZAX、RIZEだったり、色んな経験をしてきたNAKA、RIZEがあって、スーパー芸能人みたいな家に住んでたJESSEが、娘に弁当を作ったりチャリンコで学校に送ったりするナイスダディーになって…を経た4人で作ったアルバム。ネガティブなことも含めて、全ての要素を経たから出来た思うし。

—その放ち方も、ネガティブなことも含めてと仰いましたが、ネガティブには放たないのもThe BONEZだと思います。

T$UYO$HI:基本、そんなネガティブなことを全面に語るバンドじゃないからね。そこには、フロントマンのJESSEの存在があってこそ。よく、Kと比べられると言うか、背格好やTatoo、カリスマ的ポジションまで含めて言われてきたけど、似てるようで違う。
Kを筆頭にしたP.T.Pは「オマエの辛さはわかるぜ、俺も痛いんだよ」っていうことを歌った。JESSEやThe BONEZは「オマエら辛いことあんだろ?知ってるよ、俺だってあるよ。じゃあこっちに来て楽しいとこにみんなで行こうぜ」って言う。そこで、「人生は楽しいから大丈夫。辛いことなんかないよ」とは決して言わない。

—今を楽しくするために何かをするのがThe BONEZだし、冒頭でも仰った行動するヤツがきっとBONERでしょうし。きっと、その根本には愛とか暖かさが備わってるんだと思います。

T$UYO$HI:少年ジャンプです(笑)。だから、The BONEZがワンピースの主題歌をやったら良いんじゃないかなー(笑)。大人になったくせに、未だに“ヤンジャン”じゃなく、“少年ジャンプ”を読んでるような人がやってるバンドかな(笑)。

—(笑)。しかも「To a person that may save someone」では、そのありのままのThe BONEZをさらけ出してますしね。

T$UYO$HI:今って、曲にしても情報量が多ければ展開までも早いものが多い。でも、シンプルな方が響くこともあると思うから。例えば好きな子とデートするときや大事な場面に、18歳の子が白の無地Tシャツを着ていけるかっていうと難しいかもしれないけど、今の俺たちは着ていけるっていう感じかな。今までに何万もするような服も色々着てきたから、その良さも知ってるけど、今はそれを経て白の無地Tシャツでも自分を出せる自信があるんだよね。

—“詰まっているエネルギーや感情は、今の俺たち≒人間って感じ”

—今回、3形態で展開された「To a person that may save someone」ですが、限定プレミアムBOX盤は即日完売ということで。

T$UYO$HI:今だと、どっかでプレミア価格89,000円でなら買えんじゃないすか?なんて(笑)。ソールドアウトしたことは素直に嬉しかったし、それこそ発売の2日前にスタッフと「実は100個くらいしか売れなかったらどうする?」って言ってたくらいだから。

—音の観点のみですが、アルバムを聴いた者としては「Leaf」も収録されていてるデラックス盤をオススメしておきたいとろです。

T$UYO$HI:いやーこれ、デラックス盤を買わないとダメっすよ!値段設定を失敗したんじゃないか?っていうくらい、デラックス盤がお得すぎる。特にDVDがヤバイです。

—少しだけ中身を教えていただけますか?

T$UYO$HI:ツアーのドキュメンタリーが中心なんですけど、JESSEは3回泣いたそうです(笑)。ぶっちゃけ、ライブ・シーンは普段ライブに来てる人が観れるし、そこで体験して欲しいからそこまで入れてないです。それよりも、ステージ以外の俺たちは何をして何を考えているかがわかるものにしたかったし、まぁ簡単に言うと情熱大陸です(笑)。

—それをタイトルにしても良かったですね(笑)。

T$UYO$HI:あー!!そうすれば良かった(笑)。ホルモンじゃないけど、The BONEZ初心者の人にこそ、このDVDを観て欲しいな。バンドってこうやってるんだなっていうのがわかると思うし、バンドっていいなって思ってもらえるはず。俺も自分で観てて、この環境にいる自分がすごく幸せだなって思ったし、ロック・バンドの素の部分がすごく見えるから。

—音からも十分に今のThe BONEZを感じ取れますし、この映像で更に鮮明になるといったところでしょうか。

T$UYO$HI:ですね。DVDにもシーンとして写っていますけど、今のThe BONEZに対して音も映像もプロフェッショナルな人たちが集まってきてるし、歯車が噛み合ってきて廻りだしてるのを感じてます。だからこそ、すごく注意もしてるしこの風向きを変えたらいけないなって。

—その歯車は、1年振りのワンマンツアーやこの2016年を通して、大車輪にさせるだけのエネルギーを持っていることが証明できる気がします。

T$UYO$HI:そうですね。このアルバムはみんなもそうだと思うけど、俺個人としても大きくて、ここまで内側の感情を音や曲に表現したのは初めてかな。
例えて言うと「好きです」っていうことを「好き」という言葉を使わずに「好き」という気持ちを音楽で表現できた感じ。そこに詰まっているエネルギーや感情は、今の俺たち≒人間って感じなのかな。


ニュー・アルバム『To a person that may save someone』をリリースしたThe BONEZ。唯一無二とも呼べるサウンドで魅せる景色は、4人の歩んできた人生から吐き出される生々しさを昇華し、深く心に突き刺していくものに仕上がっている。PART.3&PART.4ではJESSEより、そのアルバムへの軌跡について語ってもらう。

—「Beginning」から早1年が経過しましたが、The BONEZとしてこの時間のスピードをどう感じていますか?

JESSE:まぁ、メンバーそれぞれだと思うけど、単純にすっごい速さで走ってると思うよ。「Beginning」は1年前だけど、実は「Astronaut」もリリースしてまだ2年しか経っていない。その中で出来た「To a person that may save someone」は、2〜3年くらい新しい作品を作らなくても、聴き込めるアルバムになったと思ってる。と言っても、今のThe BONEZのスピードで言うと、みんなが思ってるよりも、また早く制作に入っていくと思うけどね。

—それだけJESSEさん自身がThe BONEZを求めているからですし、これまでの活動を鑑みれば頷ける話です。

JESSE:でもね、客観的に「RIZEの2人とP.T.Pの2人でやってるバンド」としてみたら、中には遅いって思う人もいるかもしれない。例えば、RIZEの俺って意識はないし、1から始めたバンドとしてやっているけど、見る人によっては違うんだろうと思うしね。

—確かに、The BONEZのJESSEでありながらもRIZEのJESSEでもある。でもそこには、普遍的なJESSEとして存在しているからこそで、逆に違いを見つける方が難しい気もしています。

JESSE:分けられないし難しいよね(笑)、何かを演じることはできないからさ。俺は見た目によらず、数学や化学、物理とかが大好きで、その中で軸になっているセオリーが、万物の理論なんだ。それは何に対しても理論付けることで、全てにおいて2択でわけられること。例えば、宇宙飛行士とロケットを作る人のどっちになりたいかとか、ヴィトンのバッグが買えるか買えないかじゃなくて、欲しいか欲しくないかとかね。

—そうやって、JESSEさん自身がバンドのフィールドでも理論付けることで、普遍的でいられる。

JESSE:でも、それで自分の首を締めてるときもあったよ。The BONEZのヴォーカルもRIZEのヴォーカルも俺だけど、1つ1つ演じてるとパンクしちゃうからさ。2つは違うけど、俺自身は変わらないし、一緒にやってる人が違う以上は、それぞれの化学反応があるよね。もちろん、最初は難しいなって思ったけど、今はそれぞれの人と会うことで、それが無心でシフトを変えられてるかな。

—“爆薬物みたいな俺をものすごくキレイに爆発させてくれる場所”

—昨年のBeginning tourでは、どの会場のMCでも「Beginningさせてくれてありがとう」という言葉を発せられていたし、Blood In Blood Outでは4人でのThe BONEZであることをより体現していたと感じたので、JESSEさんが無心でこの環境でいるナチュラルさを感じます。

JESSE:そうだね。今回のアルバムに付けた100分のDVDは、ライブシーンが少しあるだけのドキュメンタリー・ムービーなんだけど、観せたかったのは「どういう時間軸で生きて何をしてるか」っていう、バンドマンの人生なんだ。

—敢えて言うならば、ナチュラルであったとしても、普段では観せなくても良い場面も含まれていますよね?

JESSE:いや、The BONEZはそれを観せたいんだよ。例えば、俺だと娘を親に預けて、イッシーだって家族がいながらも、そういう時間を割いてまで旅に出ることとかね。みんなで機材車に乗って会場へ搬入して、ライブをしてバラしてまた積み込んで、次の会場にっていう時間にも意味があるし、どのツアーもそうやって挑んでるからね。それを同じ着物を折るようにルーティン化すると、一緒にやってる仲間たちとの関係性も、ものすごくタイトになっていくけど、The BONEZってジャンルもそうだけど、バンドが奏でる音もやっぱり”人”って感じがするじゃん?

—こんなにも人間味が溢れすぎてるバンドは、そういないですね(笑)。

JESSE:ZAXなんか魚屋で働いてるワケだしさ(笑)。イッシーは家族想いで子供も2人いて、キャバクラの「キ」の字も聞こえない男で。NAKAは徹底した宇宙で(笑)、読めないからこそ、人間を感じさせてくれるしね。その中で、爆薬物みたいな俺をものすごくキレイに爆発させてくれる場所がThe BONEZなんだ。大抵、赤い炎とか黒い煙があがるんだけど、The BONEZではそういうルーティンで進むことがありながら、イルミネーションに近い爆発をさせてくれるというか。俺にはそれがすごく美しく見えてるから、もっとスペックの高い色を使って輝かしたいなってすごく思ってる。

—この4人でいるからこそ出る色だとして、JESSEさん自身が選んで出すというより、この4人から滲み出る”人間味”によって、出されるイメージですね。

JESSE:それには、さっき言った”どこの現場でもJESSEになれた”からだろうね。俺、逆天を背中に背負ってるじゃん。普通は上に向かう「天」だけど、俺は逆にした時点で上には行けない分、俺が母体となって色んなエネルギーが下に降りて来る。そこで出る炎が、The BONEZではイルミネーションなんだ。

—ニュアンスとしては媒介者のような?

JESSE:だね。俺は日本名が空人(ソラト)だから元が”空っぽ”で、誰の想いでも入れられる母体の人だから、どこの現場でもその空気を取り込むのが得意なのかなって。

—出る炎が違うのも、そういう理由もあると。

JESSE:そうやって考えるのが好きなんだ(笑)。考えて理由付けると、点と点が見えて線を繋ぎやすいからね。ツアーで「俺はどういう人で、何をしないといけないんだろう?」って考えることが多いんだけど、そういうときにThe BONEZでその炎を出させてくれる。例えば、ZAXはドラムに座ってるから、ファンの首根っこを掴んで「俺はオマエに言いたいことがあるんだよ」って想いがあっても、ドラムでそれを出すしかない。けど、俺は人の前まで、もしくは客席の中に飛び込んでまで行って言える分、あんまり好きじゃないMCも、考えさせられたんだよね。

—“イルミネーション”の炎が出るのは、メンバーの想いを背負っているからで、それはMCにおいてもThe BONEZのJESSEとして話す、責任みたいなものを背負っているからでしょうか?

JESSE:どうかな…例えば昔、いつもCharの息子、もしくは「RIZEの人ですよね?」って。「いや、俺はJESSEだしRIZEは俺がやってるバンドだけど」って(笑)。細かいことかもしれないけど、言葉を職業にしてるからさ。それで金髪にして大暴れして、さらにこれだけ墨をたくさん入れても止まらなかったのは「俺はここにいて言いたいことがあるんだぜ!」っていうのをここまで主張しないと、俺の声として聞いてもらえないと思ってたからなんだ。

—それがもしかしたら個の赤い炎の部分?

JESSE:そうそう。けど、バンドでそういう言葉での主張は俺しかできないんだなとか、だからこそみんなの想いを代弁しないといけないんだって。実際、The BONEZでもRIZEでも、フロントマンじゃなくて話すのはKenKen以外いないし(笑)。

—確かに(笑)。

JESSE:今までは、メンバー全員が「間違いない、次の曲に早く入りたい!このMCのお陰で臨めた」って思ってもらう為にやってた面があったけど、「俺、そんなことを思ってねぇし」ってなるとイヤだから、MCがあんまり好きじゃなかったんだよね。でも、The BONEZのツアーのお陰で、代弁するからイルミネーションの炎になるんじゃなくて、もちろんみんなとの会話で生まれたことも含めてだけど、ちゃんとJESSEとしていることで化学反応があって、俺の思想を含めて話すことで爆発させられてるんだって気づいたんだよね。

—JESSEさんのアイデンティティを消さないから、爆発したイルミネーションになるし、今までのように消してしまったら、赤い炎のままになって交われないかもしれない。それはThe BONEZの人間味ではない色ですよね。

JESSE:そうだね…最近は「自分が自分で何を話してんだろう?」って思うこともあるし、今もなんだけど(笑)。それでも、なるべく腹ん中から出る言葉を話そうとしてるのは、思想をちゃんと話したいからなんだ。

—良い意味で、今も全く言葉を探してないですよね。

JESSE:そう。探してると止まっちゃうね(笑)。

—“ステージに立ってとっさに出てくる言葉を準備してる”

—(笑)。DVDに話を戻すと、blood in blood outが中心となっていますが、対バン相手の影響は受けやすいでしょうか?

JESSE:言われて初めて気づいたんだけど、対バンだとちょっと違って。影響もあるけど、俺は盗みまくるんだ。

—盗む?

JESSE:何を盗むかっていうとMCだね。対バン相手のフロントマンが何を発したかによって、お客さんには色んな化学反応が起きる。みんな良いことを言うから「うわぁ、俺が言うことがなくなってきたじゃん」ってよくあるし(笑)。そこで、何を言うかなんて決まらないんだけど「俺は何を言えるんだろう?」って考えさせられるかな。

—言い換えると、ライブに臨む、ウォーミングアップの要素があるのかもしれないですね。

JESSE:そうかも。誰かのライブを観に行くことなんて、それこそ影響や刺激を受けやすいから殆ど行かないんだけど、対バンだと不思議と観ちゃうね。で、観て悔しかったら火が着くし、仮に良くなかったら自分も不安になる。そうやって、ステージに立ってとっさに出てくる言葉を準備してるのかもしれない。

—だからこそ、1つ1つの言葉に嘘がないし。

JESSE:嘘つくとすぐ顔に出るから(笑)。

—「To a person that may save someone」では、T$UYO$HIさんのインタビューで”JESSEがメロディを歌う部分に、より拍車が掛かった”と仰っていたんですが、JESSEさん自身でもそういった感触はありますか?

JESSE:メロディを考えることすら始めたばっかりで、ヴォーカリストとしては端くれだと思ってるんだけど「良いメロディーが浮かんだ」とか「良い歌詞が浮かんだ」とか、全く思いもしないまま書いてるかな。大抵、メロディーが先にあって歌詞、歌詞があってメロディーって作るんだろうけど、俺は本当に同時進行なんだよね。

—生まれる・浮かぶ瞬間には、同時に存在しているんですか?

JESSE:というより、言葉とメロディーが同時に出ないと生まれない。「まず仮歌でいいから」とか「鼻歌でいいから」とかメンバーにも言われるけど、俺は言葉がないとダメで、そのメロディーですら感情移入できる言葉を探してる。まだね、俺にはメロディーを説明できる程、わかってない部分がたくさんあって、全然理論付いてない。

—それでも、その理論付いていないメロディーが導かれるのは、歌詞への感情移入ができているからという部分はありますよね。

JESSE:歌詞に関しては英詞だから、本当に感情を込められているかな。日本語で歌うと込めれないのかって言うとそうじゃないんだけど、日本語には比喩って言葉があるのに、比喩がいらないくらい言葉があるじゃん。日本語の比喩だけで、先輩とも部下とも話せないじゃん。例えばミーティングで、一番分かって欲しいことを的確に言わないと、自分のせいになる。「あんときそういう風に言われなかったですし」「オマエ、それはそうだけどさみたいな、分かれよそこは!」みたいなさ(笑)。でも、それを言われちゃうとそうで、言葉が最終的に強いんだよね。

—(笑)。今もお話を伺っていると、比喩が多い印象を受けたのですが、英語での比喩がJESSEさんにフィットしているんですね。

JESSE:メタファーや比喩ってものが好きなんだろうね。それを日本語の歌詞にすると、的確にしづらいんだけど、英語にすることでその比喩が的確になって、感情移入するんだよね。

—“これを聴いて希望に近づけるわけじゃない。”

—紡ぐ言葉に感情が乗ることでメロディーになるから、聴く側が仮に英語の理解がなくても、そうやって感情が詰まった歌だからこそ、心に響くんだと思います。

JESSE:そう。ものすごいキャッチーなメロディーが浮かんだとしても、俺の中では「ものすごい」って言葉がなくなって、ただのメロディーなんだ。そこに研ぎ澄まされた言葉のチョイスが入ることで、良いメロディーが付いてくるんだよね。

—日本人だからそう感じるのかもしれないですけど、言葉の種類が多過ぎる日本語に比べて英語は少ない分、捉えられる表情が多いように思うのですが、JESSEさんは捉え方を委ねることで”意図しない方向へ向かうかもしれない”という恐れはないんですか?

JESSE:それを十人十色で解釈できるようになって欲しいからこそ、俺の話をしないといけないんだよね。今まで…特にRIZEの時代は、「俺ら」とか「We」って言葉が多かったし、ステージ上でもみんなを代弁してた。けど、今は文法的に間違ってても、必要以上に「I」や「You」を使ってるし、自分にしか分からない捉え方になっても良いという概念だね。ただ、人が聴いたときに「I」 って付けるてるから、その人が捉える概念に必ずなってくるし、それで良いと思ってる。

—逆天を背負っていることに通じますね。

JESSE:だね。そういうアウトプットがやっとできるようになったよ。

—その十人十色の解釈で、今作「To a person that may save someone」が示すキーワードとして、「生きること」が真っ先に浮かんだんですよね。

JESSE:ものすごく怖さもあるアルバムだよ。何が未来にあるかわからないから、このアルバムがあることでビビるし、これを聴いて希望に近づけるわけじゃないって。今の立ち位置から、希望との距離が分かってしまうものだから、希望を思い出す人もいれば、離れ過ぎていて不安になったり焦ったりする人、逆に近くにいて希望に満ち溢れられる人もいると思う。「その準備が出来てっか?」ってことで、それを知ってビビりたくなかったら、まだ聴くなとも思ってるよ。

—1曲目の「To a person that may save someone」が、ものすごく希望を帯びているから、一瞬勘違いをしてしまいそうですが、2曲目の「Revolution」で「さあ、どうするんだ?」って問いを示しているんですよね。

JESSE:そう。「希望ってこういうところにあって、君と希望の距離はこんな感じです。すぐ立って、革命を起こしに行ける人なのか?その椅子からビクとも動けずにいるのか?」っていう。その人の希望次第で、その感じ方も変わってくるよね。

—それだけ希望は大事だという再確認にもなるし、すぐに手に入るものではない。それを描いたアルバムになったと思います。

JESSE:怖いくらいにそうなる、すごいアルバムを作っちゃったと思うんだよね。さっきも言ったけど、あと2〜3年は作らなくてもいいって思えるのも、そういうことなんだ。

—それは1つ1つの楽曲が良いだけではなくて、アルバムとして聴き込める良さがあるからですね。

JESSE:そう。そういうアルバムを作れたのは何年ぶりだろう?って思うし、世の中にそういうアルバムが何枚あるんだろう?って思う。例えばDaft Punkの「Random Access Memories」は2年前に出てるけど、俺は今年の1月30日に聴いたの。影響されちゃうから(笑)。で、ファンになって全部のアルバムを買って、彼らが影響を受けたアーティストもDIGっていったんだ。もちろんファーストから良いんだけど、最新アルバムもカッコイイって思ってるのは、俺の中でFoo Fightersとか数組なんだ。それって、最初の衝動やワクワクがファーストに詰まってるから勝てないんだけど、こうやってごく稀に最新も1番ヤバいってアーティストが存在している。

—そこに共通しているのが、さっきの”聴き込める”でもあるし、色褪せないんですよね。

JESSE:時代を感じさせないよね。今回のアルバムを麻雀で例えると、いい牌が揃ってるだけじゃなくてちゃんとツモれるものだと思うから。

—どの楽曲もいい牌だけど、例えば「Waking Up」のギタースライドのミュートの瞬間で終わってツモるんじゃなくて、もう1度「To a person that may save someone」に戻りたいって思えるアルバムであることがツモって感じがします。

JESSE:良い曲を作った達成感はなくて、良いアルバムを作った達成感がものすごくあるからなんだよね。今回、1曲だけインストがあることも理にかなっていて、たまには言葉も聴きたくないときもある。「Cosmic strings」は俺とNAKAのギターだけで、弾いてることもめっちゃ少ないんだけど、次の音が鳴るまでの言葉にできない時間も、人間には必要なんだ。

—「Waking Up」の余白も然り。

JESSE:そう。俺たちが埋めなかったことによって、聴いた人があの間に何かを埋めていくんだよね。

—そうやって作られた過程、そして込められた想いからも「To a person that may save someone」は、決して偶然にできたアルバムじゃないし、The BONEZの4人が生むべくして生み出した、最高のアルバムですね。

JESSE:売れる・売れないは別にしてもね。これで世に知れ渡るバンドになったとしても、それは”事故”だから。事故が起きてもいいように、俺の20年間のバンド人生で常に準備してるし、今年で36歳になるけど、まだ人生で3回くらいは失敗できると思ってるから。もちろん、人間だから容易く諦めるわけにいかないし、万物の理論で毎回考えていて全然ビビってもないけど、そう思えるこのアルバムが描けたのは、みんなでその景色を作り上げてきたからなんだ。

—The BONEZのメンバーはもちろん、スタッフやBONERも含め?

JESSE:辻くんともそうだよ。名古屋の味仙でバカ話しながら「やっちゃいます?」って、人間の力で想像した絵に近づけたと1つだと思うし。メンバーのプレイリストを流すことがこんなに面白いと思わなかったし、キッズたちにも俺たちの当たり前の音楽を流すことで、新しくなったと思うんだよね。俺たちも当たり前だった90年代に触れられて、グランジ・オルタナティヴを経験した人たちだからこそ、できたアルバムを作れたと思うし。そこには流行とか時代とかの概念はファックだから。

—“色んな悲しさ、悔しさ、怖さを知って、希望が生まれた”

—そう伺うと、デラックス盤に収録してある「Leaf」は聴いて欲しいですし、「Begining」のmemoryでは”歌いたいことより歌えることを歌う”とあったように、「Waking up」での世界には、流行も時代も関係のない日常が詰まっていますよね。

JESSE:ただオマエの横で起きることが幸せだってことだからね(笑)。

—その日常と流行り廃りの非日常、どっちがカッコイイかダサいかで言えば、断然カッコイイだろうし。

JESSE:カッコイイかは別にして、ダサくはないよね。で、ダサくないを追求していくと、必然的に部屋に残るのがカッコイイだけになるみたいな。カッコイイを選ぶんじゃなくて、ダサいを見つけて省いていく方が俺らに合ってるのかもしれない。

—ただ、それを見つける嗅覚や知識、経験が備わった上での話だし、みんなができるものでもないとも思うんです。「Revolution」でのHiro Fujitaさんの声だって、The BONEZだからこそ、こうやって楽曲にして放てると思うし。

JESSE:RAGEが大好きだったからね。ザックが言おうとしてる細かい政治の話とかは、その国に住んでいないから伝わらなかったけど、説教じみてないし変わろうって言っても変わらないから、提示しないといけないんだってところがカッコよくて。ALS患者でHiroみたいに瞬きしかできない人もいれば、脳がピンピンしたまま、動かない体に閉じ込められてる人も中にはいる。その中で「この病気と戦って行こう、みんなも助けてくれ!」って言うんじゃなくて「ファック!何でこの病気なんだよ、何で俺なんだよ!」って気持ちがあるんだっていうことをメインで伝えたいんだ。ALSだけじゃなくても、様々な難病への臨床試験を速やかに進めて、特効薬を合法化してくれって曲でもあるし「こういう声が患者さんたちに詰まっていて、1番代弁したくてもできない声です」っていうのが「Revolution」だね。

—JESSEさんがこういった共演を通じて代弁してくれるからこそ、そのリアリティが伝わります。

JESSE:もし俺が、赤十字の旗を背負ってチャリティって言っても、何のリアリティもないからね。俺の1番のリアリティは、Hiroと会ってその目の中に見えたことだから。

—The BONEZという“人間”が放つ13通りの感情や景色が「To a person that may save someone」に詰まってるから、Hiro Fujitaさんの声が入ることも、また必然なんですね。

JESSE:それでしかないね。「To a person that may save someone」は”誰かを救えれるであろうあなたへ”だから。このアルバムを手にした時点で、それは俺じゃなかったって人は誰一人いない。全曲、その人を救えるであろう人が考える内容なんだよね。最終的には「Stranger」があるように、他人だけど血が繋がっていなくても大切なヤツはたくさんいる。それをもう1回、自分のさじ加減で良いから点と点の距離を知って、線を引いてみて欲しいんだよね。

—人生の物語は、必ず誰かと繋がっていて、その誰かが例えばBONERとなってライブハウスで出会い、ポジティブな新しい物語がまた作られていくきっかけにもなるし。

JESSE:そうだね。着実に来たい人が増えてる。しかも「The BONEZのライブを観に行こうよ」っていう単純な感じじゃなくて「あの輪に入りたい」って思わせられてる気がする。俺たち自身がこの輪に入ったことによって、色んな悲しさ、悔しさ、怖さを知って、希望が生まれちゃったわけだから。希望の卵ばっか見てたって、希望は生まれないんだなって再確認したよ。

—恐怖や悲しみ、それと希望は実は隣り合わせで、陰と陽なんでしょうね。

JESSE:うん。「LOVE&PEACE」って言葉があるでしょ?あれはワナだと思うんだよね。”LOVE”があると嫉妬が生まれるでしょ。”LOVE”があるから壊したくなくてチャレンジしなくなるし、”LOVE”があり過ぎるとそのものへの束縛が生まれて、近づくヤツを殺すかもしれないし”PEACE”が生まれない。戦争があった時代に生まれた言葉だから、”LOVE”があれば”PEACE”が生まれるぜって考えだったと思うけど、今の時代はまず”PEACE”を生むことが大事。その為にはあのマークの線みたいに、自分と誰かと繋ぐ線があれば生まれるんだよね。今回の歌詞は、俺が36年生きて、その”PEACE”を作るにはどんだけ大変なのかを知った上での解釈だから。やっぱ”PEACE MAN”っていうのが、俺は一番好きだね。


取材:2016.03.11
インタビュー・テキスト:Atsushi Tsuji

リリース

To a person that may save someone

・ 通常盤:CD全12曲収録 TBRD-0323 / 2,300yen + taxAmazonより購入
・デラックス盤:CD全13曲収録+DVD(Tour Documentary”Blood In Blood Out”)[1時間40分] TBRD-2800 / 2,800yen + taxAmazonより購入

To a person that may save someone | 特設ページ

ライヴ

The BONEZ TOUR 2016
“To a person that may save someone”
5/6 Fri. 梅田 CLUB QUATTRO
5/7 Sat. 岡山 IMAGE
5/12 Thu. 広島 cave-be
5/13 Fri. 福岡 Drum Be-1
5/15 Sun. 高松 DIME
5/20 Fri. 新潟 CLUB RIVERST
6/3 Fri. 仙台 darwin
6/5 Sun. 札幌 BESSIE HALL
6/10 Fri. 名古屋 E.L.L
7/15 Fri. 渋谷 TSUTAYA O-EAST
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