T$UYO$HI (The BONEZ)インタビューvol.49

—色んな人と焚き火を囲んできた結果

—2016年のライブは「ポルノ超特急2016」が最後でしたっけ?

T$UYO$HI:そうですね。しかも前日の23日が「AIR JAM」だったんですけど、1番手だから朝の6時30分入りで(笑)。

—会社員の出勤時間より早い(笑)。

T$UYO$HI:Yahooドームで、朝9時から爆音でリハしました(笑)。んでAIR JAM終わって0時くらいまで会場で中打ちして、ホテルのロビーに5時30分集合して京都に移動っていう(笑)。俺は嫁さんと子供達も連れてったけど、頑張って起きてくれました。非常に良いライブだったっすね〜、2016年を締めくくるに相応しい2日間だったな。こうやって、直近のことは大丈夫なんだけど、1年くらいの時間感覚になると、全然わかんないんだよね。今日も、去年の1月4日にKの誕生日会でみんな集まってて、だけど俺はやることあるからそのまま帰ったっていうお客さんのリツイートを見て、「そう言えばその日、俺は家に帰ってアルバムの1曲目『To a person that may save someone』を完成させたんだ」って思い出したくらいで。

—前回のインタビューでも仰ってくれていましたね。しかも、それまでは最近YouTubeで映像配信もされた「Remember」がリードの予定でした。そういう事柄を改めて思い返すと「あれ?まだ1年前か」みたいな?

T$UYO$HI:そう。しかも、1月の頭に作った曲を3月にはリリースしてるって、ものすげースピード感だなって(笑)。アルバムに収録する最後の曲として、1曲目を作りたいから待っててって皆んなに言って。元旦にあのイントロの部分を作って、1月5日に完成させてすぐレコーディングしたのかな。何て言えばいいんだろう…「まだあれが1年前なの」っていう感じなくらい、2016年が充実しすぎていた。だけども、あっという間に感じたわけではなくて、色んなことがあり過ぎての「まだ1年前のことなんだ」ていう感じ。

—それはThe BONEZを軸としながらも、”T$UYO$HI”としての充実度が大きいんでしょうね。

T$UYO$HI:そうですね。石川剛としてチャレンジをしたし、その結果がとても充実してて。まあ、The BONEZのアルバム自体も、ここまでいっぱい曲を作ったことも無かったし、頑張ったかなって(笑)。映画のサントラもそうだし、洋服もそうだし、前からやりたいなって思っていたことを完成度は100%にはまだ行ってないとしても、去年は両方ともトライすることが出来たからね。

—偶然、2016年に重なったんですか?

T$UYO$HI:たまたま同じタイミングでしたね。「え、それ同時に出来んの?」って時期だったけど、取り敢えずやる(笑)。それでも、流れてしまったこともあって。洋服の撮影は、最初LAでやる予定でスケジュールを空けていたけど、サンプルが間に合わなくて行けなくなったんすよ。けれども、そこでLAに行ってたら、映画の曲を作るのもかなり厳しかったから、結果オーライだしタイミングは良かったのかな。そんな感じで何かしらはしてたから、暇だなぁってときがなかったね。

—制作したものが世に放たれるタイミングも良かったんでしょうね。

T$UYO$HI:確かに去年は水面下から出て、形になる活動が多かったね。作ったものがアルバムになって、それによりThe BONEZってものがみんなに観てもらえたし、フェスでも良いライブできた。洋服も形になったり、映画の公開は今年だけど、発表されるものが形になったから、すごくステップアップした気がするし。後厄だったんですけど(笑)、めちゃくちゃ充実してましたね。同級生のヤツらとか同い年のミュージシャンとかに「T$UYO$HI、厄払い行った?」「いや、俺いいや。自力で振り切る」って言って(笑)。

—振り切るって(笑)。行かなかったんですね。

T$UYO$HI:行かなかった。で、結果いい年だった(笑)。

—一昨年インタビューさせていただいたときから、ずっと言ってこられたことがもう具現化されたことは、やっぱりすごいですよ。

T$UYO$HI:言い続けてきたから出来たというのも、また違うんだけどね。やっぱり、それは何事も1人でできることではないから。今回の洋服にしても、映画音楽にしても、そういう人たちとの繋がりがあったからできることで。普段から顔を出したり遊んだりするような人たちから、そういう話が舞い込んでくることが多かった。だからと言って、決して仕事が欲しいからとか、そういうことを期待して付き合ってきたわけではないですけどね。あと、自信と過信は違うというか「俺は将来こうなるから」「小説家になって印税暮らしして」とか夢だけ語って行動しない、「アイツ、現実や足元が見えてねえなぁ」って野郎にはなりたくないです。ただ、言ったから叶うというわけではないですから。

—言ってしまえば、The BONEZもJESSEとの繋がりからとも捉えられます。きっと、今回はThe BONEZ以外でも、そういう繋がりから生まれたことが多かったんですね。

T$UYO$HI:全部のことがそうだと思う。人との関係性から出来たのであって、どっかの事務所に入ったから出来たとかじゃないしね。しかも、俺は実力でのし上がってきたタイプじゃないしさ。

—それはベーシスト・T$UYO$HIとして、ですか?

T$UYO$HI:例えばKenKenだったら、ベース一本担いでサムライ的にやってきたってタイプじゃない?俺はちょとそれとは違うかなと。

—でも、そこはT$UYO$HIさん在りきの話だと思いますし、術は違うんだけど行き先は自分のアイデンティティを持ってということだと思うんですけど。

T$UYO$HI:うーん、まぁそうね。俺は闘いに備えて、ひたすら”剣を磨いてきたタイプ”じゃなくて、人に会って生きてきた感じかな。家で剣を磨くんじゃなくて、色んな人と焚き火を囲んできた結果って感じ(笑)。

—別に刀持ってきてない訳じゃないんだけど(笑)。

T$UYO$HI:そうそうそう(笑)。だけど、テレビや映画のサントラも面白かったんですけど、唯一あれは1人でひたすら家でやってて。勿論、監督とのやりとりがある訳ですけど、マジで辛かった(笑)。ムチャクチャ胃が痛くなったし、監督からどういう反応が来るんだろうなって。だって、何日か掛けて作っ自分の作った曲が「イメージが違います」って、バッサリ終わっちゃうこともあるから。バンドの曲でもそうだけど、自分が良かれと思って作ってるじゃないですか。それを相手のフィルターが通って、OKが出ないといけないって経験は初めてだったから。そのときにどうしようって相談できるメンバーも、いない訳じゃないですか(笑)。こういうクライアントとの仕事やってる人はマジですごいなって思ったし、勉強にもなった分、早くバンドに戻りてぇってメチャ思った(笑)。

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