a flood of circle再び4人へ!愛に溢れたアオキテツ正式加入式典!

度重なるメンバー交代を始め、ありとあらゆる死線をくぐり抜けてきたロックンロールバンド・a flood of circle。何があっても転がり続ける活動スタイルは、いつしかバンドの代名詞になった。それは彼らの勲章でもある一方で、いつまでも付きまとうレッテルだったことも否めない。だが、こんな前置きを書くのもこれが最後だ。a flood of circleのギタリストリレーに終始符を打つべく現れた男の名は、アオキテツ。サポートギターの一般公募によって選ばれた大阪出身の若きギタリストだ。オーディションで彼は「ここに骨を埋める気できた」と宣言したという。メンバーにとってもファンにとっても、嬉しい言葉だっただろう。だけど、半信半疑でもあったはずだ。少なくとも、私はそうだった。

それから約1年半。当初の心配を余所に、彼はa flood of circleの正式メンバーとなった。誰もがこの報せを待ちわびていたに違いない。ライヴを重ねる毎に大きくなるアオキへの声援や、4人で作るステージの強度が増すにつれ、彼の正式加入を願わずにはいられなかった。そんなメンバーやファンの想いが形になったのが「アオキテツ正式加入式典」なのだろう。サポートメンバーの正式加入が決まったからといって、こんなライヴを開催するバンドなんて聞いたことがない。だけど、とてもフラッドらしいなとも思う。そしてそんな公演をソールドアウトさせてしまう、彼らのファンもまた然り。再び4人になったa flood of circleの門出は、愛に溢れた夜だった。

1曲目の「Blood&Bones」からバンドサウンドが一塊となって迫りくる。“4人の音”が既に出来上がっていることをアピールするには十分すぎる滑り出しだ。続く「Lightning」では、体の芯に響く重たいグルーヴと、闇を切り裂くように鮮烈なアオキのギターのコントラストで魅せる。そして観客を驚かせたのは、今となってはレア中のレア、インディーズ期のファーストアルバムの収録曲「ガラパゴス」の演奏だった。選曲をしたのはなんと、アオキ。これでまたひとつ株を上げたに違いない。「渋谷!ロックンロールの準備はできてるか!」と佐々木がフロアを焚き付けて始めた「Rex Girl」ではHISAYOがあだっぽい歌声を披露すると、熱狂がさらに加速する。かつてはどうしても佐々木という圧倒的なフロントマンの色が濃いバンドだったが、最近はどんどんメンバーの個が際立ってきた。その背景にあるのはやはり、この日の主役の存在だろう。

中盤に差し掛かったところで「俺の大好きなロックンローラーたちに、俺の大好きなギタリストを紹介するよ」と、佐々木亮介(Vo, Gt)がコール。それを受けたアオキがステージ中央に踊り出てタイトルを叫び「King Cobra Twist」を始める。ステージ上手でアオキのマイクを使いながら歌う佐々木の顔は、弟の活躍を見守る兄貴そのもの。「行ってこいテツ!」と、佐々木からの愛のムチを受けたアオキがこれでもか!と体を反らしてギターを弾き倒すと、フロアからは彼を讃える歓声が沸き起こる。しかし、彼がギタリストとしての真骨頂を見せつけたのは、その後のジャムセッションだった。

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