The BONEZ&SHADOWS-Defend Your Style TOUR 2017 | 恵比寿 LIQUIDROOM

ミュージシャンとは、言葉にできない想いを音楽で伝える表現者だとするならば、そんな音楽をロックで掻き鳴らすThe BONEZとSHADOWSは、表現者であると同時に「彼らの音楽に魅了された者たちの代弁者でもある」と、今日のライヴを観て改めて思った。
しかも、それは音楽というアウトプットだけではなく、彼らの姿勢や精神、もっとシンプルに言えばその”生き様”をも含めて、彼らはその凝縮した魅力をステージで放つのだ。

そんな彼らが企てた、『Defend Your Style TOUR 2017』と題された東名阪の3公演は、全てソールド・アウト。聞けば、先月末に秋田県で行なわれた「OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL」より、彼らはバスでの移動を共にし、このツアーまで廻ってきたという。新幹線・飛行機などが驚くほど普及している現代において、敢えて選ばれたであろうバスでの旅路は、やはり彼らならではのスタイルなのである。

ロック・バンド同士は、本来ならばライバル関係であることは言うまでもないが、「同じ釜の飯を食う」が如し、より同じ時間を過ごすことで形成される、その超越された関係性もまた、彼らならではのスタイルであり、今日の恵比寿 LIQUIDROOMでのパフォーマンスが、それを物語っていた。
トップ・バッターのSHADOWSのステージを袖で見守るThe BONEZの面々。
堪らずJESSE(Vo/Gt)がステージからダイヴをするなど、フロアと同じテンションやエネルギーで、このライヴを体現しているのだ。
ステージ上で4人の手が重なり、それぞれの立ち位置へと進む。炸裂したリフが光放たれる『ray』で、The BONEZのステージは始まった。 音源とは異なり、新たな深化が施されたアレンジで聴けるのは、ライヴの醍醐味の1つと言えるだろう。加えて、彼らが次に進むであろうベクトルの片鱗が垣間見れることも、併せて付け加えておきたい。

また深化といえば、そのライヴ・パフォーマンスからも深く読み取れる。
JESSEがオーディエンスと同化するかのような唯一無二のパフォーマンスには、幾度となく目を惹かれるし、ロック・ミュージシャンのフロントマンで、彼に太刀打ち出来る者はそういないだろう。必然的に、彼のパフォーマンスへ視線が集中しがちになるのだが、The BONEZの魅力はむしろ、それだけではない個々の4人の集合体で魅せるバンド力にあると私は思う。
ソリッドなギター・リフのままに、ときにモニター・アンプに立ち、髪を振り乱しながら掻き鳴らすNAKA(Gt)の姿は、決して照明の光ではないオーラみたいなものが浮き立って見えたし、T$UYO$HI(Ba)はラウドなビートからメロディアスなベース・ラインまで、バンドの呼吸や息遣いまで表現しているように思えた。そして、ZAX(Dr)の破壊力の中にある繊細さは、楽曲を美しくも激しく、バンドの心臓役として圧巻の存在感を見せる。
こうして、個々の圧倒的なスタイルを貫いても尚、プラスではなく掛け算にできる彼らのパフォーマンスを魅せつけられると、このツアー・タイトルである” Defend Your Style”を優に想起させるし、ツアータイトルに命名された納得度が高まるばかりだった。

また、それを強く感じさせられたのは、本ツアーで初披露となった新曲を放ったときだった。
ロック・バンドの武器や魅力として、爆発力や瞬発力が挙げられるが、決してそういった類の”飛び道具的要素”ではなかったのだ。
『SUN TOWN』『NICE TO MEET YOU』と呼ばれる楽曲は、これまでに生み出された『To a person that may save someone』のようなスケール感も、『sun forever』のようなエモーショナルも、『Zenith』のようなアッパーさも兼ね備えていて、もっと強力なエネルギーに満ちた4人が、ドラゴンボールでいう「渾身のかめはめ波」を、それも何度でも打てる状態になっている感じだった。
要は、これまで培ってきた要素や成分みたいなものが凝縮されて、特定の音楽性やジャンルをも超越した”The BONEZ”を、私たちは真正面から浴びせられるのだ。
カッコイイし、ギラギラしてるし、様々な形容が可能だけれど、きっとどの感じた言葉も正解だった。何故ならば、そのすべての言葉が今のThe BONEZを形成しているものであって、どれが欠けても成立しない凄まじさがある。

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