杉本恭一 ライヴレポート「Tail Peace Tour 2017」@原宿アストロホール

杉本恭一の年末恒例ライヴが、12月23日(土)に東京・原宿アストロホールで行なわれた。

11月の新潟を皮切りに、仙台、青森、岡山、福岡、大阪、名古屋と回ったワンマンツアー『Tail Peace Tour 2017』のファイナルはもちろん、杉本が一年を締めるライヴをこれまでに何度も開催してきた馴染みの深い原宿アストロホール。今年いっぱいで惜しくも営業終了となる同会場には、年の瀬ながら大勢の観客が駆けつけた。

杉本恭一(Vo&Gt)のギターリフとシャウトで火が付く「Brand New Life」から勢いよくライヴがスタートすると、奥村大(Gt)、有江嘉典(Ba)、中畑大樹(Dr)のパワフルなコーラスにも後押しされて、フロアにはすぐさま歓喜の拳が上がる。中畑の太鼓を合図に熱量が倍増した「天国ロックショー」、杉本がギターネックを激しく動かして“Lahahahahahah…..”と吠えた「Go on」。問答無用のエネルギーで雪崩れ込むグルーヴは痛快極まりなく、ソロパートの受け渡しを見てもバンドが絶好調であることがビシビシ伝わってくる。

「Tail Peace Tourへようこそ! 今日は最後のアストロホールなので、一度もやったことがなかった、竹下通りを抜けてくる道順で会場へ来たんだけど、すごく後悔しました(笑)。なんなの? あの“オニイサン、オニイサン”っていう売り子の黒人たちは……」

そんなくだりから「土足で上がったその靴をまず脱げ!」へ繋げるユーモアも楽しい。また、二刀流の大谷翔平を引き合いに出し、「歌とギターとカウベルの三刀流でいきます」とおどける野球好きの杉本。奥村と有江にも持たせてはメンバー紹介を兼ねたカウベルセッションで沸かせるなど、この日ならではの特別感が随所にあった。

竹下通りにちなんだ杉本のMCはまだまだ続き、「デビューのときの撮影でね、日曜日のぎゅうぎゅう詰めになってる竹下通りに高台を用意されて。市松模様の衣装を着せられたレピッシュのメンバーが、集団の中で首だけ出てるの。すごく恥ずかしい思いをしたんだけど、結局それは大したモンに使われませんでした(笑)。あと、同級生に“お前のブロマイドが売ってたぞ!”とか言われたりさ~」と昔を懐かしみながら、オーディエンスの爆笑を誘う場面も。

ソリッドでタイトなスタートダッシュを経て、ミクスチャーロックやスカ、ニューウェイヴ、パンクが自然にコラージュされ、いつの間にやらミッドテンポへと気持ちよくシフトチェンジしているのが杉本恭一らしい。フットワーク軽く、シリアスになりすぎず、それでいて想像力を喚起させる。「石の星」「モンローウォーク」といったレア選曲でも楽しませつつ、屈強メンツの絶妙なアンサンブルが、カラフルにサイケに場を彩っていく。

「ELE(上田現のソロバンド)で現ちゃんといっしょにやってた(奥村)大とね、並んでステージに立ってるのは不思議ですが、大に話を聞いてるとさ、俺の知らない現ちゃんが出てきたりするわけ。で、前に酒の席で聞いてバコーンと来たのが、“自分のソロの曲の中にも杉本恭一がいる”って現ちゃんは語ってたらしいんよ。それはね……たまんなかったわ! いや、俺のソロの曲の中にだってあのジイさんいるしね。あ、もう年下だけど(笑)」なんていう紹介から、中盤では盟友・上田現の「宇宙ステーション」をカヴァー! 杉本の声で聴く上田のナンバーはとても贅沢で、裏打ちのリズムと遊泳感にうっとりしてしまう。

情景的な味わいや聴き手に寄り添う温かみにあふれる「Dusk」「moon」「色の無い夢」では、時に轟音が冴えるスケールの大きいサウンドの中、杉本の歌い手としての魅力、泣きのギターを含む表現の豊かさが存分に感じられた。そして、最高の流れでレピッシュの名曲「Blackbird」へ! このドラマティックすぎる展開に、思わず涙ぐむファンの姿が多かったのは言うまでもない。

「ラオラウ」「RED MONKEY」「Marking Point」など、本編ラストは頭からっぽでワーッと踊れるアップナンバーを次々に投下。ベテラン感を瞬時になくせて、バンドのプリミティヴな楽しさが変わらずいつもある。そういう杉本恭一のかっこよさも、この日のライヴでたっぷり再確認できた。

「今日はありがとうございます! 本当に楽しいツアーでした。このメンバーはミュージシャンとしてもすばらしいし、過酷な機材車移動も付き合ってくれるし、ちょっとした会話でアレンジがいい感じにバンバン変わったりするんで面白いですよ」と充実の表情を浮かべる杉本。そんな言葉に、そして続けて演奏された「Tour」に、彼の生きざまがわかりやすく現れていたと思う。

アンコールは奥村のファズギターが豪快に映える「電撃」、衝動のままに突っ走る「TACO」も怒涛のごとく繰り出し、見事“今日イチ”の盛り上がりで2017年を締め括った。

なお、来年3月24日(土)には『イチ「ピクチャーミュージック」か!バチ「STEREO 8」か!』と題したワンマンライヴを行なうことも発表された。同公演では、1stアルバム『ピクチャーミュージック』(1996年)と最新アルバム『STEREO 8』(2016年)の全曲を演奏するという。こちらも貴重な一夜となりそうだ。

Text:田山雄士


【セットリスト】
01.Brand New Life
02.天国ロックショー
03.Go on
04.土足で上がったその靴をまず脱げ!
05.石の星
06.アレ
07.NEW1
08.モンローウォーク
09.Antique Radio
10.ブラブラ
11.終わる事無いイメージ
12.宇宙ステーション
13.Dusk
14.moon
15.色の無い夢
16.Blackbird
17.ピース
18.ダミーリリック
19.ラオラウ
20.RED MONKEY
21.Marking Point
〈Encore 1〉
01.Tour
02.カナリヤ
03.電撃
〈Encore 2〉
01.TACO

<LIVE Information>
『KOENJI HIGH 10th ANNIVERSARY イチ「ピクチャーミュージック」か!バチ「STEREO 8」か!』
2018年3月24日(土) 東京 高円寺HIGH
OPEN 17:30 / START 18:00前売¥4,000 当日¥4,500(共にD代¥500別)
チケット一般発売:2018/2/3(土)
(問)HIGH:03-5378-0382

■【ROCK-A-村塾 Lesson-14】
出演:水戸華之介 ゲスト:杉本恭一
◇ 2018年1月12日(金) 渋谷 七面鳥
OPEN 18:30 / START 19:30 予約¥3,000 当日¥3,500 (ドリンク代¥600別)

■【Rockland VS880-KS vol.32】
出演:杉本恭一 / 百々和宏とテープエコーズ
2018年1月27日(土) 下北沢CLUB251
OPEN 18:30 / START 19:00 前売¥3,500 当日¥4,000 (共にD代¥500別)

■【Rockland VS880-KS vol.33】
出演:杉本恭一 / AKIRA WILSON [AKIRA(HARISS/SIDE-ONE)、真鍋吉明(the pillows)、高橋浩司(HARISS/DQS)、MARCH]
2018年2月10日(土) 下北沢CLUB251
OPEN 18:30 / START 19:00 前売¥3,500 当日¥4,000 (共にD代¥500別)

http://www.kyoichi-s.com/

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