「ドハツの日、勝手に制定したけど、もう10年近くになるんじゃないの!?」
怒髪天が毎年恒例の「ドハツの日(10・20)※2013年10月20日に勝手に制定」を10月20日、東京・浅草花劇場にて開催した。“10年ひとつまみ2011〜2021”と題された今年の演目は、最近のライブであまり演奏されてこなかったここ10年の曲を主軸としたものだ。そんなレア曲のオンパレードは、会場に集まったオーディエンスと配信を見る多くのファンを喜ばせたが、同様にステージの4人もこのスペシャルな宴を楽しんでいた。
「よく来たぁ!!」
増子直純(Vo)の威勢の良い掛け声とともに「独立!俺キングダム」で宴は始まった。いつもはリーゼントをコームで梳かして……という増子だが、東京に出てきて30年、12月リリースの再録アルバムに合わせ、「昔を思い出してもらうために」と髪を伸ばしているとのこと。サラサラロングヘアを振り乱しながらダミ声を高らかに浅草の空へと響かせる。お馴染み「酒燃料爆進曲」を声を出せないオーディエンスはソーシャルディスタンスを逆手に取り、全身全霊の身振り手振りで応えていく。
増子曰く「我々全員、胃に穴が空いております」と、久々に演奏する心地よい緊張感のもと披露されていく隠れざる名曲たち。「ホトトギス」では勇ましく力強く、「押忍讃歌」では巧妙なアンサンブルを聴かせる。上原子友康(Gt)の繊細さと豪快さが交錯していくプレイと清水泰次(Ba)の堅実的なベースラインが絡み、坂詰克彦(Dr)のどっしりとしたビートが安心感を生む。増子の敬礼で始まった「希望丸より愛をこめて」の熟練味が溢れ出る重厚なサウンドに会場は酔いしれた。
王冠を被った坂詰のギャクコーナーが曲中にぶち込まれた「ヘイ!Mr.ジョーク」。ここでは文字にできない〈子供にゃとっても聞かせられないエグい下ネタ〉で滑りに滑りまくるも、自信たっぷりに次々ネタを投下していく鉄のメンタルと、そんな坂詰を呆れながらも温かく見守る3人。怒髪天らしいおふざけと4人の妙な信頼関係を感じた一幕だった。
打って変わって、「さらば、ふるさと」「歩きつづけるかぎり」と熱い歌声を轟かせた増子が、「アルバムは写真のアルバムが語源。思い出を残しながらそれをみんなと共有できるから素晴らしい」と自分たちが音楽に込めてきた想いを口にした。
「H.M.A.」「HONKAI」、そして自らの音楽をこれほど的確に表した言葉があるだろうか、「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」で本編は終了。アンコールは会場いっぱいに上がった腕が右へ左へと大忙しの「オトナノススメ」で大団円。
「生きてまた会おうぜーー!!」
増子のいつも決め台詞で終宴した。東京三十年生、北で生まれた時をかける野郎どもによる来年3月からの全国ツアーが待ち遠しい。
Text by冬将軍
<ドハツの日(10・20)特別公演 “10年ひとつまみ 2011~2021″>
アーカイブ配信 10月27日(水)23:59まで。
https://eplus.jp/sf/detail/0033960006?P6=001&P1=0402&P59=1
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