「ナイスなTシャツを着ているね、こっちにおいでよ!」とブランドンに促され、最前列で「Can I Drum?」と書かれたプラカードを掲げていたファンがステージに上がる。ファンが飛び入りしてドラムを叩くのは彼らのライブの恒例イベントで、この日はキラーズのTシャツを着ていたファンのワタルさんが“For Reasons Unknown”を叩くことに。セッティングもままならない文字通りの飛び入りだったにも関わらず、全身を使ってパワフルに打ち込む彼のプレイは圧巻!の一言だったし、カウントがズレた冒頭を一瞬で修正し、彼のドラミングに自分達を寄せていったバンドも流石だ。ワタルに全幅の信頼を置いてベースとギターを弾いていたブランドンとロニーが、時々顔を見合わせて嬉しそうに笑っていたのも印象的だった。フィールドからは「ワタル!」コールも巻き起こった“For Reasons Unknown”が、セット中盤のハイライトとなったのは間違いない。
そんな“For Reasons Unknown”からいったんクールダウンするように始まったバラードのセクションではエルヴィス・プレスリーのヴァージョンで良く知られるクラシック“Are You Lonesome Tonight?”のカバーを、そこからシームレスで“Runaway”に繋ぐ展開もドラマティックだ。“Runaway”はU2を彷彿させるドラマティックなギター・チューン。キャッチーなメロディを高密度のシンセで奏でるエレ・ポップと合わせて、広大な大地を直走るようなヌケのいいエピック・ロックもキラーズの醍醐味の一つだ。最新アンセムの“Caution”でもサブレーのギターが冴に冴え、大団円の“All These Things That I’ve Done”に向けてさらに加速を付けていく。「ファビュラスなラスベガスからやってきた、僕らがザ・キラーズだ!」と叫ぶブランドンは最高に晴れやかな顔をしていた。桜色の紙吹雪が舞い散る中、彼らと日本のファンの間の靄が吹き飛んだような本編のエンディングだ。
この時点でフィールドからは感嘆のようなどよめきと「キラーズすごい…」という呟きがあちこちで上がっていたが、もちろんここで終わりではない。アンコールはキラーズ史上最もファンキーな“The Man”で幕を開ける。アンコールの3曲のためにわざわざピンクのジャケットに着替えてきたブランドンも最高だったし、彼らは本当に最後の最後まで力を抜くことをしない。ラストはもちろん“Mr.Brightside”。アレンジを効かせた変化球でワンコーラスやって観客を温めてから、満を持してあの必殺のイントロでリスタートするという憎い演出で、コール&レスポンスも完璧に決まる!彼らとファンの20年分の思いの丈を詰め込んだ“Mr.Brightside”のシンガロングはこの日、キラーズと日本の新しい歴史が始まったことを告げる感動的なフィナーレだった。
文:粉川しの
【フジロックセットリスト】
https://umj.lnk.to/TheKillersPL
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