ANGINE DE POITRINE at FUJI ROCK FESTIVAL’26 7/26 FIELD OF HEAVEN レポート

ANGINE DE POITRINE

7月26日のフジロック2026(3日目)のFIELD OF HEAVENで、KlekとKhnの2人がステージに登場した瞬間、会場を埋め尽くした観客から熱狂的な歓声が沸き起こった。彼らの登場そのものが、すでに何か規格外の音楽体験が始まることを予感させていたからだ。

ライブは、Khnのタイトで正確無比なドラムビートによって幕を開けた。
ミニマルでありながら身体の奥底を揺さぶるようなリズムがレッド・マーキーを満たしていく。そこに重なるのが、Klekが奏でるダブルネック・微分音ギターの不穏で催眠的なリフだ。
通常の平均律には収まらない、歪で非対称な響きが、アシッドテクノの反復ビートと絡み合い、異次元のグルーヴを生み出していく。

彼らの音楽の最大の魅力は、その変拍子とルーパーの駆使にある。
一聴すると即興的でカオシスに見える展開も、実は緻密に計算されたルーパー・ベースのループによって構築されている。
不協和音が幾重にも重なり合い、巨大な音の壁となってオーディエンスに押し寄せる。
しかし、その轟音の中には不思議と心地よい浮遊感があり、観客は完全に彼らの作り出す音の迷宮へと引きずり込まれていった。

中盤、彼らの代表作であり最新アルバム『Vol.2』にも収録されている「Mata Zyklek」が投下された瞬間、会場のボルテージは最高潮に達した。
彼らの演奏は、ただストイックに技術を見せつけるものではない。
純粋にロックを楽しむという初期衝動が細部に宿っており、そのユーモラスかつ活気に満ちたエネルギーが、言葉の壁を越えてオーディエンスの心に直接突き刺さっていた。

ANGINE DE POITRINE

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ルーパーと変拍子を駆使し、ループベースの音楽の可能性を限界まで押し広げた約1時間10分のステージ。
彼らの音楽は、ある種の「祈り」のようであり、同時に現代におけるロックの進化系を体現するものだった。
タイトなドラムスと微分音ギターが絡み合うあの催眠的な空間は、間違いなく今年のフジロックにおけるハイライトのひとつとしてファンの記憶に刻まれた。

ANGINE DE POITRINE

1.Angor
2.Yor Zarad
3.Tamebsz
4.Mata Zyklek
5.Ababa Hotel
6.Sarniezz
7.Fabienk
8.Sherpa

text & photo Atsushi Tsuji

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