そして、他アーティスト作品への客演や他プロデューサーとの共作楽曲のみを収録した最新アルバム『禁じ手』に収録されたBIGYUKIとのコラボ曲「秘め初め」ではエレクトリックなアップライトベースによるイントロから、椎名の歌声をオケで流した上で、ピアノとドラムが凄まじいインタープレイを繰り広げ、サイケデリックでカオティックな雰囲気で場内を染め上げた。向井秀徳との「SI・GE・KI」ではドラが鳴り響く暗闇の中から、月桂樹の葉をモチーフにしたヘッドドレスとウエディングを想起させるスパゲッティストラップのグリーンのドレスを身に纏った椎名が再登壇。ミュートトランペットによるリフレインが空間を切り裂き、赤・白・黄のライトがせわしく明滅するステージで合掌すると、観客からは拍手が沸き起こった。そして、艶やかなジャズバラードにリアレンジされた「おこのみで」から、スキャットのような速いパッセージのボーカルとテナーサックスのソロによって観客の熱量がグッと引き上げられた「迷彩」へ。さらに、英語歌詞のジャズナンバーとなった「錯乱(TERRA ver.)」、林原めぐみに提供したラテン歌謡「薄ら氷心中」と、やりきれない出来事に心が引き裂かれていく楽曲を立て続けにプレイ。自由自在にテンポを変化させたスタンダードナンバー「take five」のアウトロの5拍子から、続く次曲のイントロの5拍子をシームレスで繋いだ「TOKYO」で「ああしんどいわ」と嘆くと、16cmヒールのパンプスのレッドソールが見えるほどふらつき、頭を抱えながら歌いあげた椎名は、最後にマイクを床に落として、狂乱に満ちた1つの恋を締めくくった。
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