J インタビューvol.46

2017年にソロデビュー20周年を迎えるJ。昨年にソロ10作目となるフルアルバム「eternal flames」をリリースし、今年まで続いたツアーに続きアナウンスされたのは、この秋から始まるアニバーサリーイヤーのカウントダウンを刻むこととなる「J 2016 LIVE 10 days of GLORY -10 Counts for Destruction-」。本インタビューでは、その20周年へのカウントダウンを直前に控えた現在の心境と、J自身による「10 days of GLORY」へ出演するアーティスト解説をお届けする。

—ちょうど昨年の今頃が「J LIVE TOUR 2015 – Live On Instinct -」のスタートだったんですよ。

J:おお、1年前ですか。

—はい。個人的な感覚ですが「あれ、もう1年経ってる」という気はしているのですが、Jさん自身はこの時間経過をどう捉えていらっしゃいますか?

J:そうだね、全く同じ気持ちで「そんなに時間が経ったんだな」って思うのと、「まだそのくらいしか時間が経ってないのか」って思うのと、2通りあるね。

—作品の制作期間まで鑑みると、それ以上の時間の感覚になるでしょうし、逆に1本1本のライブを想起させると、その瞬間に舞い戻りやすかったりしますよね。

J:そうだね。結局、「eternal flames」が自分自身にとって、10枚目のフルアルバムと言う節目の中で生まれてきてくれて、物凄い重要なアルバムになった部分がある。で、それを提げたツアーは、初日から物凄い熱を帯びたツアーだった。その全てが、自分に新しい刺激を与えてくれたというかね。このポイントで、まだこんなことが起きるんだなって、自分自身でも驚きでさ。ライブを演ってるときに「まだ先に行けるんだ、まだ先に行けるんだ」という気持ちになってたのを、今でも鮮明に覚えてるから、タイムレスな感覚がすごくあるんだよね。

—「eternal flames」自体、所謂”back to basic”という部分を感じていて。Jさんの中には元から存在はしていたんけれども、表に出してなかったロックの一つだった部分を作品として、またライブで表現し続けてたからこそ、日常化もしてるんでしょうし。

J:うん。10枚目だからこそ、自分の中で脈々と流れていた「ここで音にしておかないといけないな」っていう、俺自身のロック感みたいなものを表現できたと思うんだ。それによって”楽になった自分”が確かにいるし。

—楽になった自分とは?

J:広がっていけるって意味でね。やっぱり自分の中に持っているものであれば、どんな形をした曲でもロックできるんだってことを改めて認識できたし。それを「これからもやり続けていけるんだ」って、力強く思えたレコーディングだったしね。そういう意味では、さっきも言った通り、時間というものを超えた上で、自分自身の過去から今までを全部ひっくるめて、アルバムにブチ込んだっていう感覚がすごく大きいからさ。そう思うと、不思議な一年という時間を過ごしている感覚があるよね。

—言葉にすると簡単かもしれないですが、ライブ1つを取っても、今までの楽曲と織り交ぜた構成となっていました。そこに今回のベーシックなロックがあるから、これまでの激しい曲もより映えてくるし、逆にこれまでの激しい曲があるから、ベーシックなロックの部分が映えてくるし、すごくビビッドな感じがしたんですよね。

J:そう言われると凄く嬉しいなというか、自分自身が求めてたのは、正にそういう場所だったから。当然、時代性もあるし自分自身の成長の度合いみたいなところもあるけど、その都度その都度、自分の100%をアルバムには叩き込んできた訳で、その全てが線で結ばれているものだと思うから。それを証明できたアルバムでもあると思うし、自分自身でもそういうものを繋げることが出来るヤツでありたいというかね。そういう存在に成りたいと思って、バンドを始めたワケだしさ。

—しかも、大量の音楽、またその情報が氾濫しているこの時代の中で、また普遍の個性を打ち出していくことは、すごく難しいと思うんですよ。もちろん、JさんがLUNA SEAを始めたときも同じように、XやTOKYO YANKEES、LADIES ROOM等のすごい個性があるアーティストがいる中で、LUNA SEAという個のぶつかり合いで生まれた唯一無二の個性で、シーンを駆け上がって行きましたが、バンド単位で考えてもすごく難しい。そしてソロになって、またこの時代に普遍の個性を打ち出していくというのは、常に100%の自分で挑んでいかないと、なかなか成立していかないというか。

J:うん。今思うと、何処にも無い物を自分自身が欲しかったんだろうなって。当然、ロックファンだしキッズだし、色んなバンドが大好きだよ。でも、それだけじゃ満たされなかった部分があったから、自分たちで創り出すしかなかった。ってなってくると、今までに無かったものになっていくというか、あまり被らないんだよね(笑)。当然、ドラム、ベース、ギター、ボーカルがいるフォーマットはあるんだけど、その中でメンバーの正直な気持ちっていう個性みたいなものをぶつけていったものは、やはり新しいものだった。特にベーシストで言えば、先輩たちはとんでもない個性を持った物凄くカッコいいベーシストばかりだったから…

—AIONのDEANさんも然り(笑)。

J:俺がローディーをやらせてもらっていたDEANも本当にそうだし、エクスタシーの各バンドのベーシストはみんなそう。カッコ良くてとんでもない人達ばかりだったから、その中で俺自身は「俺になるしかない」というか。だから、マネしにいったら負けるし、それでは超えられないっていうことをバンドの最初の頃に悟るんだよね(笑)。

—ある意味、今よりもハードな環境だったかもしれないですよね。

J:そうだね(笑)。俺は、物凄く恵まれていたのかもしれない。だって、周りにとんでもない本物の人達がいっぱい居るから。もし、その人達と肩を並べられるとしたら、自分自身がそうなるしかない。で、そうなるにはどうしていくべきだろうって、そういう発想になったから。

—そう悟った25〜6年後の先に、LUNA SEAではなく、JさんとしてDOOMとの対バンがあるということも、その”肩を並べる”じゃないですけど、普遍を求めたアンサーの1つなのかと。

J:ね。今回、DOOMと一緒に演らせてもらったのも、そういう例の一つだよね。当時から自分自身の中で音を通して感じてたすごいなと思っていた熱いものが、未だに何も変わらずに存在していて、強烈な光を放っているっていうのは、本当にとんでもないことだしさ。もし、俺が出来ることがあるとすれば、俺のフィルターを通して色んな人に観てもらうことだったりする。で、それを自分自身の悦びと感じているんだよね。

—もちろん、刺激にもなる。

J:なるし、尚且つ同じステージの上で勝負させてもらってるって、すごいことだよね。

—それで言うと、Jさんサイドで弾いていた藤田さんとのバンド内での勝負と、DOOMとしての藤田さんとのバンド同士の勝負は、Jさんの中でやはり違うものですか?

J:そうね。普段、ソロのバンドで弾いてて貰ってた藤田さんと、同じ感じで接してたらマズイなって(笑)。冗談半分だったけど、でも、DOOMで来るときの顔は絶対違うと思うし、違わなきゃいけないと思ったし。実際、あの日はライブ終わるまで一回しか会ってないんじゃないかな。

—え!それこそ、ステージ上で初めて話したみたいな(笑)。

J:そうそう(笑)。良い意味で対バンだから、それくらいの緊張感はあるべきだよね。

—それを経て、今回発表された「J 2016 LIVE 10 days of GLORY -10 Counts for Destruction-」。まず、タイトルから触れたいのですが、”Destruction “という、Jさんが正に続けてきたことを命名されています。

J:来年、自分自身がソロを始めて20周年になる、その年に向けての加速レーンというか、そんな勢いがつくようなライブを演って、20周年に突っ込んで行きたいなと思ったのが最初だったんです。で、カッコいいバンドたちと一緒に、本当に何か壊して、また新しいものを生んでいく様なライブでありたい。ずっと俺がやり続けてきたことかもしれないけれど、またここで更に打ち出せたらいいなって。

—今回のラインナップを見て思ったのは、先ほどお話ししたエクスタシーで例えるならば、エクスタシーサミットは縦の広がりだったと思うんですね。対してJさんの壊し方は、こちらの想像を超える横への広がりを持ってきてくれている感じがしています。

J:その見え方を表現するなら、自分自身がやりたかったこと、やってきたことは横の部分が凄く大きいと思うんだ。冒頭でも話した通り、光を放つバンドというのは音楽的なジャンルは問わず、被らないものだなと思っているから。そうなってくると、その区切りみたいなものが邪魔になっていくよね。理屈じゃない所で音が鳴ってて欲しいと思うと、同じロック・シーンにあっても◯◯系で片付けてしまうのってさ。

—それこそ、ロックじゃない。

J:と思ってしまうんだ。で、それを見せていけたら、俺が思っていることがみんなに伝わっていくのかなって、そんな思いを持ちながらずっとやり続けてるんだよね。

1

2 3