MERRY、『万感の扇動歌謡祭!【昭和】メリーと【現代】MERRYが切り拓いた未来への第一歩』

5月12日、〈MERRY 2018 二部制LIVE『扇動歌謡祭』一部「【昭和】メリー」二部「【現代】MERRY」〉が東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて催された。2月3日の日本青年館以来のワンマン公演となったこの日、MERRYの新たなスタートにふさわしい華やかな趣向を目撃したオーディエンスは、終始興奮と歓喜に満ちた表情を浮かべていた。

〈一部【昭和】メリー〉は、メリー名義で発表されたオリジナル・フル・アルバムの楽曲の中からリクエストを事前受付。このファン投票を元に、ランキング形式での【リクエストライブ】が披露されるという趣向だ。

定刻の午後5時を5分ほど回った頃、開演のブザーが鳴ると、ステージに姿を現したのは司会女性。メリーのメンバーたちが現れるものだと思っていた場内には、どよめきと微笑が広がっていく。彼女の紹介に導かれて、ガラ(Vo)、結生(Gt)、健一(Gt)、テツ(Ba)、ネロ(Dr)の5人が颯爽と登場すると、昭和の歌番組を模した舞台だということを瞬時に理解したオーディエンスは、彼らに思い思いの大歓声を送る。

「それでは、スタンバイをお願いします!」の司会者の声を合図に、それぞれの配置につくメンバーたち。なんだか非常に斬新な画である。ステージ後方のスクリーンには、1台の古めかしいテレビが映し出されている。その画面の中にリクエスト結果が発表されたり、生演奏中のメリーの姿が映し出されるというニクい演出だ。

まずは第15位から第12位までの発表である。序盤から中盤にかけては、3~4曲の順位が一気に明らかになり、各楽曲の生演奏が披露されるという流れ。全席指定、ソールドアウトの場内が順位発表のたびに驚きの声を上げるさまが興味深かった。

第15位にして扇動歌謡祭の幕開けを飾るのは「冬のカスタネット」。季節はもう初夏に入っているというのに、こういったしんみりした曲で始まるのも、リクエスト形式のライブならではだ。続く第14位「ひらひらとんでる。」では、このバンドの肝ともいえる哀愁が観衆の胸を打つ。こんな曲が不意にテレビから流れてきたら、思わず作業の手を止めて、そちらのほうを振り返ってしまうだろう。第13位の「閉ざされた楽園」の爆音が鳴ると、それまで着席していたオーディエンスが次々と立ち上がり、拳を天に突き出す。ショウはまだ始まったばかりだというのにクライマックス感いっぱいの第12位「空っぽな歌」も非常によく沁みた。意外な曲が思わぬ順位に入っているというスリルが楽しい。

今回のリクエスト結果をこのレポートですべて発表するのは、野暮というものだろう。この第一部【昭和】メリーを観て改めて感じたのは、彼らが生み出してきた楽曲群の素晴らしさだ。いつの間にか口ずさんでいる曲、我を忘れて暴れてしまう曲、どれもがファンにとっては思い入れの強い曲ばかり。そして何より、そういった楽曲の良さを支える各メンバーの確かな演奏力と絶妙なキャラクターから目が離せないのだ。近年さらに逞しくなった彼らが、自信たっぷりに初期のアルバムの楽曲を披露する光景は痛快だった。

第5位から第1位までは、1曲ずつ投票結果が発表された。第5位にランクインした「激声」は、【昭和】メリーのハイライトのひとつだろう。約15分の大曲ということもあり、普段のライブでは滅多にお目にかかることのできないこの曲では、交互に襲いかかってくる激しさと切なさに魅了された。この15分間に、メリーの生きざまが存分に詰め込まれていたと思う。

第3位から第1位までは、ガラが習字パフォーマンスでランキングを発表するという趣向。ここまで一切喋ってこなかった彼が墨汁と半紙を駆使して観衆を扇動する場面には、ついつい笑みがこぼれてしまう。先頃の47都道府県ツアーで一度も披露されることのなかった、隠れた名曲ともいえる2位「ピラニア」がオーディエンスに噛みつき、栄えある1位の「イエローガール」がド派手にフロアを彩ると、扇動歌謡祭〈一部【昭和】メリー〉は着地点を迎えた。

司会者から最後に一言ずつ感想を求められた5人の表情は、とても満足そうだった。初の試みとなったリクエスト形式が大成功に終わったことを、それぞれ独特の表現で語っていたのが印象深い。「皆さん、このライブこそが昭和のメリーです!次は現代でお会いしましょう!」テツがそう叫ぶと、第一部の幕が下り、場内はひときわ大きな拍手に包まれた。

昭和の歌番組風の趣向を活かし、ある時は烈しく、またある時はしっとりと珠玉の楽曲群を演奏した〈一部【昭和】メリー〉。彼らの歌がいかに愛されているかを知った、始めから終わりまで笑みの絶えない名演だった。

〈二部【現代】MERRY〉は、MERRYが未来に向けての第一歩を踏み出す、オールスタンディング形式の公演。定刻の午後8時を少し過ぎた頃に人々がひしめき合う場内が暗転すると、スクリーンにはMERRYの最新ヴィジュアルが映し出され、5人の大きなシルエットがゆらめく。

1曲目の「Black flag symptom」でフロアはいきなりの狂騒モードに突入。巨大なフラッグを振り、観衆を扇動するガラの姿が眩しい。結生と健一のギターコンビによる鋭利なリフ、テツの確かなグルーヴ、ネロの派手な叩きっぷり、すべてが刺激的だ。「No, thanks 豚の鼻!」の残響が心地よい「gaudy」やひときわ大きな歓声に包まれた「ニヒリスティック」など、ノンストップで楽曲を畳み掛けていく彼らの迷いのなさが嬉しい。

本編中盤、退廃感と刺激たっぷりの「モノクローム」の後には、待望の新曲が披露された。ネロ作曲というこの作品は、聴き手の心に染み入るようなナンバー。歌詞の断片等、細部をも聴き逃すまいとする観客の姿が印象深い。「哀愁のある、いい曲だと思いません?」と自信たっぷりにガラが語りかけていたように、この曲も今後のライブで重要な意味を帯びてくるのだろう。

もはやお馴染みとなったジャム・セッション風のMCから「傘と雨」「溺愛の水槽」と続いた場面は、豊かな激情が聴く者の身体を貫くような見事な流れだった。

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