MERRY、『万感の扇動歌謡祭!【昭和】メリーと【現代】MERRYが切り拓いた未来への第一歩』

昭和の歌番組風の趣向を活かし、ある時は烈しく、またある時はしっとりと珠玉の楽曲群を演奏した〈一部【昭和】メリー〉。彼らの歌がいかに愛されているかを知った、始めから終わりまで笑みの絶えない名演だった。

〈二部【現代】MERRY〉は、MERRYが未来に向けての第一歩を踏み出す、オールスタンディング形式の公演。定刻の午後8時を少し過ぎた頃に人々がひしめき合う場内が暗転すると、スクリーンにはMERRYの最新ヴィジュアルが映し出され、5人の大きなシルエットがゆらめく。

1曲目の「Black flag symptom」でフロアはいきなりの狂騒モードに突入。巨大なフラッグを振り、観衆を扇動するガラの姿が眩しい。結生と健一のギターコンビによる鋭利なリフ、テツの確かなグルーヴ、ネロの派手な叩きっぷり、すべてが刺激的だ。「No, thanks 豚の鼻!」の残響が心地よい「gaudy」やひときわ大きな歓声に包まれた「ニヒリスティック」など、ノンストップで楽曲を畳み掛けていく彼らの迷いのなさが嬉しい。

本編中盤、退廃感と刺激たっぷりの「モノクローム」の後には、待望の新曲が披露された。ネロ作曲というこの作品は、聴き手の心に染み入るようなナンバー。歌詞の断片等、細部をも聴き逃すまいとする観客の姿が印象深い。「哀愁のある、いい曲だと思いません?」と自信たっぷりにガラが語りかけていたように、この曲も今後のライブで重要な意味を帯びてくるのだろう。

もはやお馴染みとなったジャム・セッション風のMCから「傘と雨」「溺愛の水槽」と続いた場面は、豊かな激情が聴く者の身体を貫くような見事な流れだった。

「Midnight Shangrila」から始まった怒濤のごとき本編終盤には、もう誰にも止められない迫力がある。とことん景気のいい「千代田線デモクラシー」が炸裂すると、ラストは万感の「エムオロギー」で宴の幕が閉じられた。

聴くたびに涙腺が緩むこの曲を反芻しているうちに、メンバーが再びステージに登場する。アンコールの最初に奏でられたのは、この夜2曲目の披露となった新曲だ。テツ原曲・結生アレンジの共作というこの曲のダークな妖しさが今後どんな成長を遂げていくのか、興味深い。そんな余韻のなか、「Happy life」「オリエンタルBLサーカス」といった華々しい曲が場内を包み、最後は「そして、遠い夢のまた夢」で最高に心地よい気分に導かれたオーディエンス。【昭和】メリーであれだけ内容の濃いライブを披露しておきながら、【現代】MERRYでこんなにも濃密な演奏を繰り出せる彼らの実力に、誰もが感じ入ったことだろう。

当然、一部二部でかぶり曲はなし。第二部【現代】MERRYは、2017年生まれの名盤『エムオロギー』を軸にしたセットリストだったが、この作品よりもさらに上に行こうとする彼らの意気込みが感じられたライブだった。過去の自分たちに揺るぎない自信を持ちながらも、未来に向けて突き進む今。そんな頼もしいMERRYを目撃できたことが喜ばしい。

なお、この宴の最後に、ガラは3つの大きな告知を残して去っていった。1つ目は、9月23日に盛岡CLUB CHANGE WAVE、9月24日に秋田CLUB SWINDLEにて行われる〈「システム エムオロギー Extra」~テツ revenge~〉だ。この2本は、昨年の47都道府県ツアーのうち、テツがインフルエンザのため参加できなかった公演のリベンジ企画となっている。2つ目は、MERRYが初めてライブを行った記念日の11月7日恵比寿LIQUIDROOM公演を含んだ東名阪ツアーの開催だ。そして3つ目の嬉しいニュースは、音源のリリースが決定したことである。

また、すでに報じられている通り、7月6日には渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて、〈ガラ Birthday Live 第三回 自作自演「39グッドバイ」〉が開催される。こちらは、〈一部JAZZY”MERRY”NIGHT〉、〈二部「ガラを褒めちぎる会」~AFTER PARTY SHOW~〉という趣向。いずれのイベントも続報に注目したいところだ。

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