SHERBETS ツアーファイナル 渋谷TSUTAYA O-EAST

11月14日、渋谷TSUTAYA O-EASTにて、SHERBETSの結成20周年を記念した全国ツアー「8色目の虹」が熱気の中、幕を下ろした。それは4人の世界がすみずみにまで表現された時間であり、また、バンドの歴史と世界観の深みが感じらせる、濃密なライヴだった。

SEであるジュディ・ガーランドの「虹の彼方に」が流れると、メンバーが登場。「トカゲの赤ちゃん」「カミソリソング」という初期の楽曲を冒頭に並べるスタートだ。とくに後者は過去にはセットリストの後半に置かれることが多かっただけに、ベンジーこと浅井健一の「ハロー、東京ロッカーズ! レッツ・パーティー!」の煽りとともにいきなりフロアが加熱していくさまは新鮮である。さらにシックな「Crashed Sedan Drive」では仲田憲市がベースを弾く両手を弦から離し、体の前でくるくる回すポーズを2回とるなど、早々にSHERBETSワールドが全開となる。ベンジーは「OK、今日は朝まで騒ごうぜ!」とオーディエンスに告げるも、そのあとに「(ほんとにやったら)明日はブッ倒れてるだろうな」と笑顔。いい雰囲気だ。

ライヴの序盤は、ベンジーのナイーヴな歌と転がるようなビート感でバンドの独創性を示した「グレープジュース」など、初期のナンバーが中心。そこに、やはり彼の繊細な声とキーボードの福士久美子のハイトーン・ヴォイスのブレンドが印象的な「Michelle」など、近年の楽曲が徐々に混ざっていく。セット半ばの「フクロウ」は、静寂の中に仲田のベースのシンプルな音が響いていく曲で、そのフクロウの瞳をあしらったアルバム『Natural』のジャケットが連想される。2005年のリリースだが、実はそれまでの3年にわたる活動休止前に仕上げられていたアルバムで、このバンド独特の活動ペースが知らしめられた時期でもあった。時間軸が20年もあると、バンドにはいろいろなことが起こるものだ。

このツアーは数曲ごとに各メンバーがベンジーに紹介され、そのままMCをする構成となっており、最初のブロックでは仲田、続いてはドラムスの外村公敏が、それぞれ20年間応援してくれているファンに感謝の意を表明。10月24日に発売されたベスト・アルバム『8色目の虹』の3枚組の初回限定盤のDVDにはバンドの歩みを振り返るドキュメンタリー映像が収録されているが、その映像を観たベンジーが取材の席で「外村くん、昔はやせてたよね」と回想したことがあった。そんな線の細いイメージのあった外村も、10年ほど前からは腕っぷしがたくましくなり、ドラミングの力量が向上。その成果は現在も生きており、この夜も強さや複雑さを持つビートの曲ではとくに映えていた。

1

2 3