SHERBETS ツアーファイナル 渋谷TSUTAYA O-EAST

中盤には、前身であるSHERBETの名曲「水」で、このバンドの最も重要な部分である純粋性が鮮やかに唄われる。曲の後半、鍵盤とスキャットでその場の空気を自らの色に染めた福士久美子は、続く「GREEN」ではリードヴォーカルを担当。そのまま番が回ってきたMCでは「笑ったり、ケンカしたり、泣いたり、いたずらしたりして、ここまで来れました。大好きだなと思える音楽が作れてハッピーです」とコメントした。彼女もまたSHERBETSにはなくてはならない個性である。

後半はアップテンポの曲の割合がグッと増え、フロアにはいよいよ熱気が充満。これも初期からの「HIGH SCHOOL」「ジョーンジェットの犬」の連射を終えると、最後のMCはベンジーの番。そこではこの20年について「ほんとにありがとう」とお礼を告げる姿が心に残った。本編ラストは『8色目の虹』の通常盤に収録された新曲「Yesterday」。歌詞の<OK! Big Heart>を大きな声で叫んだベンジーだった。

アンコールに応えて再登場したベンジーが「みんな、踊ろうか」と言ったあとにその場に轟いたのは、なんと四つ打ちのビート。それは『8色目の虹』の3枚組のほうに収録の新曲「愛が起きてる」で、その波動によってフロアが一斉に揺れはじめる。演奏中には外村、そして福士も定位置を離れて楽しくダンスを踊り、会場はかつてのSHERBETSにはなかった類の開放感でいっぱいに。20周年を迎え、一貫した世界観を表現しながらも、新しいアプローチも追求し続けるバンドの姿が現れた、最高の瞬間だった。

ダブルアンコールではベンジーが「SHERBETSの中で一番異色な曲って何だと思う? ……え、<38(Special)>? <Baby Revolution>だよね(笑)」と言ったあとに、イラストレーターの奈良美智氏がこの曲をモチーフに描いた絵本『ベイビーレボリューション』を刊行することを発表した(来年1月下旬に発売予定とのこと)。そしてもちろんこの曲がプレイされると、次には少年性が流れる「わらのバッグ」。そして最後には「星空の方があったかい」が演奏され、歌の後半には舞台後方に星が灯る演出がなされた。

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