Aqua Timez FINAL LIVE「last dance」

ここで5人の、(とても自由な)MCタイムが挟まれる。「なぜか今日からツイッターを始めた太志」をいじるTASSHI、4人のキャラクターを愛しそうに解説するOKP-STAR、大介は太志のフォロワーひとり目が自分だったことを、mayukoは、「OKPがライブ前の円陣の時から泣いてた。そのせいでもらい泣きした」ことを明かす。最高の笑顔がステージ上に、アリーナ全体に広がっていく。そして、OKPの「アリーナ!」煽りで再び一丸となったオーディエンスに、彼らから最後のメドレーが贈られる。“星の見えない夜”“一瞬の塵”“きらきら”とつなげられた小気味よいリリック、色彩豊かな鍵盤の音色、力強いベースライン、シャープなギターカッティング、すべてを抱え進んでいくドラミング———。

まず、「何を伝えるべきか」を第一に磨き上げられてきたAqua Timezの、Aqua Timezだけのバランス。「ひとりひとり」だからこそ「ひとつ」になれる、という信念。そのすべてのAqua Timez的アイデンティティが辿り着いたロックとポップの理想的な配合。そうやって、誰にも似ていない世界観を作り上げてきた5人が“Fly Fish”の最後に見せてくれたソロ回しは、本当に楽しそうだった。バンドのライブを見れば正直どこにでもあるようなそんな時間が、今日はとても感動的な光景に映った。

無数のタオルが回った“自転車”、再び5人の姿が5つのモニターに横並びに映し出された“because you are you”とライブは進んでいく。「I love you/because you are you」という、まさにAqua Timezにしか歌えないフレーズが大合唱を誘う。13,000人と5人がたったひとつの真実をともに歌っている。彼らに残された時間は決して多くはない。それはもうみんなが知っている。だからこそ、声の限りに、誰もが後悔のないように、たったひとつの真実をともに歌っていく。

真っ赤な明かりがステージを照らし、最後の瞬間に向かう決意と激情が叫ばれる“last dance”がクライマックスの到来を告げる。そして、ライブは本編ラストの曲“銀河鉄道の夜”へと進んでいく。ステージが一面星空に包まれ、「僕はまだ確かな足取りで進んでいる」と力強く宣言されるメッセージ。これまでと同じように、「伝えるべき言葉」だけを残し、5人は、長年バンドを愛してきてくれたファンが見守ったステージを後にする。

アンコールは“しおり”“真夜中のオーケストラ”、そして“over and over”。モニターには、感極まっていく5人の表情と、目元を拭うファンの表情が交互に映し出されていく。天井から星型のメッセージカードが舞い降りる。ラストアルバムとなった『二重螺旋のまさゆめ』に込められた思いが凝縮された“over and over”では、メンバー全員が顔中を口にするように大きな声で歌っている。右手の人差し指を立て、まっすぐに前を観てまっすぐなメロディを歌う太志は今日も目を逸らさずにあの優しいメロディを歌い続けていく。

そして、正真正銘、最後のアンコールへ。「Aqua Timezをやり抜きます」と語った太志。そして、歌われたのはファーストシングル“決意の朝に”だった。これまで何度も何度も歌われ、そのたびに多くのオーディエンスを救い、勇気を与え続けてきたこの曲を、5人は今日も優しく奏でていく。

「最後まで伝えます」というひと言から“手紙返信”へ。太志の声が震えている。かすれている。必死にメロディを、まるで思いを削り出すように紡いできた大切な言葉のひとつひとつを、大事に置いていく。

 ついにやってきた最後の瞬間。「俺たち5人より優しかったみんな。またどこかで元気な顔で会えるように。みんなで思い切り明るい1曲にしよう」というMCから始まったのは、“虹”だった。

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