「みんなとなんとか一歩を踏み出したくて、毎年やっていけるイベントできんかなと思って」開催を決めたというこのイベントは、つまりWANIMAとの未来への約束なのだ。たとえ何があろうとも、1年の終わりにはこの場所でWANIMAに会える。しんどい時期はまだまだ続くかもしれないが、そのなかでWANIMAが出した答えだ。その答えに救われる人、力づけられる人がたくさんいる。そのことを誰よりも知っているからこそ、KENTAは前向きなメッセージを放ち続けた。「みんな苦しいこともあると思うけど、どうか負けんように。おってくれるだけでいい。何かあったらいつでもWANIMAに頼ってください。これからもWANIMAと一緒に生きとってください」。そんなKENTAの言葉を経て届けられた「Mom」が、KENTAの個人的な思いをはるかに超えて普遍的な優しさのようなものを感じさせたのは錯覚じゃないだろう。誰かを思う気持ち、あなたを思う気持ち。彼の歌からは、そんな純粋な気持ちだけがとうとうと流れ出していた。最後のフレーズを歌い終えると、フィナーレに向けて一気に加速。渾身の「Hey Lady」をぶちかますと「WANIMAでした、ありがとうー!」と感謝を伝えて3人はステージを降りた。
アンコールを求める拍手が止まらない中、ステージに帰ってきた3人。「みんな手叩きすぎて痛いはずやから!」とメンバーを急がせると、この曲を待っていた人も多いに違いない「春を待って」をパワフルに演奏した。KENTAとKO-SHINのハーモニーが美しく響く中、KENTAは何度も客席に指先を向けて「あなたのことだよ」と伝えていた。「また来年も開催できますように! 集まってくれてありがとう! みんな、愛しとるよ!」とKENTA。最後はディープなリヴァーブのかかったスネアから今日という日の手応えと意味合いを改めて伝えるような「HOPE」だ。最後は明るい光が会場中の1人1人を照らし出す。笑顔で大きく手を振り、ありがとうと連呼するKENTA。「本編中に伝えるの忘れてた!」といって、来年4月から全国11箇所21公演に渡るツアー「Cheddar Flavor Tour 2021」の開催を発表すると、客席からはひときわ大きな拍手が沸いた。いろいろあるし、制限もあるし、すべてが元通りとはいかないけれど、こうやってWANIMAは一歩ずつ前に進む。まだ冬になったばかりだけど、今から春が待ち遠しい。
「Boil Down 2020」公演概要
日程:2020年12月17日(木)
時間:OPEN 17:30 / START:19:00
会場:東京ガーデンシアター
特設HP:https://boildown.net
セットリスト
SE:Boil down
1.エル
2.雨あがり
3.いつもの流れ
4.ララバイ