あいみょん、阪神甲子園球場での弾き語りワンマン公演『AIMYON 弾き語りLIVE2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場』を4万5千人の大盛況の中開催

11月5日、あいみょんが弾き語りでのワンマンライブ『AIMYON 弾き語りLIVE2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場』を開催した。兵庫県西宮市出身のあいみょんにとって、甲子園は「実家の屋上から光る球場が見えた」というまさに地元であり、甲子園で弾き語りのワンマンが行われるのは史上初という快挙。駅を出ると、この日のグッズとして作られた「AIMYONS」のオリジナルユニフォームを着たファンが大勢いて、広場にはそのユニフォームを着た巨大なあいみょんのバルーン人形が設置されたりと、さながら5周年イヤーと地元凱旋をお祝いする「あいみょん祭り」のような雰囲気が広がっていた。

開演時刻の17時を過ぎると球場内にサイレンが響き渡り、まず映像で登場したのはあいみょんと同じく西宮出身のスターで、親交の深い笑福亭鶴瓶。「みなさん、わずか9年前に梅田で路上ライブをやってたあいみょんが、この憧れの甲子園でライブをするというのはすごいと思いません? 7年前に上京して、あっという間にスターになって、これ漫画やで。そのあいみょんが地元に帰ってきたんですよ!みんな褒めたろう!ビッグになって帰って来たっていうのを!」と呼びかけて、「『AIMYON 弾き語りLIVE2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場』はじまり!」と開会宣言をすると、割れんばかりの拍手の中であいみょんが登場した。

モッズコートを着たあいみょんが客席の間を通ってセンターステージに到着し、もう一度盛大な拍手が起こると、一曲目に披露されたのはメジャーからのファーストアルバム『青春のエキサイトメント』のオープニングに収録されていた“憧れてきたんだ”。敬愛する表現者への憧れを歌った一曲だが、この日ばかりは憧れの地である甲子園に捧げられた一曲だったと言っていいだろう。さらには“ハルノヒ”、“ジェニファー”と曲を続けると、オーディエンスはペンライトを振ったり、手拍子をしたりと思い思いにこの特別な一日を楽しんでいる。

「甲子園球場にお集りのみなさん、あいみょんです。よろしくお願いします!」と挨拶をすると、オーディエンスで埋まった球場を見渡して「ホンマにすごい!」を連発し、「西宮まで来てくれてありがとう!」と感謝を伝え、ファンキーな“愛を伝えたいだとか”、メランコリックな“3636”、ポップな“ら、のはなし”と続けていく。アコギ一本の弾き語りでも曲調に合わせて表現力豊かに歌い上げるあいみょんの姿は、バンドセットと弾き語りのライブを交互に行ってきた、この5年のシンガーとしての確かな成長を感じさせるものだ。

「みんなどこから来たんですか?」という問いかけに、北海道から沖縄まで全国各地からこのお祭りに集まっていることがわかった一方、「宮っ子はどれくらいいるんですか?」「小連体・中連体やったことある?」と地元トークも展開するあいみょんのライブは、スタジアムという広さにもかかわらず、やはりアットホームな雰囲気が漂う。「次の曲の頭、みんなのお手てを借りていいですか?」と言って、会場中の手拍子から始まった“満月の夜なら”の演奏時には、ちょうどあいみょんの頭上にほぼ満月に近い月が浮かぶというミラクルも。さらに、シリアスな表情で“さよならの今日に”を歌うと、円形のステージから無数のサーチライトが天に向かって伸びる幻想的な光景の中、“裸の心”を情感たっぷりに歌い上げて、第1部のハイライトを作り出した。

ここであいみょんはお色直しのために一旦退場。30分の休憩時間中も、クイズ大会が行われたり、「西宮でやり残したこと」として、福女にチャレンジしたり、ドラマに挑戦したり、3球連続ストライクに挑む映像が流されて、やはり特別な一日であることが伝わってくる。するとライブでは珍しく髪をお団子に結んであいみょんが再登場。今年行われたアリーナツアーでも使用された、お客さんをズームしてスクリーンに映す特注の双眼鏡を使い、12球団のユニフォームを着た人を捜したりと、やはりこういったファンとのコミュニケーションもあいみょんのライブの魅力だ。

「18歳のときに声をかけてもらって、弾き語りで路上ライブを始めて、きっとこの曲を一番歌ったんじゃないかな? 最初はホンマに0人、全く集まらんかったけど、徐々に徐々に人が増えていって、ついに甲子園でこの曲が歌えるなんて。当時のことを思い出しながら歌えたらと思います」と話して、第2部は“貴方解剖純愛歌〜死ね〜”からスタート。インディーズデビュー曲でもあるこの曲をパワフルに歌い上げ、オレンジの照明の中で“マリーゴールド”を歌うと、ハーモニカを用いたトーキングブルース調の“tower of the sun”へ。この曲はあいみょんにとってのもうひとつの憧れの地である、太陽の塔の下で歌うことを夢見る曲であり、西宮時代の葛藤や苦悩が綴られた一曲。思わず涙ぐみながら、声を振り絞って歌う姿に、場内からは長く温かな拍手が贈られた。

「地元の甲子園球場の景色を見ながらこの曲を歌うのは、自分の中でグッと来るものがあるし、救われた気持ちになりました」と語り、「やりたいこをやらせてくれた父ちゃんと母ちゃんに感謝したいです」と言って、家族が観に来ていることを話す場面も。第2部の中盤は最新作『瞳へ落ちるよレコード』から“姿”、「実家で作った最後の曲」だというメジャーデビュー曲“生きていたんだよな”、「弾き語りでやるのはたぶん初めて」という“マトリョーシカ”と、この日ならではのセットリストが続き、「この曲で今の事務所に声をかけてもらった」という“分かってくれよ”では途中でキーを見失ってやり直しをしたものの、そんな瞬間も記憶に残る思い出となった。

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