lynch. 「TOUR’24 THE FIERCE BLAZE」新宿BLAZE ライブレポート

ツアー自体がまだ序盤であるだけに、以降の具体的な演奏内容について詳しくは触れずにおくが、ひとつ伝えておきたいのは『FIERCE-EP』に収録されている5曲はすべて披露されたという事実だ。しかもいずれの楽曲も冒頭の2曲と同様に、長年演奏され続けてきた代表曲かと見紛うような説得力を持ち、フロアに一体感をもたらしていた。ことに部分的に悠介がヴォーカルをとる“斑”は今後も彼らのライヴにおける見せ場のひとつになっていくはずだし、攻撃的な楽曲が続く中で異彩を放つ“REMAINS”の聴き手の胸に侵食してくるかのような味わい深さ、激烈さとダークな美意識のコントラストが際立つ“A FIERCE BLAZE”の存在感も印象的だった。しかもそうした最新EPからの楽曲を随所にちりばめながらも、lynch.のライヴに欠かすことのできない象徴的な楽曲たちも惜しみなく披露されていく。

彼らのライヴには本当に無駄な余白がなく、過度に勿体をつけることも必要以上に喋ることもない。最初から最後まで前傾姿勢のままガツガツと曲を繰り出していくその姿勢は、結成から20年を迎えている今も基本的には変わっていない。しかし、終盤に葉月の口から聞こえてきた「20年もやってきたからいい曲がたくさんある」といった言葉が示していたように、今現在の彼らの全力疾走にはちゃんとした裏付けがあり、必殺曲をどれほど連発しても武器が尽きることがないのだ。アンコールも含めて約100分に及んだこの日の演奏メニューには、必要なものがすべて揃っていたようにも思えたし、ちょっとした意外性を感じさせる選曲も含まれていたが、終演後になって定番曲と呼べるもののいくつかが披露されていないことにも気付かされた。そのこと自体がlynch.の歴史の重み、楽曲の層の厚さを実感させる。

タイトルに“BLAZE”という単語が含まれているだけに、この新宿BLAZEでの公演は今回のツアーにおける必須事項のひとつでもあったはずだが、実はこの会場自体は、この7月末をもって閉館することが決まっている。過去にも彼らは男性限定、女性限定の公演をはじめ、象徴的なライヴをこの場所で行なってきたが、ライヴハウスに愛着をおぼえるバンドとオーディエンス双方にとって、この夜のライヴもまた忘れ得ぬものになったに違いない。アンコール時、葉月はファンに対してだけではなく、スタッフや会場に対しても感謝の言葉を述べ「また生まれ変わって違う場所で会いましょう!」と発言していた。その言葉は、ひとつの会場が歴史を閉じてもまたどこかで新たな歴史が始まること、いかなる変化が訪れようともlynch.のライヴ・バンドとしての疾走には終わりがないことを示していたように思う。そして、このツアー自体もまだまだ続いていく。最終公演は9月4日、TOKYO DOME CITY HALLで実施されるが、それまでの経過の中で『FIERCE-EP』の楽曲たちがいかなる進化を遂げていくことになるのかが楽しみでならない。

文・増田勇一

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