そしてオーラスは、昨年のアコースティック・ソロと同じく「One Foot in the Grave」だった。ハーモニカ一本で歌いきる同曲もまたベック・ハンセンの原点であり、ベックらしさが120%全開になったカラフルでエクレクティックな集大成的セットがかくもシンプルな帰結を迎えたのは、今後の彼のキャリアを考える上でワクワクさせられることでもあった。
ベックはここ数年でバンド・セット、ソロ・セット、オーケストラ・セットetc.と様々なライブフォーマットを試してきたわけだが、それは自身の既存曲の解釈、再定義と向き合う経験になったはずだ。現時点での最新アルバム『Hyperspace』から既に6年が経とうとしている今、だからこそ彼に期待されるアクションはもちろん新たな創作であり、「One Foot in the Grave」のエンディングは、ベックが再び真っ白な巨大キャンバスと向き合う決意を感じさせるものだったからだ。
「See You Next Year」と言い残してステージを去ったベック。新たなベックとの新たな出会いを、その言葉を信じて待ちたい。
写真:Teppei Kishida
文:粉川しの
BECK 「BECK Live in Japan 2025」
公演公式サイト
https://www.nano-mugenfes.com/25/beck/
<東京公演ライブ配信:見逃し配信中>
・日本国内から視聴:https://stagecrowd.live/s/sc/group/detail/10595?ima=4659
・国外から視聴:https://beck.zaiko.io/e/beck25
・アーカイブ/見逃し配信期間
2025年5月29日(木)公演終了後配信公開〜6月5日(木) 23:59 まで
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