J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F.

20年前の今日は、J自身のルーツである音楽を余すことなく注ぎ込んだ1st single「BURN OUT」の発売日だ。1990年代半ばに差し掛かり、「MOTHER」「STYLE」といったモンスター・アルバムを次々と産み出し、東京ドームや横浜スタジアムを優にソールドアウトさせる程、確固たるロック・バンドの地位を築き上げたLUNA SEAの活動を休止させて、ソロ活動をスタートさせたJ。
同年、7月に発売した1st ALBUM「PYROMANIA」では、THE CULTからScott Garrett・Billy Duffy、Guns N’ RosesからSlash、近年までJと共にしたDOOMから藤田タカシというミュージシャンの参加に加え、エンジニアにはJoe Barresiと、ロックキッズの度肝を抜いた布陣で構成されたのだが、J自身が「この1枚でやりたかったことが全て詰まっている」と話すように、既に20年前にはJと言うロック・ミュージシャンを見事に表現していたのだ。

話を戻し、2017年6月25日でソロ活動開始から20年が経ったJは、『J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F.』と題したツアーファイナルである東京 EX THEATER ROPPONGIのステージに立った。
自身のロック観を20年前に体現し切ったにもかかわらず、何故今日までいくつもの名曲を産み出し、ロックし鳴らし続けることができたのか。そんな疑問を一瞬で吹き飛ばすかのように、「break」からライヴはスタートした。
ステージ上もオーディエンス側も、ライブの終盤であるかのようなテンションで「圧巻の衝撃」「魂が揺さぶられた」「熱くなった」…様々な形容が可能なのだが、それは20年前に「BURN OUT」を聴いたときの気持ちと同じように、今も歌詞の一節にあるように”焼き付きそうな想いを さあ今夜 叶えよう”と、ロックさせてくれる。
そうだった。Jはいつの時代でも、我々を熱くさせてくれる音<ロック>を鳴らし続けてくれていたのだ。今年の3月にリリースされたベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.』が、ただの楽曲を集めただけのベストアルバムではない要素と同じで、常に刺激的で途切れない熱を帯びた”この瞬間のロック”をやり続けてきたのだ。

溝口和紀:Gt. (ex.ヌンチャク) 、masasucks:Gt. (the HIATUS/FULLSCRATCH/RADIOTS) 、有松”MASUO”益男:Dr. (BACK DROP BOMB)という布陣で臨んだ今日のライブも、20年間に書かれた楽曲がこの空間の景色とリンクする瞬間を何度も誘発し、時間の積み重ねが結晶になったようなプレイを繰り広げていた。
それは常に前を見続け、刺激を追い求めた先に開いた「進化」みたいな扉を開き、この布陣であるからこそ「J」というバンドの存在そのものに説得力を感じるステージだ。
事実、20年前にドロップした「BURN OUT」と最新曲「one reason」は、産み出された時間軸に1番の開きがあるのだが、フロアから突き上げられる拳の数も、バンドから発せられる熱にも一切の開きがない。Jとオーディエンスは、いつの時代でも変わらない刺激を出し合える関係性をも作り上げていたのだ。

ベストアルバム<1997-2017>[W.U.M.F.]から、更に凝縮された楽曲が次々と繰り出され、1st ALBUMリクエスト投票1位を獲得した「ACROSS THE NIGHT」が象徴するように、ハードな側面のみならず、メロディアスでミディアムテンポな両極端に位置する楽曲でも、ロックを鳴らせるJの魅力が余すことなくこのライヴでも表現されていた。
Jは「あっという間の20年だったけど、とんでもない熱量の刺激的な時間を過ごせてきて、それもみんなのお陰だと思います、ありがとう。」と、この20年間を支えてくれたファンへの感謝を何度も述べる。
ライブの後半戦からは、その感謝の想いをプレイで表現すると言わんばかりに、アッパー・チューンの応戦が繰り広げられる。そして、バンド・オーディエンスのテンションが1つのピークに達したそのとき、事件は起こった。「LIE-LIE-LIE」の演奏中、オーディエンスのモッシュ・ダイブが応州するその中へ、ベースを投げ出したJがフロアへ一気にダイブをお見舞いしたのだ。
一瞬のその光景に「まさか!」という想いが横切ったが、同時に「これがJのロック・アティチュードなんだ!」と、20年間走り続けてきこれた理由をまざまざと見せつけられた気がした。

「この20年でオレ達が証明できたことは、不可能はないってこと」と言い放ち、怒涛のアンコールへ突入。ラストの「Endless sky」まで、灼熱の炎が途切れることなく、圧巻のステージは幕を閉じた。
しかし、客電が点いてもアンコールを求めるファンからは、Jを求める声が止むことはなく、それに応え再びステージに駆け戻るJ。前代未聞のダブル・アンコールへ突入し、これからの未来へ向けられるように「NEVER END」を放ち、この祝福の夜が幕を閉じた。
ステージ上で高くベースを掲げるJ。ベーシストとして、これまでの軌跡を祝福するかのような拍手が、惜しむことなく向けられた。ベースへ小さなキスをしてステージを後にした仕草に、Jが自分自身の相棒へ20年の「ありがとう」と、「これからも宜しく」を伝えているように思えた。
“立たなければいけない場所がある”と、既に次のステージを見ているJ。我々が次にJが掻き鳴らすロックの瞬間を目撃できるのは、8月の『J 20th Anniversary Live 2017 W.U.M.F. -Special 3 Nights-』となる。

 

J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F.
TOUR FINALSE:#1(I LOVE THAT!!)
01. break
02. BURN OUT
03. one reason
04. RECKLESS
05. GO with the Devil
06. Die for you
07. I Know
08. When You Sleep
09. ACROSS THE NIGHT
10. Go Charge
11. PYROMANIA
12. LIE-LIE-LIE
13. Evoke the world
[Encore]
01. Verity
02. Feel Your Blaze
03. Endless sky
[W Encore]
NEVER END

取材:2017.06.25

テキスト:Atsushi Tsuji(辻 敦志) @classic0330

写真:浜野カズシ


【リリース】

J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017>[W.U.M.F.]

http://avex.jp/j/20thbest/


J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017>[W.U.M.F.]