第31回東京国際映画祭がスタート。東京・六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズとEXシアター六本木を主会場に、10月25日~11月3日の10日間にわたって約200本の映画上映や多彩なイベントを繰り広げます。最終日はコンペティション部門の各賞受賞作のリピート上映が予定され、公式上映に通えない人にもお楽しみのチャンスが増えました。今年のポイントをご紹介します。
メイン企画のコンペ部門の上映作品は、109カ国・地域の応募作1829本から選ばれた16本。日本からは阪本順治監督の「半世界」、今泉力哉監督の「愛がなんだ」の2本が参加します。「半世界」は青春時代の仲間と久々に再会したアラフォー男たちの心模様を稲垣吾郎主演で描いたオリジナル作品。「愛がなんだ」は直木賞作家・角田光代の同名小説を原作に、ひと目ぼれした彼にすべてを捧げようとする28歳のOLの一方通行の恋の行方をつづったラブストーリーです。
海外からはヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で男優賞を受賞した風刺劇「テルアビブ・オン・ファイア」、20世紀最高のダンサー、ルドルフ・ヌレエフの半生を追ったレイフ・ファインズの監督作「ホワイト・クロウ(原題)」、カザフスタンの若き鬼才エミール・バイガジンの「ザ・リバー」などが参加。審査委員長を「ローサは密告された」で知られるフィリピンの社会派監督ブリランテ・メンドーサが務めます。
アジアの新鋭監督を対象にした「アジアの未来」、日本のインディーズ映画を対象にした「日本映画スプラッシュ」もコンペ形式で新たな才能を発掘する部門。世界各地の映画祭の話題作を紹介する「ワールドフォーカス」では、オリヴィエ・アサイヤス、パオロ・ソレンティーノら人気監督の新作とともに、複雑な社会事情を背景にした秀作を次々送り出すイスラエル映画を小特集します。アジア映画ファンにはおなじみの「CROSSCUT ASIA」は音楽をテーマに東南アジア各地の多彩な作品をそろえました。
新作だけでなく、見逃していた日本映画の名作に触れるのも映画祭のだいご味。「日本映画クラシックス」では生誕100年を迎えた名匠・川島雄三の「女は二度生まれる」「雁の寺」「しとやかな獣」の3本を4Kデジタル修復版で上映します。「Japan Now」では、今年の日本映画の話題作とともに、名優・役所広司の代表作5本を上映。アニメーションでは「夜明け告げるルーのうた」の湯浅政明監督の作品を特集します。
今年は東京ミッドタウン日比谷のステップ広場にも新たに会場を設け、26日から11月2日まで野外上映などのイベントを開催します。こちらは入場無料。映画祭の気分をサクッと味わうことができそうです。