森重樹一、そして ZIGGY が待望の全国ツアーをスタートさせた。
今年5月、森重が声帯ポリープの切除手術を行ない、初のツアー。
8月には復帰第 1 弾のライヴとして八王子オリンパスホールでのワンマンを成功させており、10月9日にはニュー・シングル「I STAY FREE FOREVER」をリリースするなど、その健在ぶりを知らしめていた中での今回のツアー。
しかも、2017年の再始動以降、最大規模のツアーということもZIGGYの勢いを証明していることだろう。
今日の会場は、近年のツアーでも初日の会場として選ばれてきた新横浜のNEW SIDE BEACH!!。台風が近づき雨も降り出す中、ソールド・アウトとなった会場には早くからファンが詰めかけ、フロアは開演前から熱気が立ち込めている。
場内が暗転し、オープニングSEが響く中、メンバーが登場。
CHARGEEEEEE…(ds)がステージ中央で“ZIGGYのツアーが始まったぜ!!”とフロアを煽る。そして、メンバーが定位置につき、轟音が放たれる!
聴こえてきたのは、10月10日にリリースされたばかりのシングル「I STAY FREE FOREVER」に収録されている「ここから 消え失せろ」だ。
バリバリの新曲だが観客の反応は上々で、フロアを見渡す森重の表情も満足気だ。
続く「ROCK SHOW」でも、そのアッパーなサウンドでライヴ全体のテンションをグイグイと引き上げていく。
しかし、初日のしかもオープニングだというのに森重の飛ばしっぷりがすごい。その全力のヴォーカルとステージングを観ていると、彼の好調ぶりが窺える。
もちろん、その好調さはメンバー全員に共通しており、バンドとしての一体感をさらに強固なものにしている。
大きなフォームでドラムを叩きまくる CHARGEEEEEE…はムードメイカーとしてもライヴを盛り上げ、森重にMCで髪のメッシュに触れられていた Toshi(b)はエッジのある太いサウンドで存在感を示していく。カトウタロウ(g)は、いわゆる“顔で弾くギタリスト”と言えるだろうか。
ロック・ギターのツボを押さえたフレーズをビシバシと決めながら、フレーズにリンクするかのようにその表情でも楽しませてくれる。
また、今回のツアーでは会場によってキーボーディストが代わるのだが、今夜は佐藤達哉がメンバーを務めた。
時に楽曲をリードし、時に楽曲を支え、ベテランらしいプレイでZIGGYの楽曲を組み上げていく。
彼らと森重による5人の ZIGGY。もう一度書かせてもらうが、バンドとしての一体感はどんどん強固なものになっていることをステージの端々から感じることができる。
さて、ツアーが始まったばかりということで、セット・リストの詳細に触れるのは避けておくが、6曲を終えてのMCで『ZIGGY〜IN WITH THE TIMES』の再録について触れられ、そこから数曲はZIGGYクラシックスが奏でられていく。
「TOKYO CITY NIGHT」ではサビの一節を“YOKOHAMA CITY NIGHT”を歌うという一幕でフロアをさらに盛り上げ、森重がアコースティック・ギターを手に歌い上げる「BIRDS ON STRINGS」ではグイグイとその世界に引き込んでいった。その伸びやかな声を聴いていると、森重のノドは完全復活したといって間違いない。
なお、森重のMCによるとこのツアーはセット・リストは「どんどん変わっていくと思います」とのこと。
さて、和やかな、和やかすぎるメンバー紹介、それに対して ToshiとCHARGEEEEEE…の高いミュージシャンシップが披露されたソロ・コーナーを挟んで、ライヴは後半戦へ。
今回のツアー・タイトルにも入っているアルバム『ROCK SHOW』からロックン・ロール・チューン「この夜の向こうへ」、そして最新シングル「I STAY FREE FOREVER」から森重の攻めの歌が光る疾走曲「PRIMAL SCREAM」へ。 ライヴ前半は新旧の楽曲を織り交ぜた流れだったが、後半は最新シングルから3曲をポイント、ポイントに配したということもあり、近年の楽曲が多めという印象。
なかでも、新曲のライヴの映え方、なじみ方がより強く印象に残った。
シングルに収められた4曲の曲調はそれぞれ異なるが、どの楽曲も森重、そしてメンバーの輝きが観ている者の目を奪っているように感じられる。
ライヴで初めて聴くという新鮮さだけでなく、これが今のZIGGYがもっとも輝く楽曲なのだという自信が伝わってくるのだ。
もちろん、過去の曲が輝きを失っているわけではない。曲中で森重が上半身裸になって、いい意味での“やけくそ”感をフロアと作った「WHISKY, R&R AND WOMEN」など、グルーヴや音色など、現在のZIGGYの楽曲となってアップデートされている。
だからこそ、『2017』や『ROCK SHOW』などの近年のアルバムの楽曲と並んでプレイされても、ライヴの流れが断ち切れることなく、1本の太い幹が作られているのだ。
アンコールは、森重がアコースティック・ギターを手にする「君の笑顔より美しい花を知らない」でスタート。 表情豊かな森重の歌、熱のこもったカトウタロウのギター・ソロ……観客の心をぐいとつかむ名曲は、この夜も美しい輝きを 放っていた。
そして ZIGGY クラシックスからメロディアスでハードなロックン・ロール「SING MY SONG(I JUST WANT TO SING MY SONG)」とバラード「6 月はRAINY BLUES」が奏でられた。
2度目のアンコールでは、「それゆけ!R&R BAND」という最初期の楽曲に続き、CHARGEEEEEE…によるメンバー紹介を盛り込んだ「EASTSIDE WESTSIDE」へ。ファンならご存知だろうが、「EASTSIDE WESTSIDE」は現在ZIGGYの最速ビート でアレンジされていて、ライヴ・ハウスという空間ではそのカオティックぶりが加速していた。
全体的には、攻め攻めの一夜だったと思う。
それは、ライヴ・ハウスならではの空気感によるところ、そして森重がワイヤレス・マイクにしたことでケーブルに気をとられることなく、ライヴに集中できたということも大きいだろう。
しかし、それ以上に5人の姿勢、思いがこのツアーに向けて攻め攻めになっていることがステージで発露したのだと思う。
また、この夜のステージだけで判断するのは早計かもしれないが、今回のツアーはこれまで以上にいいものになることが予想できるライヴであったと思う。 「ZIGGY、最高!」。CHARGEEEEEE…がライヴ終演時にいつも叫ぶ言葉だが、その言葉どおり、ライヴを経るごとにその最高点を更新していくのかも……。
全国各地のZIGGYファン、ロックン・ロール・ファンは、ぜひこの秋冬ツアーで彼らのライヴに触れてほしい。
そして、12月26日の中野サンプラザ、12月27日の大阪・なんば Hatchでのツアー・ファイナルに、ぜひ足を運んでほしい。
最新型のロックン・ロール・ミュージックに酔えるはずだから。
なお、MCでも触れられていたが『ZIGGY 〜IN WITH THE TIMES』は 11月1日にリリースされることも決まったことをつけ加えておこう。
WeROCK 編集部 藤中健司