圭としての本格的なソロ活動の幕開けとなったワンマンライブ<THE LIBERTY -輪廻の新月->が4月12日、東京・TSUTAYA O-EASTにて開催された。有観客及び、GALACAAを通して生配信も行われたこの公演のレポートをお届けする。
圭という一人のアーティストが誕生する瞬間、それを目撃した夜だった。
ファン、いやきっと本人さえも、まさか自分がこんな風にボーカリストとしてステージのセンターに立ち、ギターやピアノを弾きながらライブを行なう姿は想像していなかったのではないだろうか。
圭がギターを弾かないパートは、今回初めてサポートメンバーに加わった結生(Gt/メリー)が高松浩史(Ba/THE NOVEMBERS),山口大吾(Dr/People In The Box), hico(Keyboard&Manipulator)と息を合わせ、サポートしていく。
星空に、自身の存在意義を問いかけるように歌っていたボーカルは、次の「17.」でバックバンドが叩き出す躍動感に満ちたサウンドに合わせて、強い意思を持った歌へとスイッチ。圭はギターを弾きながら、フロアに突き出した花道を颯爽と移動しながらハンドマイクでライブタイトルにもなった“liberty”を連呼。BAROQUEが止まって以降、考え続けた自分の存在意義。その答えが2009年、自ら歌って作り上げたソロ作品(『silk tree.』、『for a fleeting moment.』)にあったことをこのアクトで改めて確信した彼は、曲を歌い終えた瞬間、マイクを持った左手を頭上へ堂々と突き上げてみせた。
それはまさに、圭自身がBAROQUEやギタリストといった肩書きから自らを解き放ち、ここからは歌おうがギターを弾こうがなにをやってもいいんだと、自由になった自分を受け入れた瞬間だったといえる。
その感覚を、圭は短い挨拶を届けたあとのMCで「どんな日になるのかと思ってたけど、初めてのことだらけなんですけど、懐かしい感じ」だと言葉で表現した。フロアを見渡しても、圭が歌う姿に驚愕する人はいなかった。それほど、歌うアクトが当たり前のように自然に観えたということだ。
ライブは子供たちの声をサンプリングした「pitiful emotional picture.」で一人ひとりの幼き頃の記憶の扉を開いていったところから、サウンド志向の楽曲へとシフト。「sanity dance.」、「the blueroom.」という変拍子で次々と展開していくエレクトロニックな原曲を、ここではメンバーの高度な表現技術によって生演奏版ならではの新しいバンドアレンジで楽しませていった。こうしてメロディアスな歌もの、エレクトロニックな楽曲と圭というアーティストがもつ作家性の魅力がつまった扉を順番にオープンしていったあと、次に待ち構えていたのは、圭のギタリストとしての魅力がつまった扉だった。
hicoが奏でるエレガントなピアノに導かれて扉が開き、圭が弾きだしたのはオリジナル曲ではなく、誰もが知っているあのクラシカルな美しいラブバラード「A Whole New World」(ディズニー映画『アラジン』主題歌)だった。
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