ジーザス&メリー・チェインはワーナー・ミュージック・グループに著作権侵害で250万ドル(約2億7500万円)の賠償を求める訴訟を起こしている。
この裁判はバンドの主要人物であるジム・リードとウィリアム・リードによってカリフォルニア州の裁判所で起こされたものとなっている。2人と弁護士は1985年発表の名作『サイコキャンディ』を含むバックカタログの所有権を放棄することをワーナー・ミュージック・グループが拒否したと主張している。
ジーザス&メリー・チェインはアメリカの1976年制定著作権法の203条を問題としており、同項では発行から35年後に作者は著作所有権の許諾を終了することができるとしている。
弁護士によれば、ジーザス&メリー・チェインは2019年1月に『サイコキャンディ』、1987年発表の『ダークランズ』、1988年発表のコンピレーション『キスは罠』、1989年発表の『オートマティック』、1992年発表の『ハニーズ・デッド』、加えてシングルやEPの許諾を終了することをワーナー・ミュージック・グループに通達したという。
『ピッチフォーク』によれば、ワーナー・ミュージック・グループの弁護士は昨年12月に通達への返事を送ってきている。
「ワーナー・ミュージック・グループは世界における通達された作品に含まれる音源の著作権所有者であり、通達はワーナー・ミュージック・グループのアメリカでの権利を終了させる効力はありません」
ワーナー・ミュージック・グループの弁護士は、ジム・リードとウィリアム・リード、そして元メンバーのダグラス・ハートが1985年の契約時に前身であるWEAが音源の「制作者」であり、著作権の第一所有者であることに合意していると述べている。
ジーザス&メリー・チェインの弁護士であるエヴァン・S・コーエンはそうは言ってもワーナー・ミュージック・グループがアメリカの法律の下ではバンドの著作権を侵害していると主張している。
エヴァン・S・コーエンは著作権法の203条を巡って2019年にソニーとユニバーサル・ミュージック・グループを訴えた著作権侵害の集団訴訟の代理人を務めていた。
「著作権法は35年後に古い契約を終了させて、自身の創作物を取り戻すという人生で一度限りの貴重な機会をレコーディング・アーティストやソングライターに提供しています。このセカンド・チャンスは常に著作権法に含まれてきたものです」
「ワーナー・ミュージック・グループとの訴訟ではジーザス&メリー・チェイン側が出した終了の通達の有効性を認めず、バンドの所有権を無視しました」
「法律ではアメリカの権利をバンドに返すことになっているにもかかわらず、ワーナー・ミュージック・グループは音源からの搾取を続け、我々の依頼者の著作権を望んで侵害しています。こうした行いは止めなければなりません。この訴訟の法律の焦点は音楽業界にとって極めて重要なものとなっています」
ジーザス&メリー・チェインは2017年に約20年ぶりとなる最新作『ダメージ・アンド・ジョイ』をリリースしている。