Philip Selway、ライヴハウスでの活動が与えた影響について語る

Philip Selway

レディオヘッドのドラマーであるフィル・セルウェイは『NME』に対して初期に小さな会場でライヴを行ってきたことがバンドを形成することになったことについて語っている。

フィル・セルウェイは2月5日まで開催されるインディペンデント・ヴェニュー・ウィーク2023のアンバサダーに就任している。10周年となる今回は1週間の間にライヴ会場やそれを運営する人々を支援するために300以上のライヴハウスでイベントが開催される。

「自分にとってはかなり重要なことなんだ」とフィル・セルウェイは語っている。「2019年のインディペンデント・ヴェニュー・ウィークでは幸運にもドキュメンタリーを作ることができた。レディオヘッドの初期やソロで行ったライヴ会場を訪れたんだ。会場にまつわる地元のコミュニティに幅広い形で関わることができたし、すべてのことを可能にするために舞台裏で起きていることや会場にまつわるすごい情熱と努力を見ることができた。それは素晴らしい体験だったよ」

彼は次のように続けている。「お金のために会場を運営しているんじゃないんだ。情熱のプロジェクトなんだよ。その中心には国の各地で毎晩行われている文化的なイベントがある。レディオヘッドの頃を振り返ることで、自分たちの成長にとってどれだけ重要なものだったのかと気付かされたんだ」

フィル・セルウェイはレディオヘッドが契約前にわずか7回しかライヴを行っておらず、そのほとんどは出身地のオックスフォードだったと語っている。『パブロ・ハニー』リリース前に小さな会場で行った初期のライヴはその後のバンドを形成するのに役立つことになったと彼は説明している。

「会場のネットワークによってツアーに出ることができて、パフォーマンスを磨いて、イギリス各地の人々と繋がりができ、すぐにフィードバックを得られたことで、バンドとしてものすごく前進することができた。それを何度もやったけど、そこで演奏するだけで、場所自体が素晴らしいんだよね。必ずしも足掛かりでしかないわけじゃないんだ」

「この業界を応援する方法というのはたくさんある。ロードクルーになる人々を技術面で育成しているし、何十年にもわたって積み上げられてきた豊富な知識もある。バンドとしてツアーに出ても、そうした会場の人々がいるから孤独に感じなくて済むんだ。そうやって見知った顔のネットワークができていくんだよね」

まだ、レディオヘッドがオン・ア・フライデーという名前だった1987年にオックスフォードのジェリコ・タヴァーンでやった初めてのライヴを覚えているかと訊かれて、フィル・セルウェイは次のように答えている。「あれは……誰かの前座だったんだ。サブウェイズ・オブ・ジャズーというバンドだったんじゃないかな? 有名なバンドもやっていた会場にいることに興奮していたのを覚えている。あのステージで演奏するということは自分たちのやっていることを肯定してもらえているところがあった。すごいことだったんだ」

スーパーグラス、ライド、フォールズ、パルプも初期にライヴを行ったジェリコ・タヴァーンについてフィル・セルウェイは次のように語っている。「専門家もいる、いい会場だった。まったく不慣れでやってきても、安心できることが分かるんだ。バンドにとっては安心できる場所でありながら盛り上がるんだよ。会場に踏み入れた時からその感覚が消えることはなかった。それまであの場所でやってきたバンドとの繋がりも感じたし、観客もそうしたライヴを楽しんできたんだ」

「毎晩演奏していくという継続性がバンドとしてのアイデンティティを形作っていくんだ。観に来た人がすぐそばにいて、ライヴの後にお客さんと話をできることで、貴重なフィードバックをもらえるんだよ。こうした形は音楽への愛から育まれたもので、才能を育てるには健全な環境だよ。何をすべきか、正しい価値観が確立されるんだ」

レディオヘッドが最後にリリースしたアルバムは2016年発表の『ア・ムーン・シェイプト・プール』で、最後のツアーは2018年となっている。2021年、レディオヘッドは『キッド A』、『アムニージアック』期の音源をまとめた『キッドAムニージア』をリリースしている。

レディオヘッドの現状について訊くと、フィル・セルウェイは次のように語っている。「集まって、今後の予定について話をしているよ。でも、当面はみんな他のプロジェクトがあって、それをきちんとやり遂げたいと思っているんだ。僕ら5人の間には何らかの形で音楽を作りたいという共通の気持ちがある。僕らはそうした音楽的関係を大切にしているし、それが38年間続いてきた。それは、いまだに重要なものだよ」

レディオヘッドが次にどんな方向に進むかについてアイディアを訊かれると、フィル・セルウェイは次のように答えている。「一緒に部屋に集まってみないと、その点に関してはまったく分からないね。かなりやらないと確固たる方向性は見えてこない。一言で言うと、要確認という感じだね」

「ミュージシャンの集団が気持ちを合わせて、シリンダーを開くシナリオを見つけるということだよね。そうなれたら夢のシナリオだよ。それは唯一の願望と言ってもいいよね」

フィル・セルウェイは2月24日に3枚目となるソロ・アルバム『ストレンジ・ダンス』をリリースすることが決定している。アルバムはマルタ・サローニのプロデュースで、チェリストのハンナ・ピール、ローラ・ムーディー、クインタらが参加している。

「常に曲は書いていて、それは自分にとっては大切なことなんだ。この10年間で、そっちでも音楽的な関係性を築いてきた。そうしたら、その要素をまとめて、音楽的に自分を広げる機会を持つことができた。すごく成熟した音楽的な声がプロジェクトに入ってくることで、質の高い体験をすることができたよ」

「それは人生を肯定するプロセスにもなるし、アルバムでもそれを感じることができるんだ」

アルバムについてフィル・セルウェイは次のように続けている。「取り掛かる時から求めるサウンドスケープは分かっていた。広く、上にも高い、様々な音楽的要素を含むものにしたかった」

「そこに親密さも加えたかった。ヴォーカルの歌い方や歌詞の内容でそこは補ったんだ。まるでピロートークのようで、会話っぽくなっている。その意味では身近なものにもなっている。聴いた人が我を忘れて、物語と安心できる場所を見つけられるようなアルバムにしたかったんだ。その中心にあたたかさがあればと思うよ」

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