グライムスは著作権法の概念を批判して、クリエイティヴィティの弊害になっていると語っている。
グライムスは4月28日にイビザで開催されたインターナショナル・ミュージック・サミットでBBCラジオ1のDJであるジャガーが司会を務めた基調講演を行っている。基調講演の中でグライムスは人工知能、音楽著作権管理、テクノロジーといったトピックに触れている。
「音楽界にはあまりに多くの制限があると強く感じています」とグライムスは語っている。「著作権というのはよくありません。アートとは自分たちよりも前にいた人たちとの対話です。そこにエゴと結びつけるのは最近の概念です。音楽業界は法律家によって仕切られており、それが創造性を抑圧しています」
「著作権に関することはどれも問題を孕んでいると思っています」とグライムスは続けている。「トップダウンのコントロールが多すぎるのです。TikTokも初期は変わった音楽がたくさん拡散されました。しかし、今は制限による締め付けによって面白いものが出てこなくなってきています」
グライムスは人工知能を含め進化する音楽テクノロジーを支持すると公言してきたが、今回の基調講演でもそれについて触れられている。先日、グライムスはAIを使って自身の声を再現して新曲を作ることを認めている。グライムスはコラボレーションするアーティストとの契約と同じようにロイヤリティの半分を渡してくれるのであれば、自分の声を自由に使ってほしいとしている。「機械との融合はクールなことだと思います。あらゆるアートをオープンソースにして、著作権をなくすという考え方も気に入っています」
今回の基調講演でグライムスは次のように述べている。「なんで私の声を使えないようにすべきなのでしょうか? そこからクールで美しいものが生まれるかもしれません。アーティストにとって最もクールな時代の一つになるかもしれません。私たちはインターネットの始まりにいるに過ぎないのです」
「マネージャーにいつも言っているのは象形文字を作りたいということです。みんなに私の名前を覚えてもらえるかはどうでもいいのです。大きな変化の時代に、このカルチャーに意義ある形で貢献したいのです」
グライムスは自分が死んだ後も自分の声を使ってもらって構わないが、意見は人それぞれだろうとも述べている。「私が死んでも、みなさんには使ってもらいたいですが、全員が同意してくれるとは限らないことは分かっています。プリンスだったら、いいよと言ってくれたかもしれないと思いますが、私の友人がいいよと言っても、それは微妙ですから」
グライムスを基調講演に招待したインターナショナル・ミュージック・サミットの共同創始者のベン・ターナーは次のように述べている。「グライムスは今の時代において最も重要で影響力のあるクリエイティヴなアーティストの1人です。サウンドとしても歌詞としても哲学的にも彼女には先見の明があり、天使のような歌声も持ち合わせています」
「イビザになかなか来ることがない中で彼女をインターナショナル・ミュージック・サミットの基調講演に迎えられたことを光栄に思います。彼女がパフォーマンスを行うことはありませんが、今後も続報がある予定です」
また、グライムスは2021年3月から在籍していたコロンビア・レコードから離れたことが明らかになっている。