10月26日、indigo la EndがNew Album「哀愁演劇」リリース記念フリーライブを、豊洲PITにて開催した。
このライブは一部マチネ(After school):はじめてのindigo、二部ソワレ(After work):あたらしいindigoと銘打たれ、学生優先、社会人優先での招待という二部制で開催された。
「名前は片想い」のバイラルヒット以降、キャリアハイの期待値で迎えられたアルバム『哀愁演劇』のリリース記念ということで今回のフリーライブも応募が殺到し、高倍率を勝ち抜いた観客の高い熱量が乗り移ったかのような、情感溢れるパフォーマンスを披露した。
“はじめてのindigo”と銘打たれた一部は、学生を優先で招待ということで制服姿の観客も多数見られ普段のindigo la Endのライブとはまた違う雰囲気となっていた。
藍色に染められたかすみ草のモチーフをステージ中央に配し、幻想的な映像演出の中でメンバーが登場。アッパーなファンクチューン「夜風とハヤブサ」でライブが幕開け。
続いてニューアルバム収録の「邦画」を美しい照明とともに響かせる。続けてアルバムの一曲目に収録されている「カンナ」を披露。長田カーティス(Gt)の奏でる美しいアルペジオで「哀愁演劇」の開演が告げられた。
一部は“はじめての”というライブタイトル通り、自己紹介的にストリーミング人気曲からセットリストを決めたと川谷が語ったが、その言葉通り中盤では「雫に恋して」「チューリップ」「通り恋」と人気の楽曲立て続けに披露。MCで謝辞が述べられた後に、代表曲「夏夜のマジック」へ。儚さと強さが同居したindigo la Endを体現した楽曲で、会場は静かな熱気に包まれる。立て続けに「名前は片想い」へ。たちまちオーディエンスたちから手拍子が起こりこの楽曲の人気の高さが窺える。最後の楽曲は前作に収録された「晩生」。このバンドのロックな一面を堪能できる楽曲でアウトロはメンバー全員が轟音かき鳴らす。川谷の全身からエネルギーを解き放つギターパフォーマンスでカオスを吐き出しライブは終了した。
一旦ステージを捌け、デビュー当時から親交の深い音楽ジャーナリストの鹿野淳氏を交えたトークに。学生の多い客層に合わせて、10代のころのエピソードトークや、アルバムの解説などを披露し、“はじめてのindigo”にふさわしい内容で締めくくった。
“あたらしいindigo”と銘打たれた二部は社会人優先での招待ということで観客も大人な雰囲気に。一部とはセットリストを変え、ニューアルバムでもオープニングを飾る「カンナ」からライブがスタートした。立て続け「名前は片想い」に。メンバーも観客に向かって手拍子を煽り会場を温めていく。“曖昧な関係の名前は片想い”とサビが歌われると一斉に手が上がり一体感もさらに増していた。続いてはライブ人気曲「夜汽車は走る」を披露し、その後こちらもニューアルバムに収録のミドルバラード「忘れっぽいんだ」へ。川谷のハイトーンと“忘れっぽいんだ”のリフレインが耳に刻まれる。「チューリップ」の後には、アルバムのラストトラック「プルシュカ」を披露。この楽曲はメイドインアビスの映画に登場するキャラクター“プルシュカ”からインスパイアされて書かれた楽曲で、後鳥亮介(Ba)は終始安定してリズムを刻み、佐藤栄太郎(Dr)のテクニカルなドラムと絡む様が印象的であった。MCに続けて「夏夜のマジック」へ。美しい花火の映像を背景にしたパフォーマンスで観客たちも体を横に揺らしていた。
ラスト2曲はバンド初期の楽曲から。2013年リリースのアルバムに収録された名バラード「抱きしめて」で美しいメロディと切ない歌詞を響かせる。最後の楽曲は2012年リリースのEPから「楽園」。サイケデリックで美しい映像演出が印象的であった。“あたらしい”と銘打たれたライブを、バンド初期の楽曲で締め括られたことでバンドの意思が感じられるライブとなった。この二部の模様は生配信もされており、多くの視聴者からも絶賛のコメントが溢れていた。
後半の鹿野淳氏を交えたトークパートにでは10歳までの思い出を語るエピソードトークや、今後のバンドとしての展望などを語り、“あたらしいindigo”への期待を膨らませる内容で、幕を閉じた。
写真:鳥居洋介