2011年に公開され興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(11年)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選、国内外問わず高い評価を受け、興行としても23億円の異例のヒットを記録した名作『映画 聲の形』(16年)。両作品の監督を務めた山田尚子は、些細な日常を瑞々しく鮮やかに描く稀有な映像センスと、小さな心の揺れ動きさえ表現していく繊細な演出で、世界から脚光を浴びるアニメーション監督の一人となった。そんな山田尚子監督の待望の最新作となる完全オリジナル長編アニメーション映画『きみの色』の主題歌がMr.Children書き下ろし楽曲の「in the pocket」に決定した。
今回新たに解禁されたのはMr.Childrenによる主題歌「in the pocket」を使用した本予告映像。映像は、人が「色」で見える高校生のトツ子が、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年・ルイと、勢いでバンドを組むことになるコミカルなシーンから始まる。お互いの”好き”と”秘密”を共有している3人が、バンド活動を通じて心を通わせていく様子は、どこか懐かしい空気感で包まれ、短い時間だが見ているだけであたたかな気持ちにさせてくれる。「この先のこと」という漠然とした不安を感じる17歳という年齢ならではの迷いや悩み、そして「わたしたちは何度でも歩き直すことができるのです」というシスター日吉子の言葉。映像に合わせてリズミカルに流れる本作のために特別に書き下ろされた楽曲となる。
今回の楽曲提供にあたり作詞/作曲を務めた桜井和寿は「この映画の主人公たちは焼き上がる前の陶器のように、少し力を加えただけで壊れてしまいそうなくらい繊細に思える。言い換えれば、柔らかくしなやかだ。」と本作の主人公たちの印象を語るとともに、「主人公たちにはその繊細さのまま、その柔さのまま、しなやかに強く飛び立って欲しい。そんな歌でありたいと、願いを込めてレコーディングさせてもらった。」と主題歌に込めた想いを明かしてくれた。
また楽曲を聞いた山田尚子監督は「滲んでぼやけた雲の隙間から、ぱっと光が差し込んできたみたいでした。まぶしくて、でも輪郭がはっきりとしていて、なんだかとてもビビットな色味の音楽だと感じました。だけど、もう一度聴いてみると今度は曖昧な色も見えてきて、いろんな色の集合体がこの曲を形作っているんだな、と夢中になって何度も再生ボタンを押しました。」と映画のテーマ・”色”にピッタリの楽曲提供に喜びのコメント。川村元気プロデューサーは「『きみの色』の少年少女たちが感じていること、彼らが小さな町で楽器を奏でながら見ている世界を、音楽で表現してくれるアーティストを探した時に、「大人のような子供たち」と称するバンド以外に思い当たりませんでした。」と、今回のオファーに至るまでの熱い想いを語ってくれた。
世界最大規模のアニメーション映画祭・アヌシー国際アニメーション映画祭での長編コンペティション部門出品、そして上海国際映画祭、金爵賞(Golden Goblet Award)アニメーション部門にノミネートと、公開に向け続々と新情報が発表される中、日本を代表するロックバンド・Mr.Childrenの主題歌が加わり、さらに加速度を上げて本作の注目度が高まること間違いなし!
Mr.Children 桜井和寿 コメント全文
この映画の主人公たちは
焼き上がる前の陶器のように、
少し力を加えただけで壊れてしまいそうなくらい繊細に思える。
言い換えれば、柔らかくしなやかだ。
ある日のこと(なんと偶然にも初めて山田監督とお話しする機会を頂いたその日)、
ミーティング場所の駐車場に車を停めると、巣から落ちてしまった飛べない雛スズメを見つけた。
心配になって、拾って、家に連れて帰った。飼育方法を調べようとネットで検索すると、どうやら落ちてしまった「巣立ち雛(そう言うらしい)」は、そこからまた親鳥と共に、飛び立つ練習をし、成長していくらしい。
僕は慌てて、雛を発見した場所に戻り、雛を探しているであろう親鳥に謝罪しながら、拾った場所に雛鳥を戻した。
健やかな成長を願いながら。。
あの日出会った雛鳥のように、
抱き上げるでも、背中を押すでもなく
無理に力を加えることなく、
主人公たちには
その繊細さのまま、
その柔さのまま、
しなやかに強く飛び立って欲しい。
そんな歌でありたいと、
願いを込めてレコーディングさせてもらった。
©2024「きみの色」製作委員会