ニーキャップのモ・カラはテロ容疑で起訴されたことを受けて現地時間6月18日にウェストミンスター地方裁判所に出廷しており、ニーキャップは集まった多くの観衆に対して「私たちは歴史の正しい側にいる」と述べている。
ニーキャップは今年4月にコーチェラ・フェスティバルのパフォーマンスでパレスチナを支持することを表明して物議を醸しており、昨年11月のロンドン公演でヒズボラの旗を掲げたことでテロ犯罪で起訴されている。イギリスではこれらの組織への支持を示すことは犯罪となっている。
起訴されたことを受けてニーキャップは「18ヶ月に及ぶ大量虐殺の映像はイギリスの警察のテロ対策課にとっては捜査対象外か」と書かれた画像をX/ツイッターで投稿して、「こんな事実もある」とキャプションに添えていた。
起訴を受けてニーキャップは罪状を「否定」しており、「自分たちを猛烈に弁護していく」と述べている。「これは政治的な取り締まりだ。これは関心をそらすためのカーニバルだ。自分たちが論点などではない。大量虐殺が問題なんだ」
ニーキャップはハマスやヒズボラを支持しているという説に対して否定しており、個人に対する暴力を煽動しているわけでもないと述べ、映像は「意図的に文脈から切り離された」ものだとしている。
ウェストミンスター地方裁判所にはポール・ウェラーも足を運んでおり、ポール・ウェラーは人種差別に反対する活動をUKで行っている「ライヴ・ミュージック・ヘイト・レイシズム」がニーキャップについて出した公開書簡に賛同して署名していた。昨年11月、ポール・ウェラーはノエル・ギャラガーと共にニーキャップのロンドン公演を訪れている。ニーキャップとポール・ウェラーは昨年、ガザを支援するチャリティ公演にも共に出演している。
法廷ではモ・カラことリーアム・オ・オハニは名前、生年月日、ベルファストの住所を確認した後、8月20日に開催予定の次回公判まで無条件保釈で釈放されている。これは起訴に関するタイムフレームについて法的議論に時間を取るためと報じられており、次回公判ではアイルランド語通訳が手配される予定となっている。
判事のポール・ゴールドスプリングはリーアム・オ・オハニに次回の公判に必ず出席するように言い渡している。
公判でポール・ゴールドスプリングはアイルランド語通訳が手配できなかったと述べ、「誰かできる人はいますか?」と呼びかけると、傍聴席は爆笑に包まれて、全員がアイルランド語教師だったニーキャップのメンバーであるDJプロヴィを指さしたという。これはバンドのキャリアを描いた伝記映画『ニーキャップ』と重なるシチュエーションとなっている。
法廷を出た後、ニーキャップのスポークスパーソンはこれまでバンドが「一度も苦情を受けずに」何百回もコンサートを行ってきたと述べている。
「世界各地でニーキャップはヒーローとして称賛されています」とスポークスパーソンは続けている。「権力に対して真実を語ることを躊躇わなかったコーチェラでのパフォーマンスを受けて、今回の起訴は急に起こされたものです」
「実際、ニーキャップは自分たちの権利、世界中のアーティスト、世界中の人々の権利を守るために政治的抑圧に対して立ち上がりました。テロ行為に関する特別権限で起訴されるのはアイルランド人にとって目新しいことではありません」
イスラエルの残虐行為に言及しながら、スポークスパーソンは表現の自由と抗議の自由を主張して、「恐れないでください。私たちは歴史の正しい側にいます」と述べている。
その後、マイクを受け取ったモウグリ・バップはグラストンベリー・フェスティバルのステージとウェンブリー・アリーナの公演をぜひ観に来てほしいと呼び掛けている。
「グラストンベリー・フェスティバルに行く人はそこで会おう。9月にはウェンブリー・アリーナ公演もある。でも、最も重要なのはパレスチナ解放なんだ」
They're already on the back foot…
GRMA for the video @TenthManHello pic.twitter.com/THNHXNjp3e
— KNEECAP (@KNEECAPCEOL) June 18, 2025
先日、ニーキャップは自身に揃った法務チームを紹介して、法廷で勝つ自信があると述べている。
「イギリスの体制側はニーキャップに対するキャンペーンを張っていて、それはウェストミンスター地方裁判所で争われることになる。闘いへの準備はできている。強力な法務チームが揃ったことを誇りに思っている。私たちは歴史の正しい側にいる。あいつらは違う。あいつらとは法廷で闘う。私たちが勝利するよ」
ニーキャップの法務チームには、ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジの弁護を担当した人道派弁護士のギャレス・パース、人類の絶滅を危惧した市民運動「エクスティンクション・レベリオン」の弁護士を務めたロザリンド・カミンらが参加している。
ニーキャップに寄せられている批判については所属レーベルが表現の自由を支持する公開書簡を発表しており、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、パルプ、フォンテインズD.C.、アイドルズ、マッシヴ・アタック、ポール・ウェラー、プライマル・スクリームらも賛同している。