8月30日(木)、神奈川・サザンビーチちがさきにてaikoの3年ぶりとなるフリーライブ「Love Like Aloha vol.6」が行われた。2003年より不定期で開催され、今回で6回目を迎えるが、平日にもかかわらず過去最大となる3万7千人ものファンが同会場に集結した。
始発前から優先エリアに入場できるリストバンドや、この日のために作られたaikoのライブグッズを求めて、会場であるサザンビーチちがさきに駆けつけた多くのファンが、晴天の暑い中長い列を作っていた。デビュー20周年というメモリアルイヤーに行われるフリーライブということもあり、ビーチには「aiko 20th」というオブジェが設置されていたり、どこか特別な雰囲気のたちこめた会場で、ファンはいまかいまかと開演時間を待ちわびていた。
ライブ開始時刻を迎えバンドメンバーが『夏が帰る』のイントロを演奏し始めるやいなや、ステージ下よりTシャツにデニムのショートパンツというカジュアルなスタイルのaikoが登場し、待ちわびた大観衆より歓声で迎えられた。「晴れたね。aikoです!」と観客に呼びかけ、『あたしの向こう』がスタート。観客が大きな手拍子で盛り上げると音玉が鳴り響き、『予告』で客席に伸びる50メートルもある花道を進み、ファンとの距離はさらに近いものに。
MCでは、「またこの場所でライブをすることが出来ました。皆さん来てくれて本当にどうもありがとうございます!」とaikoが語りかけると、呼応するようにファンから大きな声が上がる。「今日はボロボロになるつもりで、夏休みの最後に体中痛くなるようないい意味でも悪い意味でも”傷”をいっぱいつけて、最高の時間を過ごしたいと思います!みんなしんどいと思うけどふんばってな!最後まで宜しくお願いします!」と、一夜限りの特別なライブへの想いを込めて、呼びかけた。
さらにこの日は伊藤園より「お〜いお茶」と「エビアン」の無料配布も行われており、感謝の言葉を述べ、観客と乾杯を交わした。「今日はいっぱい用意してるからね。ぜひとも後ろの皆さんまで届きますように!」と、陽が傾きかけた茅ヶ崎の海を彩るように『横顔』『アンドロメダ』を歌い上げた。続く『瞳』ではピアノのイントロと波の音がマッチした幻想的とも思える空気が立ち込めるなか、ステージに設置されたLEDに歌詞が表示される演出のスローバラードに観客が酔いしれた。
演奏後、「今日は三年ぶりの屋外でのライブなので海の向こう、空の上までたくさんの自分の歌を届けられたらいいなと思っています。」とこの日のこれ以上ないというほどのロケーションへの想いを語ると、「一番後ろの人、携帯のライトを点けて!」とファンに呼びかけて眼前に広がる大観衆に驚き、海の家やマンションなど屋外ならではの情景にaikoらしいMCで語りかけた。
aikoのライブで恒例の「男子! 女子! 」のコール&レスポンスのあとは、一気にボルテージを上げてメドレーに突入。「Love Like Aloha」恒例のサザンオールスターズのカバーとして『MISS BRAND-NEW DAY』、aikoの最新アルバム『湿った夏の始まり』から『ドライブモード』を軽快に歌い上げると、『エナジー』『二人』と、ライブ定番曲を次々と披露し会場はさらに熱を帯びていく。
この日2曲目のサザンオールスターズのカバー曲『Ya Ya あの時代を忘れない』、『明日の歌』、『初恋』と緩急をつけてオーディエンスを沸かせると、弾むようなリズムに観客が飛び跳ねる『雲は白リンゴは赤』でメドレーを締めくくった。
「Love Like Alohaも6回目を迎えることができて、本当にありがとうございます!茅ヶ崎の皆さんにお世話になって、こうやってライブをすることが出来て、これで私の夏が終わるなっていつも思うんですけど、すごく心も体の中もいろんな意味でズタズタになって、このライブが終わるともぬけの殻になってしまうんです」とライブも後半戦に差し掛かり寂しさを覗かせると、「12月までツアーもやってるので皆さんもしよかったら遊びにきてください!」と現在敢行中の自身最大規模のホールツアー「Love Like Pop vol.20」での再会を呼びかけた。
「空高くみんなに届きますように!」とすっかり紺碧色の空になった会場に『天の川』を美しく歌い上げ会場が息を呑むと、アップテンポの『花風』ではaikoとオーディエンスはより一体感を増していく。「できれば朝が来るまでみんなで酒盛りしたいくらいですよね。だがしかし! そんなことができないぐらい、後半戦もっともっとボロボロにしてやるよ!」と呼びかけ、ステージの火花とともに『夢見る隙間』で会場を盛り上げる。最新アルバム『湿った夏の始まり』から『ストロー』、『ハナガサイタ』を立て続けに披露し観客は手拍子と歓声で応える。
「今日のことをどうかどうかずっと覚えててくれますように!」と語りかけると『キラキラ』を熱唱し「また必ず会えますように! 元気でねー! お疲れさまでしたー!!」と挨拶を述べ幕を閉じた。
全13曲を歌い終えてaikoがステージを後にすると、ステージ後方からはこの夏の最後を彩る1700発もの花火が打ち上げられ、メモリアルイヤーに行われた「Love Like Aloha vol.6」を締めくくった。