UNIDOTS セカンドワンマンライブレポート!7月の東名阪ツアー発表

中盤では「サンデーブルー」が会場を日曜の朝のどこか気だるい時間へと誘えば、エレクトロな要素を再び入り混じらせた「sayosigure」では、持ち前のダンサブルで躍動感たっぷりの音楽性が会場に彩りを添えていく。また、厳かで荘厳な音とサスティーンに重きを置いたコンノのベースも印象的だった「東京の精神」では、安定したリズム隊の上、歌とメロディでドラマ性を築いたかと思えば一転。それを飲み込むが如く突如怒涛性が現れ、そこを抜け現れた対岸にどこか凪や安堵感を覚える。

「memento」では瑞葵もハンドマイクスタイルで歌った。が故に更に歌にも感情が込もる。この曲は80’sヒップホップ的なマナーも印象的。アーバン性を帯びたループするベースフレーズとファンキーさ、Uのドラムもレアグルーヴィーな16ビートを刻んでいく。

ここまではかなりの緊張感が場内を支配していた。それを解き綻ばせたのは、「神様の言うとおり」だった。たゆたうように揺れ始める会場。フロア頭上のミラーボールも回り至福と幻想を与えてくれた。続く「狐の嫁入り」ではファンキーなサウンドが場内に躍動感を寄与していく。瑞葵も時折フォクスサイン。気づけばみな徐々に身体全体でリズムを取り始めていた。

Koji Nishida (nirnor inc.)

ラップ調のフロウを活かした歌い方も特徴的だった「そんな自分が一番嫌い」、続く「僕らの終着点」ではコンノのダウンピッキングが会場を走り出させていく。また、「舗道に咲いた花」では途中合流したバンドサウンドが歌物語を可視化させ、健気ながら力強い歌謡性を帯びた歌声が、会場中に環境の優越に関係なく凛と舗道に咲いた一輪の花の存在を思い浮かばさせた。本編最後は「あなたは嘘つきだ」。鍵盤とストリングスの音も絡み、歌声が高い天井に昇華していくが如く吸い込まれていく。最後は瑞葵が深くお辞儀をし、一人先にステージを去るも残る3人は演奏を続行。アウトロを放ち終えると袖へと去り、ステージは再び無人となった。

アンコールではまず瑞葵とコンノだけで現れ新曲「睡眠」を始めた。幻想的なミニマルサウンドと硬質な打ち込みのドラムをバックに、クールさを帯びたウェットな瑞葵の歌声が場内をたゆたわせる。
ここで本編では一切なかったMCが、その分も伝えるとばかりに瑞葵の口から次々と溢れ出た。ここでは今回の題の「孵化」についてが主に語られる。「色々と悩んだり自分の行動や活動に懐疑的になったりもし、一人で背負っていると思っていた。だけど実際は周りの人たちに支えられ、このUNIDOTSが作り上げられている。その実感は増々強くなっている」と語り、「なんだかそれが大事な卵を温めているようで、このタイトルの「孵化」にした。この孵化には<兆し>という意味も込められていて、UNIDOTSが今後もどんどん大きくなり広がっていき、未知の可能性をずっと持ち続けていく。そんな意味も含まれている。そして今日はそのスタートでもある」と続けた。
再びバンドにて「裏街道ハイウェイ」をプレイした彼ら。力強いサウンドと歌声と共に、それらはまるで、これからこの道を迷わずに進んでいく。そんな決意や宣言のようにも響いた。ラストは、「ずっと初心を忘れないように昔からやっているこの曲を」と「かえるの子」が高らかに誇らしく鳴らされた。ラストに向けじわじわと安堵感に包まれていく場内。そこでは完全なるUNIDOTSの孵化を見て取ることが出来た。

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