9mm Parabellum Bullet バンド結成15周年記念 6番勝負の対バンツアーがいよいよスタート

そしてこれを受けての9mmのライヴは、まさに快演だった。近年の彼らのライヴはサポートギタリストを含めた5人体制が定着、その効果でサウンドに厚みや豊かさが生まれている。序盤にはついさっきアベンズがサワリだけプレイした「Vampiregirl」を披露! 今の9mmは豪快さとともに一体感が高く、そのテンションがダイレクトに客席に響いている。最高だ。
最初のブロックを演奏し終えたところで、ヴォーカルの菅原卓郎は今夜の対バン相手への謝辞を述べながらも「俺らはavengers in sci-fiに負けないから!」と話した。「6番勝負」と銘打っていることもあり、先ほどの木幡の言葉を受けてのものだろうが、それでも両者に感じられるのは互いにリスペクトの念を持っていることだ。思い返せば9mmはこれまでも対バン企画を数多くやってきたが、そこにはつねに相手への真摯な姿勢があったし、そのまっすぐさもこのバンドの魅力のひとつである。そして中盤に演奏された4月リリースの最新シングル「名もなきヒーロー」は、彼らにとって初めての応援ソング。サウンド的には9mmの王道路線だが、楽曲が放つポジティヴな感覚は今までになかったものだ。バンド自体のあり方、それに菅原の人間性が反映されている。

9mm Parabellum Bullet

こうしてライヴは新旧の楽曲が配されながら進行していった。一時期は左腕の不調に苦しんだ滝 善充はすっかり復調し、ギターで好プレイを連発。かみじょう&中村和彦のリズム隊はタフネスを増している。そしてセンターで叫ぶ菅原は、客席にしっかりと対峙する姿が頼もしく、しかもそのたたずまいや笑顔には包容力さえ感じられる。これにはここ数年のソロ活動を通じて得たものも反映されているに違いない。

終盤に差しかかる前には、以前アベンズと浜松で対バンした時に打ち上げで盛り上がり、路上で肩を組んで長渕剛を唄ったことを暴露して、観客の笑いを誘った菅原。そしてこの対バンツアーについては「今回は同世代(のバンド)が多いんですけど、それは同じ時代を生きているぞ、同じ時代を生きてきたぞ、という気持ちがあるからです」と表明した。本ツアーでは今後もこうして相手のバンドとの関係や回想などが語られていくのだろう。また、彼はこのF.A.Dというライヴハウスでのイベントの思い出や、ここへの感謝の気持ちも示した。それは今夜だけをとってもさまざまな過去があるからこそ組まれたライヴであることがわかる瞬間だった。

クライマックス、バンドは「Black Market Blues」「新しい光」など、剛速球クラスのナンバーを連発。
「15周年、いろいろあるから、よろしく! 9mm Parabellum Bulletでした……またね!」
笑顔で去っていく4人と、深く礼をする菅原。フロアにひしめく誰もかれもが上気しきった顔をしている。現在の9mmがいい状態にあることが感じられる、最高の夜だった。

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