WANIMA

WANIMA 25万人を動員する過去最大の全国ツアー 「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」新木場スタジオコーストにて開幕

10月23日にリリースされ、CDとデジタルともにオリコン週間チャート初登場1位を奪取したWANIMAのニューアルバム『COMINATCHA!!』。この11月からは、いよいよ新作ツアー「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」が開幕である。2019年内にライブハウス&ホール編が6本、年明け1月末から4月いっぱいまでアリーナ編が24本。全30公演に及ぶ、今のWANIMAに相応しい大規模なツアーである。初日東京・新木場スタジオコースト(11月5日)の模様をレポートしたい。SOLDOUTの本公演には溢れんばかりのオーディエンスが詰めかけ、少し肌寒くなった秋の気候さえも忘れさせる熱気が、開演前から渦巻いていた。

WANIMA

 巨大なイラストが描かれた「COMINATCHA!! TOUR」仕様のバックドロップが掲げられ、この日が初お披露目となる登場SE“COMINATCHA!!のテーマ”がけたたましく鳴り響いた。KENTA(Vo/Ba)、KO-SHIN(Gu/Cho)、FUJI(Dr/Cho)が揃ってコール&レスポンスを巻き起こして場内の熱狂を増幅させる。FUJIは早くも某大物アーティストのモノマネをしているし、KO-SHINも序盤から「新木場ーっっ!!」と吠え、そしてKENTAは「準備できてる? COMINATCHA!! TOUR、かーいさーいしまーす!!」の宣言で新作同様のオープニング“JOY”に飛び込んでゆく。前のめりなスタートダッシュではあるが、それ以上にオーディエンスの歌声を集めるメロディのしなやかさが光っている。

WANIMA

 煽り文句を投げかける一方で、クラウドサーフ連発のフロアに怪我をしないよう呼びかける配慮も抜かりない。“夏のどこかへ”に“BOUNCE”、そしてKENTAがハンドマイクで仰け反りながら歌い出す“つづくもの”といったこの序盤から、体幹の強いアンサンブルがライブをがっちりと支えていた。ライブハウスとしては最大規模のサイズを誇るスタジオコーストではあるが、今のWANIMAにとっては余裕さえ伺えるサイズ感なのである。“アゲイン”のギターソロにも「KO-SHIN! KO-SHIN!」とオーディエンスのコールが自然に湧き上がり、男の哀愁を帯びた“サンセットストリップ”から“オドルヨル”にかけては、「新木場でそれは危ないって〜!」というKENTAの言葉どおり、肉体に直接揺さぶりをかける猥雑グルーヴが全開になる。巨大アンプやマイクスタンド、ドラムセットに仕込まれたLEDがギラギラと煌めくギミックも、ダンスの熱狂に拍車をかけていた。

WANIMA

 グッドメロディとダンスグルーヴの応酬で、さらにシンガロングを燃え盛らせる“GONG”のあとには、「KO-SHIN、ギター違うやん」と話題を振るKENTA。KO-SHINがこの日のために新調したグレッチのギターフレーズを妖しくスウィングさせる“Baby Sniper”は、間違いなくWANIMAサウンドの新境地だろう。負けじとKENTAがベースでリードするラテンテイストのダンスチューン“シャララ”へと持ち込み、熱く逃れがたいダンスタイムが続く。挑発的な言葉が乱射される“Like a Fire”は、まるで歌そのものが率先して踊り出しているかのようだ。

[amazon_link asins=’B07WG2VCKK’ template=’ProductCarousel’ store=’classic0330-22′ marketplace=’JP’ link_id=’6f4cc351-23e9-4cc4-b4a1-de6425fee184′]

 FUJIは、この夜2度目となる大御所ミュージシャンのモノマネで「WANIMAファンの力、見せてくれよ!」と告げ、“Drive”からは反骨精神に裏付けられたエモーショナルな大合唱と化す。「この曲が、3千人全員に届くといいな」という思いが込められた“BROTHER”は切迫感に満ちた呼びかけの歌であり、そこから間髪入れずに放たれる“シグナル”の一体感は凄まじいものがあった。これは、ライブハウスだからという理由だけではない。今後のホールやアリーナ公演でも、きっとWANIMAはこの濃密なコミュニケーションの時間を生み出すだろう。彼らの音楽はそういうものだ。

WANIMA

 「答えを出すときは、みんな一人で出すと思います。だから僕は《弱いままで強くなれ》という言葉を歌詞に入れました」。ライブの現場で大切に披露してきた名曲“りんどう”を歌うとき、KENTAはそんなふうに語った。KO-SHINのギターも、FUJIのビートも、それぞれがしっかりと立ち、そして寄り添っていくパフォーマンスだ。派手な演出もなく届けられた“りんどう”は、しかしそれぞれの命を、生活を、強く明るく照らし出していた。そしてライブ本編を締めくくるのは、シングル『Summer Trap!!』収録曲の“Mom”。KENTAは、(祖母を亡くした現実と)向き合うことができなかった後悔から、覚悟を決めて目の前の人々と向き合っていかなければならないという思いを語り、「なにをするにも大切なのは覚悟やけん。」とオーディエンスに呼びかけると、「これからもWANIMAとともに生きてください!」と、この曲を力の限りに歌うのだった。

[amazon_link asins=’B07WG2VCKM’ template=’ProductCarousel’ store=’classic0330-22′ marketplace=’JP’ link_id=’0dcbf1de-97a5-46aa-95ff-5ffc69714363′]

 《始まるんじゃない 始めるんだぜ!!》というフレーズを刻み付ける“ここに”で始まったアンコールだが、この後の選曲はリクエストを募る形に。さてこれが困った。リクエスト権をかけてKO-SHINが“どんぐりころころ”のメロディに挑むギターチャレンジを繰り広げたりもするのだが、何しろアルバムが1枚増えたことで当然、演奏してほしい曲はまだ幾らでも残っている。どうにか3曲が決まり、“THANX“ “また逢える日まで” “TRACE”で会場のボルテージをあげると、さらにオーバーヒート級の“BIG UP”から決定的ラストナンバー“GET DOWN”に持ち込むことで、この初日は幕を下ろした。新しい喜びに出会えたぶん、新しい悩みも増える。さあ、新しいシーズンが始まった。今後の各地公演では、何が待ち構えているのだろうか。

text by小池宏和
photo by 瀧本JON…行秀

WANIMA「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020~」新木場スタジオコースト公演

日程:2019年11月5日(火)
会場:新木場スタジオコースト
開場:18:00 / 開演 19:00

1

2 3 4