月に吠える

大森南朋率いる”月に吠える。”、第三思春期の男たちが放つ煩悩具足のロックンロール

俳優・大森南朋率いるロックバンド、月に吠える。によるツーマン・ライブ<代官山UNITで吠える。>が去る2019年10月25日(金)、対バンにSMOKY & THE SUGAR GLIDERを迎えて開催された。
月に吠える。は結成5周年アニバーサリー・イヤーの一環であり、5か月ぶりのライブとあってバンドもオーディエンスも互いに待望久しく大いに沸いたステージの模様をレポートする。

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暗転から明けると大森南朋(Vo&G)がひとりギターをかき鳴らし、「台風が去ってよかったね」とつぶやくと、続いて塚本史朗(G)長野典二(B)山崎潤(Dr)が次々と登場し、オープニングSE代わりのウォーミング・アップ的セッションでブルージーに音を重ねていく。「OK、月に吠える。です!」と大森のシャウトを皮切りにM-1「カモンレッツゴーロックンロール」で幕を開けた。
冒頭からフル・スロットルのドライブ感に場内のボルテージは一気に上昇するも、大森はどこかポーカーフェイスな振る舞いを見せる。かと思えば、次曲のイントロに乗せてお茶目な挨拶と共に「中年4人でお送りします」と真顔でおどけてみせながら、M-2「空蝉」では一転してダウナーなブルースロックをルーズかつクールに放っていく。

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M-3「世田谷NERVOUS BREAKDOWN」は小気味良いリズムととびきりポップに振り切ったサウンドでフロアを縦ノリに揺らし、序盤から緩急巧みな展開で聴衆の心をかっさらって行く。曲終わりでようやく大森の表情に笑みがこぼれると観客から思わず「かわいい!」の声が上がり、すかさず「47歳だぜ!」と笑いを誘った後、M-4「I Wanna Be Your Rock’n Roll Star」へ。この疾走感あふれる直球ロックンロール・ナンバーは、サビの決めのフレーズのシンガロングでオーディエンスとの一体感が高まっていく。

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MCをはさんでM-5「リズム」は、レゲエ・テイストを織り交ぜたキャッチーなポップ・チューンでひときわハッピーでピースフルな空気が突き抜ける。続いてバンド唯一のファンク・ナンバー、M-6「恋にバカで」では、どこか飄々としていた大森が突如別人格が憑依したかのような熱さみなぎるアティチュードに変異、MCで「17歳ぐらいの頃から恋にバカでした」と語ったようにティーンの年頃の彼自身が降臨したかと錯覚する。次曲は「久々のライブの為に慌てて作った」というM-7「Why Did It Turn Out Like This」、むせ返るようなブルースの匂いが立ち込めるミドル・ロックナンバーは、齢四十過ぎの彼らだからこそ醸し出せる真骨頂だ。

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MCをはさみ、大森がジョニー・サンダースとお揃いのギターに持ち替えM-8「気まぐれジョニー」を披露、静と動、ドライからエモーショナルへ移ろう感情のコントラストで、曲にドラマが生まれるその様は胸に迫り息を呑む。そして余韻を切り裂くかのようにM-9「月に吠える。」へなだれ込み、牙を剥くような攻めの姿勢とサイケデリックなアプローチでトランス感覚へと誘い、すでに沸点超えの中での各メンバーのソロパートの見せ場も実に圧巻だ。間髪入れずにM-10「ズリぃな」は、完全にリミッターを振り切った怒涛のパフォーマンスで熾烈にラウドなロックンロールを畳みかけ、爆発力と高揚感は最高潮に。

月に吠える

ラストとなるM-11「ロマンチックブギー」、すっかりオーバーヒートした空気を痛快かつ明快なキラーチューンで軽快に落とし込む、心憎いその展開にバンドの粋と心意気を感じつつ、本編が締めくくられた。

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