BAROQUE

BAROQUE、ツアーファイナル ハーモニーホール座間公演終幕、「SAINTS OR SINNERS」の開催が決定

BAROQUEがアルバム『PUER ET PUELLA(読み:ピュエル エ ピュエラ/ラテン語で少年少女という意味)を掲げ、昨年7月24日、愛知県・名古屋Electric Lady Landからスタートさせた全国ツアー<THE BIRTH OF LIBERTY>が、年をまたいで迎えた1月10日。圭の(Gt)の出身地でもある神奈川県・ハーモニーホール座間(大ホール)公演でファイナルを迎えた。

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ライブ後、外に出ると夜空には満月が浮かんでいた。リリース前にアルバム『PUER ET PUELLA』収録曲を再現したあの日本橋三井ホールのライブ<VISIONS OF // PEP>(2019年12月25日、LIVE Blu-ray&DVD発売)後だったら、きっとこの月の光を見上げたとき、心と体がどこまでも透明になっていくような高揚感を抱いていたはず。しかしこの日ツアーファイナルで観たBAROQUEは、この満月を圧倒的な美しさとともに、月の裏側までをえぐりだすような熱量と神秘的な彩りで描き出すバンドに大きく進化していた。

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BAROQUEは残念ながらいまは動員的にライブハウス中心のツアーになっているが、本来はホールで観てこそ彼らの素晴らしさ、楽曲がより際立つバンドだ。
この日会場となったハーモニーホール座間の天井にはスカイドームがあり、そこには開演前からオーロラや天の川が次々と映し出しされるという、まさにBAROQUEにぴったりなシチュエーションのなかで、ライブは開幕。
ステージ上の演者は全員が黒でトータルコーディネイト。オープニング、「RINGING THE LIBERTY」の演奏が始まると、LEDパネルはキリスト生誕を描いたような聖堂のステンドグラスを映し出し、オーディエンス全員のこの世に生まれた日を神々しいほどの爆発的な白いライティングと音で祝福。

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このあと、誕生した生命が動き出ていく瞬間を描くように、圭だけではなくボーカルの怜もギターを構え、サポートメンバーであるKENZO(Dr/彩冷える、gremlins)、高松浩史(Ba/THE NOVEMBERS)、hico(Key&manipulator)とともにスリリングなセッションを繰り広げ、「FLOWER OF ROMANCE」からは圧倒的なダイナミズムでバンドアンサンブルが立ち上がっていく。

このツアーでさらにパワフルさをましたリズム隊、圭のギターの裏側を支える主張をしだしたベースラインがバンドをしっかりと支えているので、圭のギターはより即興性を増したプレイに変化。
「SKY FITS HEAVEN」で圭のギターが闇の扉を切り裂くようにうねりをあげて以降、「ヒトのイロ」、「SWALLOW THE NIGHT」、「SILENT PICTURE」と展開したパートは、いまのBAROQUEの変貌ぶりが体感できた部分。
白い静謐さのなかでどこまでも爆発していくスペーシーでヘヴンリーなシューゲイザーなサウンド構築を得意としていたBAROQUEが、本ツアーを通して彼らはそのリミッターを解除。

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白から、怖いほどの狂気や悪魔を感じさせるような赤黒い色彩まで到達する熱量を帯びたノイジーなギター、怖いほどのフィードバック音、ボーカルの怜が放つ狂おしい情熱的なシャウトなどが入り乱れるなか、神秘的かつダイナミズムな音像を生み出していったのだ。

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そのいっぽうで、中盤に差し込まれた「PURIFY」は、繊細かつシネマティックな演奏で、それとは対照的にこの世のものとは思えない美しさまで昇天。舞台上には紗幕が降り、そことスカイドームに映し出される星空で、遥かなる安らぎに満ちた気高くも至福の宇宙空間を場内に作ってみせた。

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けれども、人々が生きている現実はそんな美しい場面ばかりではないとばかりに、ここからは再び人が生まれた地上へと帰還。場内の透明な空間をぐにゃりとねじ曲げ、人が生きていれば対面するであろう生と死。
そこに直面したときの感情の叫びを「AN ETERNITY」、「MEMENTO」で凄まじい気迫溢れる生々しいパフォーマンス(ライブ毎に演奏が変化)で披露していった場面は、BAROQUEがもっとも人間臭い存在に映った場面で、その人間味がオーディエンスの心の深層まで揺さぶっていった。

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