スカパラが会場を大熱狂の渦へ。TOKYO CUTTING EDGE Vol.3 ライブレポート

TOKYO CUTTING EDGE Vol.3

その後はレーベルを移籍した今のフレッシュな気持ちを観客に伝えると、発表したばかりの新曲「アンビバレンス」を披露。この楽曲は、ブラック・ミュージックを通過したポップスとエレクトロニックな要素が融合したAwesome City Clubらしいキラー・チューン。ライブではカッティングギターがより強調され、洗練されたグルーヴが生まれていた。以降はヴィンテージソウル風の「SUNNY GIRL」を経て、バンドの代表曲のひとつ「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」でラスト。ステージの両端に広がったatagiとPORINが向き合って歌い合うステージングに歓声が上がった他、「回りつづける」という歌詞に合わせて2人ミラーボールが回るジェスチャーをして、ロマンティックな余韻が広がった。

続いて登場したのは、昨年cutting edge内にプライベートレーベル「8902 RECORDS」を設立したtricot。変拍子を駆使した予測不能のアンサンブルと中嶋イッキュウの歌がお互いの個性を消さない形で融合する独特な世界観で人気を集める彼女たちだが、この日は中嶋イッキュウの喉の調子が悪く、急遽1月29日発売の最新アルバム『真っ黒』から、8曲をインストで演奏。中嶋イッキュウが声を絞り出すように「今日はインストバンドとして、全曲新曲でやります」と観客に伝えると、ピンチをチャンスに変えようとする気概に大歓声が巻き起こる。「あふれる」や「真っ白」「真っ黒」といった公開済みの楽曲だけでなく、「まぜるな危険」「右脳左脳」「みてて」「秘蜜」「低速道路」といった楽曲も含む、この日だけの貴重な演奏となった。

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中でも印象的だったのは、普段は歌と融合して楽曲の根幹をなす変拍子や、キダ モティフォの独創的なギターを筆頭にした各メンバーの演奏が、ボーカルレスの形式によって細部まで印象的に感じられたこと。ステージ中央のヒロミ・ヒロヒロを囲むように向き合ったメンバーが自在にテンポを変えながら、時に激しく、時にメランコリックに演奏を繰り広げると、普段よりも際立つキダ モティフォ&ヒロミ・ヒロヒロのコーラスも含めて、楽曲内に何曲分ものアイディアが詰め込まれているような構成によって、終始ダレル瞬間がない。終盤には「こんな状態でも出演させてくれたcutting edgeに感謝しています。これからもよろしくお願いします!」と告げてふたたび演奏が盛り上がり、メンバーが深く礼をした瞬間に拍手が起こった。国内はもとより、海外でも様々な経験を積んできたバンドの底力を伝えると同時に、最新アルバム『真っ黒』への期待をさらに高めてくれるようなライブだった。

そしてラストは、デビュー30周年を迎えた東京スカパラダイスオーケストラが登場。彼らはスカを基調にしながらも、ジャンルを問わず様々な垣根を壊す活動を続けてきた日本の音楽シーンきってのSKAバンドであり、同時に、長年cutting edgeのアティチュードを体現し続けてきたバンドでもある。この日はゲストボーカリストとして10-FEETの TAKUMAとSUPER BEAVERの渋谷龍太を迎えた。

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まずは「DOWN BEAT STOMP」がはじまると、お馴染みの「Yeah yeah yeah yeah, yeah, yeah」というコーラスに早速会場一体となった合唱が生まれ、観客がジャンプをして早くも巨大な一体感が生まれていく。自身の単独公演はもちろんのこと、国内外の様々なフェスで会場を揺らしてきた彼ららしい、一瞬でボーダーを取り払うような雰囲気がとにかく楽しい。以降はMCで谷中敦が「cutting edgeは流行の先端を切り取るレーベルとしてはじまりました。まだ切り取れてるかな?」と伝えて、2曲目「Paradise Has No Border」へ。「この会場で、一番盛り上がっているのはどこだ!?」とGAMOが告げると、メンバーがステージの左、右、中央を大移動しながら、ますますパーティー感溢れる演奏で会場を揺らしていく。

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