y’s presents 貴ちゃんナイト vol.8

本イベントのトリを務めるのは、偶然にも貴ちゃんナイトに相応しい、真っ赤な衣装に身を包んだGREAT3。活動再開時に発表されたセルフ・タイトルアルバム「GREAT3」収録の「TAXI」でスタート。”GREAT3にしか出せない音楽”とでも云うべきか、往年のファンのみならず、バンドの本質的な個性やアプローチは、耳にした誰をも虜にする魅力がある。
「セックスについての曲を」と、片寄明人(Vo/Gt)から憎い紹介で奏でられたのは「睫毛」。艶やかな表情を持つ中に、jan(Ba)の奏でる卓越したベース・プレイが光る。「When you were a beauty」収録の「ONO」では、片寄明人の甘いハイトーン・ヴォイスに酔いしれて、「綱渡り」では力強いドラミングを奏でる白根賢一(Dr)と、余すことなくGREAT3の世界を広げる。
「今日はキュートなヴォーカリストが、2人出ていましたね。良い子たちなんですよ(笑)。」と、まるで親戚のおじさんだと自らツッコミを入れる片寄に、会場から笑いが起こると、実は今回の出演者の中で最年少でもあるjanからすかさず「片寄さんもめっちゃカワイイよ」と合いの手が入り、和やかな時間が訪れる。そのjanのグルーヴィーなベースラインから始まる初期の名曲「マイ・ウェイ」では、白根がヴォーカルを取り、オリジナルとは全く違う新たなアレンジで、現在進行形のロックを畳み掛ける。
そして、最新アルバムにして最高傑作と名高い「愛の関係」から「穴と月」が披露されると、大歓声が沸き起こった。

ラストは、不思議な暖かみと柔らかさのあるギター、メロウでありながら激しくノイジーでもあるライブアレンジが施され、音源とは異なる音世界に進化したシューゲイズ「ポカホンタス」。完璧なまでにその圧倒的な存在感を残し、本編は終了した。

鳴り止まないアンコールに呼び込まれて、再びGREAT3がステージに上がる。
そして、GREAT3のステージでは滅多に、いや2度と観れることがないであろう、The Cheseraseraの宍戸翼と9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎を交えたセッションが始まる。
これぞ、貴ちゃんナイトの真髄でもあり、冒頭に中村貴子が述べた「最後までいないと後悔します」への回答なのだ。
奏でられたのは「GLASS ROOTS」と「DISCOMAN」。20代である宍戸、30代である菅原、そして40代である片寄と、世代を超えたセッションは、まさに中村貴子が描いた夢を夢で終わらせない、音楽を通して繋いだ強い愛だった。

終演の挨拶で再び中村貴子がステージへ上がり、出演アーティスト一人一人へ感謝を述べる。
恒例となった、出演者とリスナーズとの記念撮影を終え、1人ステージに残った中村貴子から「これからも、みんなで音楽を愛していきましょう!」と締めくくった。

中村貴子と幾つものアーティスト、そしてリスナーズを繋いだラジオ。
電波に乗せて紡がれた音楽を愛し続けることで、また次回の「貴ちゃんナイト」開催をその大きな愛と共に、私たちに運んでくれるだろう。

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