THE YELLOW MONKEY

THE YELLOW MONKEY、「シーズン2」開幕の地に再び立つ。代々木第一体育館「30th Anniversary LIVE -YOYOGI SPECIAL-」

THE YELLOW MONKEYの結成30周年記念ライブ「30th Anniversary LIVE」全4公演のうち、3公演目となる「30th Anniversary LIVE -YOYOGI SPECIAL-」が12月7日、東京・国立代々木競技場第一体育館にて開催された。

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THE YELLOW MONKEY自身にとって所縁の深い4会場を舞台とする「30th Anniversary LIVE」。「DOME SPECIAL」(11月3日・東京ドーム)、「YOKOHAMA SPECIAL」(11月7日・横浜アリーナ)に続き、今回の「YOYOGI SPECIAL」を開催した代々木第一体育館は、2016年にTHE YELLOW MONKEYが再集結を果たしてから初めてライブを行った、言わば「シーズン2」の記念すべき幕開けの場所でもある。

東京ドーム&横浜アリーナ公演と同様に、接触確認アプリ「COCOA」のチェック/1席空きの客席ソーシャルディスタンス/手指の消毒など新型コロナウイルス感染防止対策を行った上で、5,700人の観客動員を実現したこの日のライブ。開演前のスタッフ前説で、東京ドーム・横浜アリーナ両公演で終演後2週間、ライブ参加者の感染者報告ゼロだったことが発表され、場内一面に拍手が巻き起こる。

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開演時刻の19時を過ぎ、待ちきれない観客の手拍子が鳴り渡る中、いよいよ舞台に吉井和哉(Vocal & Guitar/以下「吉井」)、菊地英昭(Guitar/以下「エマ」)、廣瀬洋一(Bass/以下「ヒーセ」)、菊地英二(Drums/以下「アニー」)、そして再集結後のライブをサポートしてきた鶴谷崇(Keyboard)が登場。割れんばかりの拍手が広大な空間を満たしていく。

各公演ごとに異なる選曲で行われている「30th Anniversary LIVE」、この日のステージは2nd アルバム『EXPERIENCE MOVIE(未公開のエクスペリエンス・ムービー)』のナンバー「LOVE IS ZOOPHILIA」からスタート。エマ/ヒーセ/アニーが一丸となって繰り出すグラムロックの熱量を、そのまま7th アルバム『PUNCH DRUNKARD』の「セックスレスデス」へと注ぎ込み、さらに6th アルバム『SICKS』から「TVのシンガー」「創生児」、『PUNCH DRUNKARD』の「クズ社会の赤いバラ」、そして再集結後の最新アルバム『9999』から「Breaking The Hide」と次々に楽曲を披露していく。

30年間のキャリアの中から年代を超えて演奏されるナンバーを貫くテーマは「エマ」。「なんと本日は、菊地英昭さんことエマさんのお誕生日でございます!」という吉井の言葉通り、この日56歳の誕生日を迎えたエマを讃え、エマ作曲(または吉井・エマ共作曲)による楽曲をフィーチャーした一夜だった。

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初期のブギーナンバー「This Is For You」では、「Vocal、エマ!」という吉井のコールをきっかけにエマがボーカルを取り、最後は吉井と見事なハモリを響かせる。「街の灯」のラストの《聞いて下さいな》のフレーズを吉井が会場上手・下手のオーディエンスにアピールするように歌い上げ、熱い拍手との「コール&レスポンス」を描き出す……といった具合に、感染防止の観点から客席には歓声もシンガロングもないものの、そこには確かにステージと観客の濃密な一体感があった。

イントロのエマのアルペジオが会場を軽やかなクラップで包んだ「Neurotic Celebration」では、曲の途中で観客一丸の手拍子で「エマさん」を再現したり、「Happy Birthdayを歌おう、拍手で!」(吉井)とまさかの手拍子版「Happy Birthday To You」が響き渡ったり、とこの日ならではの名場面が続出。そんな多幸感に身を委ねるように、エマのアルペジオに重ねて《あなたの燃える手で/あたしを抱きしめて》と「愛の讃歌」の一節を口ずさむ吉井。同時に生配信が行われていたニコニコ生放送のコメントが、続く「イエ・イエ・コスメティック・ラヴ」で舞台背後の巨大ビジョンにテロップで映し出される中、曲中で♪エマはまだ 56だから〜と「センチメンタル・ジャーニー」の替え歌を挿入する吉井に、画面のコメントが「56だから〜」と応えた「タイムライン合唱」も、ライブ配信も含めた特別な一夜の「一体感」を明確に物語るシーンだった。

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MCではバンド結成当初を振り返る吉井が「なかなか正式メンバーになってくれなかった」とエマについて語る。「ここの2人(吉井&ヒーセ)は、わりと好きな音楽も似てるっちゃ似てるんだよね。ロックンロールの甘いメロディが好きっていう。でも、この(菊地)兄弟が……いい意味でヘンタイなの(笑)。ヘンタイ感をTHE YELLOW MONKEYに持ち込んだ人!」という吉井の言葉からは、30年経った今なお、いや今だからこそお互いに向けられる惜しみないリスペクトが窺える。

ロック少年のイノセンスを凝縮したような「空の青と本当の気持ち」までエマ楽曲のコーナーが続いたところで、暗転。ビジョンの映像では時間がどんどん巻き戻され、2016年の代々木公演、さらには再始動の象徴である金色のサナギと「準備ALRIGHT?」のメッセージが映し出される。舞台に再登場したメンバーが力強く響かせたのはもちろん、再始動の象徴的ロックナンバー「ALRIGHT」。刻一刻とギアを上げていく吉井の歌声とバンドの熱演は、「SPARK」でさらなる高揚感を体現していく。

「よくわからない新型ウイルスで、昔のようなコンサートが楽しめなくなるなんて、夢にも思わなかったんだけど。でもこうやってまた、たくさんの人が手で、身振りで、たくさんの気持ちを伝えようとしてくれて。本当に感謝してます。ありがとう!」

万感の想いを伝えた吉井の「今夜もみなさんから集められた素敵な歌声を響かせて、また新しいバラ色の未来を探しに行きたいと思っております」という言葉とともに流れ込んだ「バラ色の日々」では、事前に「Sing Loud!」企画で募集したファンの歌声が、会場と配信画面越しの観客の情熱を代弁するかのように広がり、至上のロック祝祭空間を生み出していた。

立て続けに「SUCK OF LIFE」「BURN」とキラーナンバーを繰り出し、会場をむせ返るような熱気で包んだところで、「今年のライブも、今日が終わると、あと12月28日の武道館……それが最後になります」「THE YELLOW MONKEYはあと1本で、活動を少し休むと思います」と語る吉井の言葉に、場内の歓喜にやや寂寞感が混じり始める。

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