The BONEZ

The BONEZ、約2年ぶりのツアーを奇跡の完走。苦境の中で提示された、最強の現在。そして5.29には追加公演も決定

2021年4月27日。この日はThe BONEZの歴史における重要な日として記憶されることになるに違ない。去る4月5日、KT Zepp Yokohamaでの公演を皮切りにスタートした『We are The BONEZ Tour 2021』が、この日、Zepp Hanedaで幕を閉じた。すべての演奏を終えたメンバーたちが客席に向けて深々と頭を下げ、「ありがとうございました!」と直球すぎる感謝の言葉を高らかに発したのは、午後9時を少しばかり過ぎた頃のこと。その少し前にJESSEが口にしたのは改めての「心配掛けました。ただいま。」、そしてステージを去る間際に聞こえたのは「ジャパニーズ・バンド代表、The BONEZでした!」という言葉だった。まさにこれら3つの言葉に象徴されるような感謝の気持ち、帰還を果たしたという実感、そしてバンドとしての確信と自負を感じさせられるライヴだった。

The BONEZ

このバンドの前身となるJESSE and The BONEZが始動したのは2012年11月のこと。それからすでに8年半もの月日が経過しているわけだが、彼らのこれまでの歩みは決して順風満帆なものではなく、無敵状態での順調な前進を続けたところで思いがけない落とし穴に出くわすような展開の連続だった。そうした波乱万丈にオトシマエをつけ、まさに生まれ変わるべく昨年の5月から7月にかけては『re:BIRTH』と銘打たれたツアーが組まれていたわけだが、言うまでもなく新型コロナ禍の影響によりその全日程が中止に。結果的には、2020年7月に配信された猪苗代湖畔でのライヴが、サポート・ギタリストにKokiを迎えた新体制のお披露目の機会となった。

通常通りのライヴができないからこその配信。常にステージを主戦場、存在証明の場としてきた彼らにとって、それはまさに前代未聞のパンデミックゆえの、必要に迫られながらの苦渋の選択だった。そして残念なことに、本来あるべき形でのライヴ開催がままならない状況はいまだに続いている。むしろ、多くのアーティストたちが安全面において万全の態勢を敷きながら公演実績を重ねてきたことで、いくぶん規制が緩やかになりつつあったところで今回の緊急事態宣言再発令に至ったこともあり、ステージに立つ当事者たちばかりではなく、興行に携わる関係者、そしてライヴを日常生活に欠かせないものと考える人たちが今現在受けているダメージには計り知れないものがある。

The BONEZ

皮肉なことに、今回のツアー・ファイナル公演は、そうした規制に伴ういくつかの偶然により実現可能になったものでもあった。ふたたび緊急事態宣言が出るとの情報が公になったのは4月23日のこと、そして実際にそれが発令となったのが同25日付のことだった。その日をもって、同日から5月にかけての公演について中止や延期措置の発表が相次ぐことになったわけだが、該当地区でのすべてのライヴについて一斉に中止・延期することには、宣言が週末だったこともあり情報伝達などの面でも無理があると言わざるを得ない。そこで各音楽団体が協議の末に下したのが、4月25日から27日にかけての3日間を経過措置期間とする、という判断だった。要するに、あまりに急なことで対応調整が追い付かないのも無理はないから、感染拡大防止対策をとったうえでの公演開催であるならばその期間中に限っては許可される、ということ。そしてThe BONEZの公演は、その期間最後の日に組まれていたというわけだ。まさに、滑り込みセーフ。ここで“幸運”という言葉を用いるのは不適切かもしれないが、このライヴが実現に至ったのは、そうした“日付のマジック”の恩恵からでもあったのだった。

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