怒髪天、名古屋で、清春との1年越しのツーマンライブ。新曲も初披露。

「よくきた!」増子兄ぃのお馴染みの掛け声がダイアモンドホールに響き渡ると会場に集まったオーディエンスの手が一世に挙がる。怒髪天の登場だ。どれだけこの瞬間を待ちわびていただろう。「荒れ狂った時代の海に大漁の旗を掲げろ」そうやって僕らをアジテーションする怒髪天の名曲「GREAT NUMBER」からライブはスタート。声は出せない。だけど熱き心が、燃える想いが固まりとなってライブハウスにまん延する。これだ、これが怒髪天のライブだ。序盤から「天誅コア」「セイノワ」と今この時代に歌うべくして生まれたナンバーが続く。「君のために死ねるとか誰も喜びはしない」本当にそうだ。愛のために生きる。そんな真っ直ぐなメッセージが増子兄ぃから発せられると涙を流すオーディエンスも。

「清春さんみたいにヒット曲がないから、ここからはしょっぱい曲を歌います」と自虐ネタを含みつつも、大人になることって意外と悪くないんじゃないか、いやむしろ最高なんじゃないか、そう思わせてくれる怒髪天のアンセム「オトナノススメ」、初期の名曲「時代遅れTARO」や怒髪天がずっと大事に歌い続けてきた「愛」をテーマにした「愛の出番だ!」と清春のファンにもしっかりと怒髪天というバンドの在り方、やり方が刺さっているのが分かる。
鬼気迫る「クソったれのテーマ」、「がんばれ!それは自分に向けてだけ」と己と向き合うことを歌い上げる「孤独のエール」、何が正解か分からないなかで自分の決めた道を突き進むことを宣言する「ド真ん中節」と清春のファンにも怒髪天の、増子兄ぃの言葉ひとつひとつがしっかりと届く。清春と怒髪天。打ち出し方は表現方法は全然違うかもしれない。共通点なんて何もないかもしれない。だけど嘘のない音楽は真っ直ぐ突き刺さるのだ。
昭和の夏ソング「夏のお嬢さん」カヴァーでフロアが常夏になると、じゃあやっぱりビールでしょということでもはや怒髪天のアイデンティティともいえる「酒燃料爆進曲」でグッといっちゃって、ラストはこの日配信リリースされたばかりの新曲「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」を叩きつける。もうこのタイトルが全て。こんなにド直球なタイトルはないでしょう。どうしようもないとき、今でしょってタイミングでいつも、怒髪天は雑音も、雑念も全部、ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!ってなぎ倒してくれる。ライブが終わり「生きてまた会おう!」とステージから投げかけた増子兄ぃ。こうやってライブからライブの間の生きて会う約束をこれからもずっと怒髪天としていきたい。

リベンジとなった中京イズバーニングをやりきった怒髪天と清春。ライブを観ながらずっと共通点を探していたけどひとつはっきりと見つけたことがある。増子兄ぃも清春も話が長いのだ(笑)。話し過ぎてどっちも曲を削るなんて、それだけで最高のツーマンだったなと思う。

Text by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by タカギユウスケ

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