AAAMYYY、『Annihilation Tour』初日・恵比寿リキッドルームで見せたソロアーティストとしての確かな成長

衣装チェンジをしたAAAMYYYが再び姿を現し、「踊る準備はできてますか?」と呼びかけると、ライブ後半は“TAKES TIME”からスタート。今度はTENDREが鉄骨の上に登ってギターを弾き、AAAMYYYは英詞のラップパートをクールに決めてみせる。そして、シアトリカルな赤い照明の中で始まった“天狗”ではDos Monosの荘子itが登場。その存在感は抜群で、AAAMYYYとともに両サイドの鉄骨の上からラップを繰り出すと、フロアからは一斉に手が上がり、この日最初のハイライトを作り出した。

ここで少しクールダウンして、初期曲の“MABOROSI”からはAAAMYYYも白のテレキャスターを持ち、しっかりと歌を届けていく。「よかったらみなさんの光をください」と呼びかけて始まった“EYES”では、スマートフォンのライトに照らされる幻想的な風景の中、AAAMYYYもユラユラと体を揺らす。いつのまにかリラックスして座っていたTondenheyによるアコギのイントロから始まる“HOME”をしっとりと歌い上げると、フロアは温かな拍手で包まれた。

ライブ終盤の“屍を超えてゆけ”では、力強く踏み鳴らされるバスドラが先導し、バンド全体でスケール感のあるサウンドスケープを作り出す。さらに、“FICTION”では再びAAAMYYYとTENDREがギターを持って、トリプルギターによるゴリッとしたオルタナ感のあるサウンドを聴かせた。後半はベースもかなり歪んでいて、かつてのエレクトロポップなイメージを払しょくする、厚みのある音像が今のモードを象徴していたように思う。

MCでは「いろいろ言いたいことを考えてきたんですけど、胸いっぱいになっちゃって、飛んでっちゃいました」と感極まった表情を見せながら、「2年半前に出した『BODY』というアルバムから、長い月日が経って、未曾有の事態を経て、すごくいろいろあって、やっと『Annihilation』というアルバムを出すことができて、本当に嬉しいです」と語り、この日のオーディエンスと配信の視聴者双方に感謝を伝える。

続けて「苦しいこともいっぱいありますが、みなさんの隣にいる人たちの顔を見ればわかると思います。誰も敵じゃないし、みんな同じ人間で、ありのままでいられることが素晴らしいと思うんです。だから、無駄な戦いはしたくなくて、隣の人への愛を持って、生きていきませんか?」と話すと、場内からは大きな拍手が起こる。そして、もう一度「みなさん、生きてくださいね」と語りかけて、披露されたのは“AFTER LIFE”。デカダンな雰囲気の曲を両手を広げて歌い上げると、ラストは大井の手数の多いドラミングとTondenheyのノイズギターがサイケデリックな空間を作り出して、本編を締め括った。

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