The Cheserasera 晩夏の応酬(昼)ライブレポート

9月23日、東京・新代田FEVERにてThe Cheseraseraによる昼・夜2部制ワンマンライヴ「晩夏の応酬」が開催された。本レポートでは、昼の部の模様をお届けする。

おなじみのSE・ドリス・デイの「ケセラセラ」と共にメンバーが登場すると、フロアは大きな拍手で3人を出迎えた。夏の終わりにほろ苦い思い出を振り返る、今にぴったりのエモーショナルな「Blues Driver」でライヴはスタート。続く「Take me!」では3人の音がせめぎ合うエネルギッシュなアンサンブルが会場を盛り上げる。「僕たちと皆さんの未来に捧げる歌です」と宣誓して始めた「Youth」では、宍戸翼(ヴォーカル/ギター)が声を振り絞って、もがきながらも前に進もうとする強い気持ちを歌い切った。

この日は、昼・夜公演共にソールドアウト。会場に集った多くのファンは、色々な事情や思いを抱えながらステージを見つめていたことだろう。そんな気持ちを汲み取るように「ライヴなんで、ずっと浮かれてればいいんです!」と「ずっと浮かれてる」へ。宍戸に応えるように美代一貴(ドラム)の弾けるビートで猛烈なスタートダッシュを決め、西田裕作(ベース)は激しく蛇行するベースラインを奏でつつ、コーラスでもその存在感を際立たせた。

一転、シンプルなドラムのリズムと歌だけでアカペラ風に始めたのは「幻」。ゴスペル調のメロディーは自然とハンドクラップを生み、ステージとフロアが共に音楽を奏でているような一体感に包まれた。この後に披露された「ひとりごと」含め、ゆったりとジャジーなムードを醸し出す楽曲が年々その魅力を増している。また、こういった曲調はライヴごとに施されるアレンジの幅も広く、聴く度に新しい発見があるのも嬉しい限りだ。

そしてMCでは、宍戸が公演のタイトル言及。「晩夏」とは夏が終わり、秋に差し掛かろうという時期を表す言葉だ。そのどっちつかずな季節に、彼自身がずっと大事にしてきた「曖昧な感情や、白黒つけられない想いを歌う」というテーマと通ずるものを感じたという。そしてこの日初披露された新曲「がらんどう」にも、そんな彼の想いが溢れていた。宍戸は終わりの見えないコロナ禍の憂鬱から生まれた曲だと語ったが、歪んだサウンドを背に美しく羽ばたいてゆくメロディーは、このやりきれない状況でも、音楽を信じて愛する気持ちがそのまま音になったようで、思わず胸が詰まった。

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