indigo la End、夏夜の日比谷野音で新レーベル発足&新曲リリースを発表

「『ナツヨノマジック』を毎年恒例のイベントにしたい」と話し、ライブ後半で披露されたのは2014年以来8年ぶりに演奏するという“シベリアの女の子”。川谷は「持ち曲が増えるとやらなくなる曲も増えるけど、今年はツアーと今回のライブで昔の曲を結構やって、昔の曲もいいなと改めて思ったし、僕らが思ってる以上に昔の曲を好きでいてくれてるみなさんがいて、曲が始まった瞬間に『オッ!』って表情が変わるのを見るとグッと来たりして。12年間やってきたことが間違ってなかったなって、ライブをやるたびに思います」と話し、松明が灯される神秘的な空間の中で“結び様”が演奏され、本編を締め括った。

アンコールになるとすっかり日も暮れ、ここで新曲の“そのままの冷たさで”を初披露。ヴァースとコーラスの静と動の対比、中盤のモノローグ風のボーカルとコーラスによるシアトリカルな雰囲気が印象的なナンバーから、さらには“夜光虫”を続ける。この曲のシリアスな曲調と夕闇は特にマッチしていて、<誰の幸せも願えぬ心 日の光で赤くなった>という歌詞に合わせてステージが真っ赤になった瞬間はゾッとするような美しさだった。
「ずっと音楽をやってきて、思ったより上手くいかないことも多いし、全部投げ出したくなるときもあるけど、ライブをやって、聴いてくれるみなさんの顔を見ると、『やっぱり音楽をやろう』ってなるから、こういう機会があって本当に恵まれてるなと思います。これからもいい音楽を作って待ってるので、またライブに来てくれたら嬉しいです」と川谷がオーディエンスに感謝を伝えて、この日最後に演奏されたのはやはり“夏夜のマジック”。ステージにスモークがたかれる幻想的な雰囲気の中、「野音、踊りませんか?」という呼びかけに応えてオーディエンスの手が一斉に上がった瞬間は、文字通りまるで魔法のような、忘れられない記憶となった。

終演後にはワーナーミュージック内にindigo la Endのための新レーベル「Slowly Records」が設立されたことが発表された。
レーベル名には「indigo la Endは僕らだけの道をゆっくりとゆっくりと歩いてきました。これから向かうべき場所にゆっくり向かう」という意味が込められていることも会場内に上映された映像により伝えられた。
さらにこのレーベルの第1弾リリースとして8月19日にこの日初披露された新曲“そのままの冷たさで”をデジタルリリースすると発表。
11月にはバンド初の日本武道館公演も控えるなか、新たなフェイズに突入したindigo la Endからますます目が離せない。

文=金子厚武
LIVE写真=鳥居洋介

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