GLAY、「20年分の愛を込めて皆さんに届けたい」と語った20年越しのライブツアーを完走

20年前の2002年9月にリリースされたGLAY 7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』を全曲披露するホール公演『GLAY Anthology presents -UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022-』が、静岡・アクトシティ浜松 中ホールでファイナルを迎えた。
『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』は、GLAYの中でも情緒的な側面が強い作品ということもあり、リリース当時はツアーを行わなかった。しかし、今のGLAYであればこの作品をちゃんとライブで届けられるというメンバーの想いより、今回のツアーが実施された。
会場はクラシック音楽の演奏を最高のレベルで堪能するコンサートホールとして作られた静岡・アクトシティ浜松 中ホールにて開催した。今回はコーラス2名に加え、ストリングス、そしてライブの冒頭とラストには青少年赤十字メンバーである浜松市立高等学校の生徒と東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の学生たち26名を従えての合唱を披露するなど、普段のGLAYとは一味違うライブとなっている。

会場は厳かな空気に包まれながら、ストリングに包まれたSEが会場に鳴り響く。
メンバーと共にコーラス隊総勢28名がステージに着くと、1曲目は「WE ALL FEEL HIS STRENGTH OF TENDER」。
アルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』1曲目に収録されており、ゴスペル要素の強い、壮大なコーラスワークが印象的なナンバー。
そう、このライブは “アルバム完全再現ライブ”。
アルバム通りの曲順で全て届ける、そして今のGLAYであればそれが出来る。
そんなバンドとしての自信の表れとも言えるオープニングである。
TERU(Vo.)の歌声と28名のコーラスが混ざり合い、GLAY流の讃美歌とも言えるパフォーマンスを魅せてくれた。
続いては、当時飛行機のCMソングでもあった「またここであいましょう」や、21世紀以降にリリースされたGLAYシングルの代表作とも言える「Way of Difference」を、勿論アルバムの曲順通りに披露。

アルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』は前作『ONE LOVE』からわずか10ヶ月後にリリースされており、レコーディングも同時期にニューヨークで行われた作品。
『ONE LOVE』はGLAYとしてのロックを強く押し出した作品であるが、この作品はTAKURO(Gt.)の人生を語った作品と言われるほど、情緒的な側面が強い作品に仕上がっている。
まさにアルバムとして、1枚を通して聴いてもらうことを前提に作られた『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』を、厳格な会場で完全再現するライブ。

TERU(Vo.)も「このUNITY ROOTS & FAMILY,AWAYというアルバムがどういう形で伝わるか楽しんできたツアー」と語った。
コロナ禍にGLAYとして自由を説いた16th Album『FREEDOM ONLY』、そして平和と祈りを歌った最新シングル「Only One,Only You」などをリリースしてきた彼らだからこそ、今、20年の時を経て行えるライブと言って良いのではないだろうか。
TAKURO(Gt.)は「デビューして6年という大人と子供の狭間のような時期にリリースしたこのアルバムを、当時はどう表現すればよいかわからなかった気がする。20年経って、20年分の愛を込めて皆さんに届けたい」と語り、「夏の彼方へ」をTERUとTAKURO、そしてこのライブのためにウクレレを覚えたという村山☆潤という編成で披露。ここからライブは中盤へ。
ツアー中に誕生日を迎えたJIRO(Ba.)が作曲し、今回のツアーに向けて自らアレンジをした「neverland」に続き、「彼らのHOLY X’MAS」、「Father & Son」、「卒業まで、あと少し」と次々に披露し、あっという間にライブは終盤へ。

ライブ終盤では、浜松市立高等学校の生徒と東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の学生たち26名がステージに現れ、「Friend of mine」を披露し、残すところアルバムの曲はラストの「All STANDARD IS YOU〜END ROLL〜」のみとなる。
アルバム収録音源はラップが入ったりと「All STANDARD IS YOU」のRemix的要素の強いサウンドになっているが、どんなパフォーマンスになるかと思えば、まさかのコード進行から大胆に変えたアレンジver.で臨んできた。
まさに20年前のGLAYと、今のGLAYが混ざり合うようなライブパフォーマンス。
一瞬新曲かとも思わされるが、耳を傾ければ間違いなく「All STANDARD IS YOU」であり、GLAYらしい完全再現の締めくくりである。
本編がこれで終わるかと思えば、最新曲「Only One,Only You」をラストナンバーとして披露。
この楽曲にはTAKUROの平和に対する強い祈りが込められており、リリース当時のインタビューでは、最後のコーラスワークはTERUの歌声が識別できない程、壮大な仕上がりにしたいと語っていた。
まさにその言葉通り、総勢28名のコーラスとTERUのヴォーカルが混ざり合うパフォーマンスは圧巻であり、音源では伝わりきらない「Only One,Only You」に込められた想いが音となって会場を包んでいき、「GLAY Anthology presents -UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022-」の本編は幕を下ろした。

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