“すかんち結成40周年記念「SCANCH’N 40th FANTASY TOUR」”11月29日(火)@川崎 CLUB CITTA’公演 ライブレポート

 途中、洋楽のライヴ盤の秘話を盛り込みつつ、“KISSに行く人いる?(ちょうど来日公演前日) チープ・トリックは延期になった…だから代わりに僕がロビン・ザンダーの役をやってる(※70年代後半、ロビン・ザンダーが着ていた白いスーツをオマージュしてるということだろう)。KISSの公演では「デトロイト・ロック・シティ」を演奏した後、お客さんの反応が思ったより薄くてポール・スタンレーはエーッ!?て思ったらしいけど(笑)、僕はね、そういう反応をされてもそんなに傷つかないよ。お客さんも一緒に成長してきたのねって思うから。よく若いバンドは、もっと声出せー!とか言うけれど、いやいや、僕らは温存でいきましょう(笑)”(ROLLY)
 そんなトークでお客さんを和ませ、労れるのもベテラン・バンドならでは。それでも「君を好きになった」に綴られた胸キュンでみずみずしい歌詞、プラスROLLYの声のハリや声量は衰えを感じさせないな、と感心していると、“今日、すかんち至上、いちばん演奏曲数が多いんです”(小畑ポンプ)とのこと。
“次に演奏するのは、すかんちは1982年に結成しましたけど、結成した年に作った曲で、ドラムを叩いているのは亡くなってしまった岡部貞之さんでした。面白い人やったな”(ROLLY)
“岡部さん、よく読み間違えてね。ウーロン茶の缶にOolong Teaって書いてあるのを、ウーロングテアって読み間違えはったりね。ホンマはパンフレットの取材の時に言えばよかったんやけど…後になってどんどん思い出すな”(小畑ポンプ)
 そんなエピソードの後に演奏された「Mr.ロックンローラー」。この曲は当時、ROLLYが想いを寄せていた地元で人気のレディース・バンドのオカダさんの歌詞が原案になっているとか。演奏後、“恥ずかしくてね。19歳くらいの頃の僕を全部を見られている感じですよ”とROLLYが言うのも頷ける。“それをお尻を押さえながら話しなさんな(笑)”(小畑ポンプ)という突っ込みはナイス(笑)。
 続けて、村原康介のキーボードとROLLYの唄から始まった「石見銀山ねずみ取り」、その後、村原康介のキーボード・ソロ、重々しい小畑ポンプのドラムが加わり「時間の言葉へ」と繋げられ、スロー・テンポのたっぷり聴かせるナンバーで第1部終了。
 休憩を挟み第2部は人気ナンバー「恋は最後のフェアリーテール」からスタート。そして、Shima-changゾーンへ。彼女が作曲した「LOVE LOVE HOLIDAY」、ROLLYとShima-changの唄の掛け合いが決め手の「好き好きダーリン」の演奏前にはShima-changとキーを確認。「109で待っててよ」のShima-changのパートはテッドがShima-changと同じキーでフォロー。愛と優しさしかないステージに、お客さんも思わず目頭が熱くなっているようだ。その後、演奏されたのはShima-changが手がけた「セラピスト」を聴けば、彼女の才能は今も楽曲の中で光りを放っているなと思う。演奏した後、デビュー当時の逸話を盛り込みつつ、ディレイを効かせたROLLYのタイトル・コールからデビュー・シングル「恋のT.K.O.」のカップリングに収録された「ウルトラロケットマン」、「GRAVE DIGGER」、「恋のショック療法」、「レターマン」と立て続けに演奏され、オーディエンスも昇天寸前といったところだろうか。
“ここでウォー!とかね(コロナじゃなければ歓声が聞こえただろうけれども)。でもね、実を言うと、みんなで(困難を)乗り越えようという大和魂、僕は好きなんですよ。でね、32年もののお札でございましてー”(ROLLY)とくれば、お待ちかねの大人気ナンバー「1,000,000$
マン」。シアトリカルな歌詞ゆえリリース当初からミュージカルっぽい表現は多少あったものの、月日を経てよりその要素が強まる方向に進化。ROLLYは高らかに唄い上げて本編終了…のはずだったがーー。
“このままズバッと、快傑ズバッとやらせてもらうぜ”(ROLLY)ということで、そのままアンコールに予定されていたメニューへ突入。スライドバーを指に装着、ボトルネック奏法で「MANGO JUICE」を披露、古きよきロックの香り漂うサウンドに乗せてROLLYはギターを自在に操り、ブレイクでは声を上げてメンバーとタイミングを計る。アナログなロック・バンドならではのテンポの揺れや生々しさ、そして迫力。生ならではの音にオーディエンスはドップリ浸り、陶酔してるようだ。そこから小畑ポンプのドラム・ソロに繋げられ迫力のプレー、重々しいドラムの音で観客を圧倒した。
“じゃ、本当の最後の最後に。40周年やりましたんで。45年も47年もーー”(ROLLY)
“47年?(笑)”(小畑ポンプ)
“僕は来年還暦なんでね、来年は真っ赤なちゃんちゃんこでやります。武内さんは永遠の18歳ということでいいかな?”(ROLLY)
“永遠の18歳でお願いしまーす(笑)”(Shima-chang)
“最後に皆さんに感謝します。本当にどうなることかと思ったけれど…全員に感謝。「恋のマジックポーション」でお別れしましょう”(ROLLY)
 “エヴリバディ?”と一声かけて『ダウンタウンのごっつええ感じ』のテーマ曲であり、すかんちの大ヒットナンバーでもある「恋のマジックポーション」で華やかに晴れやかに本コンサートを締め括った。
“皆様に愛されて創業40年! もっとも珍味なロック・バンドが40年、活動してまいりました。また会いましょう!”(ROLLY) 
 そんな言葉を残して、2時間半に及ぶコンサートは幕を閉じた。
 珍味なロックバンド……そう、彼らは結成以来、やれ色物バンドだの、お笑い歌謡バンドだのと揶揄されてきた。けれど、40年続けて来れたのなら、不名誉な言葉ですらも彼らの勲章となってるのは間違いない。色物とは“寄席で落語などに対して、彩りとして演じられる漫才や奇術などを指し、そこから転じて主要な位置にないもの”を意味する。すなわちそれは、他に類を見ないもの、ともとれるではないか。どこに属さず、オリジナルであることに誇りを持ち、己の信じる道を進んできたバンド、すかんち。その唯一無二のバンドにオーディエンスは、いつまでも惜しみない拍手を送っていた。

文・増渕 公子 / 写真:土田紘

セットリスト
1 スローソンの小屋
2 恋のTKO
3 恋するマリールー
4 仏壇返しにはかなわない
5 恋人はアンドロイド
6 君を好きになった
7 Mr.ロックンローラー
8 石見銀山ねずみ取り
9 時間の言葉
10 恋は最後のフェアリーテール
11 LOVE LOVE HOLIDAY
12 好き好きダーリン
13 109で待っててよ
14 セラピスト
15 ウルトラ・ロケットマン
16 GRAVE DIGGER
17 恋のショック療法
18 レターマン
19 恋の1,000,000$マン
ENCORE
1 MANGO JUICE ~ Dr solo
2 恋のマジックポーション

すかんち結成40周年記念「SCANCH’N 40th FANTASY TOUR」

■ 公演日程
2022年11月29日(火) 18:15 OPEN 19:00 START
会場:川崎 CLUB CITTA’
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 udo.jp
 
2022年11月30日(水) 18:30 OPEN 19:00 START
会場:大阪 BIGCAT
お問い合わせ:キョードー大阪 https://kyodo-osaka.co.jp

2022年12月1日(木) 18:30 OPEN 19:00 START
会場:名古屋 ReNYLimited 
お問い合わせ:ジェイルハウス https://www.jailhouse.jp

2022年12月13日(火) 18:15 OPEN 19:00 START
会場:東京 ZeppDiverCity(TOKYO)
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 udo.jp

■チケット料金
 全席指定¥7,000(税込) *入場時ドリンク代別途600円必要

■公演情報サイト
https://udo.jp/concert/scanch40th

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