のん、横浜赤レンガ倉庫でクリスマス・ライブを開催

のんが12月25日(日)に横浜赤レンガ倉庫で開催された「毎日がクリスマス」に出演。バンド編成でクリスマス・ライブを開催した。「毎日がクリスマス」は2019年以来、3年ぶりに再開されたライブ・イベント。今年は12月14日から25日の期間、横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールにて連日開催され、のんは最終日の昼公演に出演。今年ののんは、オンラインライブ”のんおうちで観るライブ”を4回開催しているが、有観客でのライブは昨年末の”Zepp Tokyo”以来、1年ぶり。それゆえ気合いも入り『今日は一緒に最高のクリスマスにしよう!』と元気よくステージに登場。ギターを激しくかき鳴らしながら「やまないガール」をエネルギッシュに歌う。

ファッショニスタとしても知られるのん。ライブでのコスチュームは毎回注目が集まる。この日は、ダメージをあしらったパワーショルダーの真っ赤なトップス、花柄タオルとクラッシュデニムのミニスカート。ラインストーンのレギンスに、クリア厚底のハイカットスニーカーを合わせたコーディネートだ。女性ファンから『可愛い!』の歓声が上がる。
のんをサポートするメンバーは盟友でバンド・マスターを務めるギターのひぐちけい、ベースのなかむらしょーこ、ドラムのナガシマタカトの4ピース編成。リズム隊の2人は2021年5月に初参加以来、いまやのんのバンド編成ライブには欠かせないメンバー。ナガシマの重量感あふれるドラムと、なかむらの地を這うように唸るベースで、次々に繰り出されるパンキッシュなナンバーをがっつりサポート。

前半、アップテンポな曲が続いた後、曲はしっとりとしたキリンジのカヴァー曲「エイリアンズ」に変わる。ひぐちけいが静かに爪弾くエレキギターをバックに、のんが透明感あるファルセット・ヴォイスをホールいっぱいに響き渡らせる。2番からはドラムとベースが控えめに入り、ラスト・パートではひぐちけいがハーモニーを重ねる。この美しい空間を愛でるように、客席も静かに見守る。

『せっかくだからクリスマスの歌を!』と演奏されたのはオリジナル・ナンバーの「クリスマスソング」。2019年に、この赤レンガ倉庫で開催されたクリスマス・ライブに向けて書かれた曲だ。3年ぶりの披露となったこの日は、のんのタンバリンとひぐちけいのギターで演奏。オーディエンスも持参のタンバリンとクラッピングで参加しクリスマスを祝う。続いて演奏されたのは「ribbon」。本年2月に公開された、のんが脚本・監督・主演を務めた映画「Ribbon」のイメージ・ソングで、のんが詞を、ひぐちけいが曲を書いた共作。のんが静かに響くアコースティック・ギターをバックに、囁くように紡いでいく。前半のパワフルなドラムとは打って変わり、ナガシマタカトがガラスのような繊細なパーカッションで曲にそっと寄り添う。本曲は’22年5月にライブで初披露され、演奏される度に進化を遂げ、3回目のこの日、「ribbon」が完成形に到達したように思える。それほどの素晴らしい演奏であった。

『楽しい時間はあっという間。もう後半です。時間が巻き戻ったらイイのにね。こんな時はタイムマシンにお願い!』とデビュー・カセットに収められたサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」に突入。真っ赤なテレキャスターを左右に揺らしながら、ステージに立ちはだかるようにして歌う様は稀代のロックスターのようで、実にカッコいい。ここからの後半は再びパンキッシュ・チューンの連打。間髪入れず、立て続けに4曲歌ってステージを降りる。前半と後半にアップテンポ楽曲を並べ、中盤にしっとりとしたバラードと、緩急織り交ぜたステージで客席を魅了し続けた。

アンコールはサンボマスターが歌った映画「Ribbon」の主題歌「ボクだけのもの」のカバー。前半はミディアム・テンポのサウンドをバックに、歌詞を丁寧に噛み締めるように歌っていく。サビの” La La La…”では、オーディエンスもマスクの下、心の中でコーラスに参加し、ステージと客席が一体となる。最後はのんが右腕の拳を大きく掲げ『メリークリスマス!よいお年を!』で70分超に及んだライブ・パフォーマンスを締めた。この日の模様はオンラインを通じて、アーカイブ視聴が出来る。

TEXT:石角隆行
撮影:南賢太郎(FOCUS STUDIO)

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