SHAG主催イベントシリーズ「WHAT IS JAM?」1年間の集大成である「WHAT IS JAM? VOL.8 “THE 1ST ANNIVERSARY”」ライヴレポート

その興奮冷めやらぬ中、4番手にステージに登場してきたのは、1995年に結成され、2006年にアルバム・デビューして以来、日本のジャム・シーンを牽引してきたSPECIAL OTHERSだ。SUGIZOは以前から同バンドに注目していて、今回の記念すべき“THE 1st ANNIVERSARY”の出演へと至った。先月の7月25日に配信したばかりの「Falcon」からスタートすると、今年5月25日に配信された「Bluelight」と6月25日に配信された「Bed of the Moon」と新曲を軸にし、加えて、それらの合間にその場のインプロヴィゼーションがかなり展開されていたのは特筆に値する。最後に人気曲「BEN」が飛び出したものの、スペアザをよく知るファンにとってはかなり新鮮なステージだったのではないだろうか。終演後にメンバー4人に聞いたら、やはりWHAT IS JAM?をかなり意識したとのことで、お互いにそれぞれの出方を見合いながら演奏をしていった、と口を揃えて言っていた。と同時に、スペアザのインプロヴァイズにおける底力を見せつけられたとも言え、非常に興味深いステージであった。加えてWHAT IS JAM?の持つ超が付くほどの重力……恐るべし!

そのSPECIAL OTHERSの演奏が終了すると、ステージにはこの日出演した4つのバンドのメンバー、それにゲスト陣も含めた全員が登場しての一大ジャム・セッションへと突入。20人以上がところ狭しと一同に揃う眺めだけでも壮観だが、E7コード一発によるその場の完全インプロヴィゼーションの上で、それぞれがソロを回していく様も圧巻! 同じドラムを4人のドラマーが代わる代わる叩き、キーボードにはバンドからの鍵盤奏者に加えてモジュラーシンセサイザーで出演していた坪口昌恭も参入。ヴォーカルの女性ふたりもその場で即興の歌詞を付けて歌い、場内は興奮の坩堝と化す。そして、なによりも出演している当事者たちが心からこのイヴェントを楽しんでいるのが伝わってくる象徴的なシーンでもあった。

これまでのWHAT IS JAM?シリーズでも、ステージ上でSUGIZOとKenKenが一貫して発してきた言葉「What Is Jam? This Is Jam!」の通り、出演者と観客とが一体となって音楽を楽しむ……これこそがまぎれもなくジャムだ。イヴェント終了後、SUGIZOは「ここ数年の間にWHAT IS JAM?でのフェスを実現したい!」と熱く語っていたが、その日が確実に近づいているのが感じられる、大盛り上がりのVol.8“THE 1st ANNIVERSARY”であった。

音楽ライター石沢功治(Koji Ishizawa)
Photo by Keiko Tanabe

セットリスト
▼パジャマで海なんかいかない
Dream Journey short
Trip
Let Me Know
Rain
Between the Lines
Electric
▼Afro Begue
Begue
Diogal Dawal
Khébaté
Boul bayi
▼SHAG
Initiation of Rebellion
free jam
REPLICANT DELIVER… featuring Chloe
KAMOGAWA featuring Patrick Bartley
▼SPECIAL OTHERS
Falcon
Bluelight
Bed of the Moon
BEN

北國新聞赤羽ホールにて、立川直樹氏プロデュースによる
SHAG meets カルメン・マキ「TIMELESS TRIP」と、SUGIZO×HATAKEN feat. Logic System(松武秀樹)「HEAVEN」開催

日程
9月8日(金) SHAG meets カルメン・マキ「TIMELESS TRIP」
https://hk-event.jp/event/ev_detail.php?ed_no=2329
9月9日(土) SUGIZO×HATAKEN feat. Logic System(松武秀樹)「HEAVEN」
https://hk-event.jp/event/ev_detail.php?ed_no=2328
会場:北國新聞赤羽ホール

▼9月16日(土)〜18日(月・祝)「メイカーズピアジャズフェスタNAGOYA 2023」開催
※SHAGの出演は9月17日(日)
https://www.jazzfesta-nagoya.com/

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