矢井田 瞳

デビュー24年目の矢井田 瞳が“ピアノとハーモニカと歌”で奏でた、瑞々しく、豊かな音楽

シンガーソングライターの矢井田 瞳が「ヤイコの日」の8/15(火)、全国アコースティックツアー「矢井田 瞳~Acoustic Tour 2023~ピアノとハーモニカと~」の追加公演
「矢井田 瞳「ヤイコの日」2023 ~ピアノとハーモニカと~」を東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催した。
 7/14の大阪・なんばHatchを皮切りに、8/12 宮城・仙台darwinまで全国8ヶ所で開催された今回のツアー。
最新アルバム『オールライト』の楽曲を中心に歴代の代表曲を交えて、“ピアノとハーモニカ”による特別な編成で行われた。
ツアー開催前に矢井田は、「最新アルバム『オールライト』の楽曲やこれまでの曲も、新たなアプローチで色んな世界観を表現したいと思っています。
お互いの「信頼関係」や「呼吸」が大切な編成だからこその“躍動感”を楽しんでいただけたら幸いです」とコメント。
その言葉通り、プレイヤーの息遣いや躍動感、そして、表情豊かな歌をたっぷりと味わえるステージが繰り広げられた。

矢井田 瞳

最初に登場したのは、ピアニストの河野圭、ハーモニカ奏者の倉井夏樹。続いて矢井田 瞳が姿を見せると、客席から大きな拍手が巻き起こる。
抒情的なハーモニカ音色、美しいピアノの旋律とともに奏でられた最初の曲は、アルバム『オールライト』のタイトル曲「オールライト」。
“苦しみ、痛みを抱きしめて生きていこう”という思いを込めた歌が広がり、瞬く間に観客の心を惹きつける。
続く「地平線と君と僕」では矢井田のアコギを交えたオーガニックなアンサンブルが響き、ピアノとハーモニカのセッション、
「久しぶりの声出しOKのライブということで。みなさんの声を聞かせてください!」(矢井田)という言葉に導かれた「Everybody needs a smile」では心地よい一体感が出現。
3人のミュージシャンの音と歌、そして、観客の手拍子と声がナチュラルに交じり合っていく。
「ピアノとハーモニカと私という編成で全国各地を回ってきましたが、今日は泣いても笑っても最後の千秋楽。いろんな思いを抱えて、
此処にたどり着いてくれてありがとうございます。楽しい夏の夜にしましょう!」(矢井田)という挨拶の後は、アルバム『オールライト』の収録曲が次々と披露された。

矢井田 瞳

 伸びやかなボーカルと〈温かいハート 溶かして行こう 空へ〉という大らかな歌詞が共鳴する「さらりさら」。河野によるジャズのテイストを交えたソロ演奏から始まり、鋭利で奥深いグルーヴにつながった「オンナジコトノクリカエシ」。
矢井田が演奏するタンドラムのエキゾチックな音色、孤独に向き合う姿を描いた歌が溶け合う「shadow/alone」
。そして、「言葉に捉われ過ぎず、その向こうにある可能性を信じるって大事だなと思いながら書いた曲です」という言葉とともに、アコギの弾き語りで披露された「speechless」。アルバム『オールライト』は前作『Sharing』(2020/10/14)リリース後、コロナ禍のなか、約2年間をかけてじっくりと自身と向き合いながら制作された作品。
普遍的なメッセージと多彩な音楽性を共存させたこのアルバムの魅力をじっくり味わえたことも、今回のツアーの大きな意義だったと思う。豊潤なフレーズで矢井田のボーカルを支える河野、何種類ものハーモニカとエフェクターを組み合わせながら、幅広い音色で楽曲に彩りを与える倉井の演奏も素晴らしい。

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