BECK、一夜限りのソロアコースティックライブのレポート

改めて思うのは、アコースティックでありながら、アコースティックであることを目的化していないライブだったということだ。ソロ弾き語りはベックにとって何ら制約ではなく、約70分とコンパクトなセットの中で彼は常に自由だった。そもそもこうしたDIYこそがベックというアーティストの根幹であり、彼のミクスチャー・サウンドを唯一無二とたらしめているものなのだから。そんなベック・サウンドの解剖を間近で目撃するような、彼の真価に直接触れるような貴重な一夜だった。

文:粉川しの
写真:(C) 森リョータ

1

2