2011年以来の海外開催となった「ANISAMA WORLD 2024 in 上海」は、アニソン文化が持つ国境を越えた力を見事に体現したイベントとなった。今回のイベントは、近年の日本アニメとアニソンの世界的な人気の高まりを象徴している。このような背景の中で、日本アニメが国境を越える文化としての力を改めて証明した。
近年、日本アニメの海外人気は空前の高まりを見せている。『呪術廻戦』『鬼滅の刃』といった作品は、アジアをはじめ欧米でも高い人気を集めており、NetflixやAmazonプライムなどの配信サービスを通じて新たなファンを開拓。2023年には『葬送のフリーレン』や『SPY×FAMILY』が注目を浴び、アニメ作品の多様性と深みがさらに認識されるようになった。台湾や韓国では『ちいかわ』や『ハイキュー!!』が圧倒的な支持を受けている。また、インドネシアでは『ハイキュー!!』が若者の間でバレーボールへの関心を高める現象を生んだ。こうした背景にはSNSで即時に情報を得られるようになったことも後押ししているだろう。
一方で、中国においては「COMIC UP」「BilibiliWorld」「Bilibili Macro Link」、シンガポールをはじめとした東南アジアでは「Anime Festival Asia」などのコミックマーケットやアニメ関連イベントに加え、シンガポールにて半年間で約8万人を動員した『進撃の巨人』をはじめとしたオフィシャル展示といった、各都市で行われるオフラインイベントもアニメシーンの裾野の広がりを支えている。こうした中国や東南アジアでのアニメ関連イベントの盛況は、「ANISAMA WORLD」が海外展開を進める上での重要な背景となっている。各国・各都市のファン層が厚みを増す中、今回の上海公演が持つ意義はさらに深いものと言える。
「ANISAMA WORLD」の開催を通じ、日本アニメやアニソンの魅力が世界に広がることで、日本への観光需要やアニメ関連商品の輸出促進といった経済的波及効果が期待される。また、現地ファンとの文化交流を深めることで、単に日本文化を発信するだけでなく、新たな視点やプロジェクトが生まれる可能性もある。アニソンが架け橋となり、より豊かな国際的な文化交流が実現するだろう。
今回の「ANISAMA WORLD 2024 in 上海」は、単なる音楽イベントを超え、日本アニメとアニソンを通じた国際的な文化交流の可能性を改めて示した。20周年を迎える2025年以降、さらに多様な地域での開催や、アニソンと現地文化の融合を通じた新たな試みが注目されるだろう。
All live photos by Jerry Ho
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